答え合わせ
大きな問題は一つ。誰が手引きしたか、だ。オランジュの部屋の前には護衛が必ず二人いる。夜中に王子の部屋に来るものは許さないはずだ。オランジュが年頃ならまだしも彼はまだ幼児といっていい年齢。女性が呼ばれてやってくる事もない。
公爵と男爵の線がどうしても捨てきれないがそれ以上に一人、心当たりがあるのだ。誰にも気づかれずに部屋を行き来しどこからともなく入ってこれる。そんな存在を。
「ノバ……ノアはどこにいるの?」
「今日は城にいると話したではないですか?」
「本当に?」
なにかを見極めるような視線を浴びてノバはうっと言葉を飲み込む。
「ここの国では魔法で探知や痕跡を探すことができないのでどこかへいったとしてもわかりません」
「そうなの」
でみノバはノアが夜な夜な出掛けていたことは知っていたはずだ。
「先生を疑うわけではないけれど、オランジュを連れ出したのはノアだと言うことはないの?」
「なぜそんな突拍子もないこと……ん? いや、そんな……そんなことはありません」
「可能性は否定しきれないのね」
そもそも先生がイレギュラーな存在なのだ。外国人で、逃亡者、そして物語の傍観者でもある。この世界では国と国を行き来することはとても難しい。他国を知っていると言うだけで重宝されると思うのだが、彼がしているのは医師である。もちろん信頼がないとなれない職だが、ノバ自身にもこの城で医師としていなければいけない理由があるのだろう。
「そうですね。しかし弟子から殿下の話が出たことは一度もありません。ノアは私に逆らえないようにつくりましたので、どこへいったのか、誰とあったのかは聞いております。なので嘘をつく事態できないことも含めてそもそも殿下を知っていない可能性の方が大きいかと」
「ディオール聞き捨てならないことばかり聞いている気がしますが、それどころではないので今日のところは見逃します。なぜ妃殿下はディオールの弟子だと思ったのですか?」
「オランジュが見張りにみられないで部屋を出るにはどうしらいいか考えたんだけど、不可能に近くて。オランジュが私並みに屋根を飛んだり跳ねたりできれば別だけど」
いや、もしかしたら自分が助けたときの反動でできるようになっているかもしれないと望実は唸る。
「本当にそのようなことをされていたのですか?」
「そうよ。必死だったから仕方がないじゃない。オランジュの乳母が死んでいるのもみたし、オランジュが倉庫みたいな場所で泣きじゃくり続けていたのも見たわ」
「本気で塔にいかれたのですね」
「ええ、あんなところに子供がいちゃダメだって思ったから」
「ならば、それが正しいのです」
二人とも早足出歩きながら思案しているようで、黙ってしまった。そろそろ最初の階段が見えてきた。




