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姑ですもの!  作者: K
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贈り人の贈り物

「大変結構でした。妃殿下」

「グルナードもお疲れ様。あんな風に会議を毎回していたら全員の髪の毛をむしってしまいそなぐらい面倒だったけどね」

「…こほん」


コラーダが咳をするので望実はわざとらしい笑顔をつくって「老害ってやあね」といった。

ひーめーさまと睨んでくるコラーダはとりあえずおいておいて、問題は俯いて震えだしたグルナードの方が気になる。


「…これは、失礼を…すいません。ふっ…くっ」

「なによ。笑いたかったら笑えばいいじゃない。ここにはこのメンバーしか今いないんだし」

「先程まで、感心していたんですよ。よくあそこまで化けたなと。今まで表にほとんど出てこなかった妃殿下がはっきりと意見を表明されたことで担ぐ御輿が張りぼてでないことを彼らも喜んでいるでしょう」


まだ震えているグルナードは無視して、本当にそうだろうとか首をかしげる。オランジュの存在自体をよく思っていない感じは伝わってきたし、そもそも担ぐ御輿が女ということに不満も感じる。


「王族にはオランジュ以外に男性はいないの?」

「…はい。元々王も前王も王座についた時には身内は誰もいなかったので」

「そうか。でもそれでよく私を王にしようと思えたわね」

「オランジュ様の母君はご立派な方でしたが少々お身内に問題がありすぎましたし、それにこの世界において贈り人より重要な方はおりません。王であってもです」


そういえば何度か会議にも出てきた贈り人だった王も気になる。あのノートを書いた人物がおそらく前の王様だとすると日本から来た事になる。

贈り人が転移者なら歴代贈り人は皆日本から来たんだろうか?

そうだとするとこの世界に日本語が浸透してないのは変だと思う。会ったことがある全員の名も外見も西洋よりだ。だからポメロが贈り人の子供なら東洋人が皆同じに見える法則でばれていないのかなとも思える。


「私は、贈り人に似てるのね」

「…はい」

「そうなの」


しばしの沈黙が流れる。なぜか眩しいものを見るように目を細めるグルナードが見ていられなくてコラーダにお茶をいれてもらう。


「明日はオランジュと図書室に行きたいのだけどあけてくださる?」


良いですよ。と言うかのようにコラーダが頷く。

グルナードは美しい礼をすると「かしこまりました」と微笑んだ。



オランジュとグルナードには絵本をとってきてもらっている間にノートが入っていた本棚を覗き何もないことを確認する。その後、ノートの支持通りの場所を探す。エリーゼのつく有名な本はないかと聞いたところ、なんとレシピ本らしい。

文字だけは読めるようになってきたのでエリーゼという単語を探してエの本段を歩いていく。皮の装丁の立派な本がある。開いてみるが絵に説明がのせられている少しお堅そうなレシピ本だ。

本を本棚にとりあえず戻し度はランパーシャの画集を探す。ランパーシャとは百年前の画家で彼の弟子がこの国に印刷技術を広めたらしい。かなり大きな本ですと言われたので目立つと思うのだが端までいっても見つからない。本棚の端から戻ってくるとちょうど先程までいた場所の真後ろに赤い装丁の大きな本が一番下の棚に入っていた。


「ここにあるはずの本じゃないんだけど」


誇りを払って本を引っ張り出し、その場に座り込んで開いてみる。全てのページを見終えるがこちらにも何もなさそうだ。

言葉遊びだったのだろうかと座ったまま望実は差し込む光を見上げた。先程からチラチラとやたら眩しいのだ。手で影を作って見上げてみる。何かが光った気がした。

宝石とか貴金属だろうかと本を本棚にしまい、階段を上がる。螺旋階段の最上段までいき、先程までいた本棚を上から探す。大体ここだろうとその本棚の前まで来ると誰も来ていないのか本が随分とほこりを被っていた。本棚の上、その本の上に何かがある。

手を伸ばして飛んでみるが届かない。何度か目の挑戦でし司書さんいたらごめんなさいと心の中で謝って望実は勢いをつけて本棚の二段目に足をのせ、本棚の上から落とせる限りの本を下に落とした。


「げほっ、ごほっごほごほ」


どすんという音に反応したのか下からグルナードがこちらにこようとする。


「ごめんなさい。ちょっと上にある本が見たかっただけなの。ホコリをかぶっていて、それがはいっただけだから」

「そちらにあるのはかなり昔の本ばかりで妃殿下が読める物では」

「そうみたいね」

「貴重なものなので壊さないようにご覧ください」

「了解です」


その返事にあきれたような表情でグルナードはオランジュの元に戻る。

それを見届けて望実は何冊か散らばった本をホコリを拭いてから本棚にしまっていく。最後に残ったガラスの何かがコロコロと転がった。


「虫メガネ?」


そっと小さな金属にガラスがはめてある何かを持ち上げ本棚の本を覗いてみる。


「我が栄光の日々。門の側で待っていて。豊作にするために必要な準備…読める!?」


メガネでいいのだろうか、確かモノクルとかどこか漫画で見たことがある。このガラス越しに見るとうねうねしたラインと棒にしか見えない文字がはっきりと日本語で読める。


「もっと早く教えてほしかった」


でもなかったからこそ真剣に台本を覚えたしなんとか文字の種類は覚えれた。これが最初からあればなかなか覚えられなかっただろう。だから本を探さないと見付けられないように隠されていたのか。文字すらわからない状態できてもまずエリーゼとランパーシャは見つからないし、誰かに頼んでもモノクルは見つからない。少しだけ望実は先代の贈り人を見直した。

階下に降りて面白そうな題名の本をいくつかチョイスしていく。とりあえず趣味として読めそうな五冊。そして勉強用に歴史書、マナー講座、各国のイラスト本。最後にディアラの密会と書かれた本を一冊手に取る。


「これだけ持ち帰っていいかしら?」

「前回と随分と選ばれる本が違いますね」

「色々読みたいのよ」

「ふむ。これはダメです」

「あっ、面白そうだったのに」

「私と共に来なくなってからどうぞ」


子供が読むには早いという態度になんとなく察するものがあって望実は「あら、グルナードも読んだことがあるの?」と尋ねる。


「指南書ですから」


顔色も変えずにグルナードが言うので望実は、なんだ、本当にどうやって密会すればいいのかの解説かとつまらなく思ってその場に本をおいてオランジュの元へいく。オランジュは騎士物語を沢山持ってきていた。


「そんなに読めるかしら?」

「がんばります」

「明るいところで読むようにね」


コラーダが専属になったので心配はないだろうが寝るときはちゃんと本をおいて寝ることと約束をする。

部屋に別々に帰ってきた時、ふと廊下にたっていた護衛がネビルだったので「ディアラの密会ってどんな本?」と聞いたら隣の護衛と共に真っ赤になって怒られた。のちのち調べたら人妻との密会の指南書だった。少しだけ望実は使ったのだろうかとグルナードを思い出して複雑な気分になった。

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