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姑ですもの!  作者: K
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石の力

「先程いったように人には皆、許容量があります。彼女のコップは何度も無理に力の出し入れを繰り返したせいで壊れかけています」

「依然あったときは気位が高いお嬢様って感じだったけれど、急に態度が変わったのもそのせいなのかしら?」

「興味深いですね。酩酊状態に近いのかもしれません。とりあえずノバを呼びましょう。おそらく普通の医師では流行病にかかった後ということもありますし、虚弱の診断しか出さないでしょうから。大司祭に何度もお越しいただくのも問題でしょうし」

「そうね」


 石の話は正確にはノバにしかしていない。もしかしたらと最悪の事態を考えて望実は俯く。彼が母親に会いたいと願っているのは紛れもない真実だ。だからここで令嬢に何かしようとするのは割りにあわない。望実が贈り人であり協力者であることは彼にとって必要な事だから。

 次に、鉱山の持ち主で何やら知っていることを隠していそうなエスクード。ペッシュと石の波動が似ていることには驚いていたので、何もかも知っているわけではなさそうだ。ただ、彼がもし黒幕だとすると望実のちょっとばかし自信のない頭脳では太刀打ちできそうにない。グルナードと協力しても逃げ出すのが精一杯だろう。よって想像したくもないので止める。

 そして伯爵。彼は公爵と接触した痕跡はあったが、派閥を共にする気はないようだ。伯爵は王妃派であることを宣言することになっているし、娘のために人さらいまでして生き死にを確かめたかった伯爵が娘を犠牲にするとは思えない。


「とりあえずすぐに先生を呼んで診察してもらいましょう。彼女は晩餐会には出れそうにないわね」

「誰が彼女に石の使い方を教えたのか、今まであの鉱山で掘っていた石はどこへいったのか……妃殿下、お願いがあります」

「え、ええ。なに?」

「晩餐会で私が伯爵をじわじわと追い詰めるような話をします。貴方は伯爵を何があってもかばってください。少々手荒いですが、オランジュ殿下。食事の場を荒らすことをお許しください」

「うむ、それで令嬢が元気になるなら」

「オランジュ。優しいのね」


 ゆっくりとオランジュの頭を撫でてエスクードを見ながら望実はこういう風にやるのよとジェスチャーした。エスクードは渋い顔をしている。誉めると怠けるとか、調子に乗るとかいう人がいるけれど、自分は誉められた方が調子にのれていい感じに動けると思う。もっと頑張ろうと思わせてくれた方がずっといい。


「では、妃殿下。お願いいたします。とりあえずこの部屋は一度侍女に任せましょう」

「ええ。オランジュ。一度部屋に戻りましょう。ああもう、あっちこっち葉っぱがついてる」


 ペッシュに手伝ってもらったがレースの網目に入り込んだ葉の切れ端や茎はすべてとるには時間がかかりそうだ。晩餐会までに大騒ぎで着替え、ぐったりする望実をずっとオランジュとペッシュが心配していてくれた。


「……時間がこんなにあっという間にたつなんて、もうげっそりよ」

「そもそも妃殿下が庭になど駆け足で降りなければよかっただけの話ですよ」


 コラーダにしかられながら望実はすいませんとこごえでいう。オランジュの前で言うことではないので口は閉じておくが、あの雰囲気はどうみてもおかしかった。駆けつけて成功かはわからないが、降りてよかったと望実は思っている。


「そのドレスもおにあいです」

「オランジュも素敵」


 小さな金色の礼服を着ているオランジュはいつも以上に王子様に見える。オランジュは派手すぎる濃い顔はではないが、控えめに言っても綺麗な顔をしていて、こういういった服装がよく似合っていた。


「失礼致します」


 思わず振り返ったのはドアの向こうから聞こえてきたのがゾクッとするような美声だったからだ。

 ノバと目が合う。この前の夜中のテンションはできれば全部忘れてくれているとありがたい。できればすぽーんと記憶が抜けてくれればなと望実はノバを見上げる。


「どうだった?」

「エスクード様が書かれたいたように、他国では魔石酔いといわれる症状によくにています。もしかしたらですが、流行病でできた跡が消えると言われたのではないでしょうか?」


 そういえば伯爵も娘の顔に痣が残る声を心配していた。この感じだと二人とも関わりはなさそうではある。もちろん油断はできないが。


「握っているだけで効果とかあるの?」

「おそらく削って飲んでいたのではと思われます」


 部屋にあった石をノバが皆に見せる。


「魔石は麻薬として使われることもあります。この国では効果は薄いですが、使うたびに妙なぐらい高揚感はあったかと。ただこの石は神の恩寵と言われているこの国にしかないものなので、他国にある例と全く同じになるとは言えませんし。薬として使うならもう少し色々と見てみないと思わぬ落とし穴があるやもしれません」

「たしかにそうね」


 傷だらけの宝玉を望実に渡し、ノバは令嬢の看病を続けるといって部屋を出る。


「薬として使うにはあまりも未知数。難しいかもしれない」


 エスクードの呟きに望実も難しい表情になった。ここで治療法がないとどん詰まりになってしまう。なんとかノバには頑張ってほしかった。


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