動き出した時間
「ポメロとあったときの記憶があるとしたらおかしくない? まだ赤ちゃんだったでしょう?」
「そうです。ただ、しっていました。どうして知っていたかと言うのは説明できないんですが、私にも分からないので」
王族ならではの能力なのだろうか?
オランジュはああと手を叩いて望実の手を引きサイドテーブルを開ける。
「この方です」
そこには穏やかに微笑む綺麗な女性が座っていた。望実とは似ても似つかない強いて言えば髪の色が一緒なだけの女性に望実は息を飲む。
「オランジュの母上ではないの?」
「母上は違います。こっちに来てください」
今度は大きな肖像画が飾られた壁を二人で見上げる。優しそうな少し憂いのある瞳でこちらを見つめる女性は顔立ちがオランジュに似ていた。
「こっちは王様ではないわね。でも面影があるわ」
「先々代の王です」
「そう。お祖父様なのね」
反対側に王様の肖像画がかけられている。王様はオランジュと同じ髪の色と瞳をしている。
望実は数十年後こう成長するのかとドキドキしながら絵を見つめる。
「でもこの肖像画おかしくない? だって王様はお父様と喧嘩してまでオランジュの母上との仲を貫いたのでしょう? 侍女達が言っているのを聞いたことがあるのだけど」
となるとなにか仕掛けが隠されているのかもしれない。望実は脇においてあった椅子を持ってくると肖像画をおろして次に椅子を持っていき王様とその父を交換する。
「うーん、ちょっと重い。こっちの額縁金属なのかな。なんか絵の重さじゃないんだけど」
「危ない」
まずいと思った次の瞬間には望実は床に倒れていた。先々代の絵が床に落ちる。
「やばっ、これ不敬罪とかにならないよね。ちょっと待って後ろにヒビが入ってる。どうしよう」
「後ろなら隠れてるしいいと思いますけど」
「それはちょっと思ったけど掃除の人とかが私の変わりに法廷の出る事になったら嫌だし。オランジ……このひび変じゃない?」
「たしかに、まるではがすようにといっているような」
ひびの回りに欠片のような隙間が空いているのだ。 まるで手でこじ開けろ言うような形状に望実はよしっと言うと思いっきり隙間をこじ開けるようにして手をいれる。釘抜きがほしいと重いながら捲ると肖像画の裏面にはびっしりと何かが書いてあった。
「これはオランジュ宛のようね」
「私ですか?」
「最初の一行が『こうして君が読んでいるということは君が大人になり何かに気づいたからだろう』って書いてあるもの。大人になるのを待っているってことは子供へ当てた手紙だと思うの」




