第18話 魔法への道(2)
「俺たちが魔法を習う時はどうしたかって? うーん、そりゃなぁ……」
次の日曜日。俺たちは孤児院組に連れられて、薬草摘みに参加した。森への道すがら、先輩冒険者たちに聞いてみたところ。
「サバスも俺も、魔法は習ってないんだ。ギルドで講習はやっているが、金がかかるしな」
「剣と槍は、振り回しときゃ当たるからな!」
リーダーの剣士サバスさんは火属性、槍術士セベリノさんは土属性。確かに前衛職だと魔法は必要ないかもしれない。
「あんたらは魔法に適性がないだけでしょ。本当にじっとしてられないんだから」
「うっせぇ」
スサニタさんは水属性のヒーラーだ。水属性は基本四属性のうち唯一回復スキルを覚えられるので、ほとんどの人が神殿や治療院に入って治癒魔法を覚える。孤児院育ちのスサニタさんも、一定の年齢になったら孤児院から神殿に移されてヒーラーになった。神殿の生活は、孤児院の待遇よりもずっといい。なんなら庶民の生活よりもいいらしい。ソースは修道院で修行中の姉。
いいなあ水属性、恵まれてる。タダで魔法習得の門戸が開かれている上に、一度スキルを覚えれば生涯食いっぱぐれがない。
「ギルドでも魔法やスキルを有償で教えているわ。だけど商人を目指すあんたたちが使うのとは違って、契約魔法とかそういうんじゃないわよ?」
「そうそう。風属性なら斥候や弓術師が一般的だが、ギルドで開講されてんのは斥候術や補助魔法くらいのもんだな」
「まあ実際は、先輩冒険者からこっそり教わることが多いけどな」
「やっぱり魔法はそれ相応の場所で学ぶのが安全よ? 才能がないと発動させるのも難しいけど、下手に才能があると魔力が暴走したり、魔力切れを起こしたり、それはそれで厄介だもの」
「なるほどですね」
やはり生の冒険者の声は貴重だ。聞いてみてよかった。
「それになぁ。こっそりスキルを教えてやろうにも、俺とロドリゴでは属性も適職も違うだろ。プリニオは俺と同じ剣士を目指してるがよ、やっぱスキルの覚えはな……」
「なんだよサバス兄ィ。俺、こないだ強撃を覚えたろ!」
「そりゃ初歩も初歩のスキルだ。俺はロドリゴの年には使えたぞ」
「いくらでも教えてやるが、こればっかりは適性のモンだからな……」
プリニオは冒険者を目指してサバスさんから剣術を学んでいるらしい。ポンシオは衛兵を目指してセベリノさんから槍術を学ぶ予定で、今はナイフの扱いから。だが火と土と違い、風属性にはフィジカルの適性が低い。サバスさんもセベリノさんも、森で小物を狩りながら彼らに稽古をつけているが、進捗は芳しくなさそうだ。
「あんまり力になれなくて悪いわね。まあ、同じ風属性の冒険者とパーティーを組むことがあれば、もっと詳しく教わることができるんじゃないかしら」
「ありがとうございます」
スサニタさんはちょっと申し訳なさそうにしていたが、十分な収穫だ。つまり風属性の冒険者と懇意にしておけば、なんらかのスキルを教えてもらえるかもしれないということだ。正直斥候術にも補助魔法にも興味はないし、プリニオと違って冒険者を目指すつもりはないが、やはりサバスさんやセベリノさんのちょっとしたスキル、スサニタさんの治癒スキルを目の当たりにすると、やはりロマンを感じるものだ。芸は身を助くとも言うし、ここは魔法を含むスキル取得に乗り出すべきだろう。幸い、風属性の冒険者には心当たりがある。
俺はペピトに頼んで、商業ギルド所属の風属性冒険者、トマスさんとトリニダードさんにアポを取ってもらった。




