第8章:ジャンヌの娘
後に続いた沈黙は濃密だった。若きインキュバスと女魔術師は仲間を見つめた。その眼差しに含まれていた疑念は、本能的な、あるいは畏怖に近い敬意へと変貌していた。アリスは自身の両手へと視線を落とした。足元の床が頼りなく揺らいでいるように感じる。まるで自分の存在そのものが、忘却の上に築かれた虚構であるかのように。
「私はずっと……ジャンヌの影の中で生きてきたの?」
来訪者は肺からゆっくりと空気を吐き出した。それは古くからの疲労を感じさせる音だった。
「なぜ覚えていないのかは分からん……。だが、随分と昔の話だ」
艶消しの髪の少年は眉をひそめ、深紅の瞳の女と意味ありげな素早い視線を交わした。
「でも、ジャンヌはずっと昔に倒れたはずじゃないのか?」
恐怖が青い瞳の少女の顔を這い上がり、頬から血の気を奪って紙のように白くした。
「何の話をしているの? 魔女は普通の人間よりも長く生きるはずでしょう?」
金髪の女はうつむき、友人の視線を直視することができなかった。彼女は近づき、その肩に重く手を置いた。それは慰めというより、宣告に近い重みを持っていた。
「アリス……ジャンヌは悪魔たちに恐れられた女性だった。ガロイスでは有名な長い歴史よ……。ジャンヌ・ダルクス、『人類の華』。第二次マルセイユ侵攻の戦いで散った女性」
最後の一語が発せられた瞬間、小屋の気温が急激に低下した。
床に座っていた男は目を細め、床板の木目を見つめていた。彼の体からは触れられそうなほどの闇が滲み出し、窓ガラスを振動させ、居合わせた者たちのうなじの毛を逆立てるような、窒息するほどの殺気が放たれた。部屋の影が彼に向かって伸びていく。まるで現実そのものが、一世紀にわたって封じ込められてきた怒りに反応しているかのようだった。
しかし、押し殺したような嗚咽がその緊張を破った。
震えながら涙を流す若き魔女の姿を見て、目に見えない嵐は到来した時と同じ速さで霧散し、後には哀愁の痕跡だけが残された。
「それじゃあ、母さんは……?」
言葉は喉に詰まり、外に出ることを拒んだ。エメラルドの瞳の少年は待つことなく、少女を保護するように抱きしめ、崩れ落ちそうになる彼女を支えた。
大悪魔はその光景を、読み取れない表情で見つめていた。
「彼女は偉大な女性だった。お前も同じ気高さを持って生まれたな、アリス。だが、どうあれ、まだ会う方法はある」
三つの頭が一斉に彼の方を向いた。サキュバスとインキュバスの目には純粋な不信があり、アリスの目には痛々しく必死な希望が輝いていた。
「どういうことなの、マルクス?」
灰色のコートの男は一瞬目を閉じた。彼の記憶の中にしか存在しない地図上の場所を探しているかのように。
「はるか北に『タイヴァス』と呼ばれる場所がある。正のカルマを持つ魂だけが行ける場所だ。ジャンヌはそこで、お前と再会し、円環を閉じるのを待っているかもしれない」
深紅の瞳の女は、歯の間から空気を漏らした。
「迷える魂の都……。人間のただの神話だと思っていたわ」
死のような静寂が再び小屋を支配した。マルクスは、友人の腕の中で泣いている少女を見つめ続けた。
『私も彼女に会いたい。伝えたいことがたくさんあるんだ、私の小さな娘よ』
一瞬、大悪魔の目の前の現実が断片化した。薄暗がりの中で傷つき泣いている十七歳の少女の姿に、別の鮮やかな色彩に満ちた幻影が重なる。泥だらけの手をして、耳まで裂けんばかりの笑顔を浮かべた八歳の少女が、彼女自身の拙くも美しい魔法で作り出した無限の造花畑を駆け抜けて、彼の方へと走ってくる。子供の笑い声の残響が脳裏に響き、現在の嗚咽と残酷な対比を描く。やがて、その記憶の黄金色の夕暮れはゆっくりと消え去り、彼を再び現在の冷たい闇の中へと置き去りにした。
クレアはゆっくりと近づき、彼女の肩に手を置いた。
「アリス……」彼女にしては珍しいほどの優しさで呼びかけた。「あなたは単なるジャンヌの娘じゃない。あなたはあなたよ。今日したこと、あなたが決めたこと……それは誰から受け継いだものでもないわ」
アリスはマルクスを見上げた。その青い瞳は潤んでいたが、揺るぎなかった。
「だから助けてくれたの?」彼女の声は震えていた。「私が彼女の娘だから? 何か借りがあるから? それとも……私の中に何かを見たから?」
彼女の呼吸が揺れた。
「あるいは、私のものではない場所を、私が埋めることを期待しているから?」
「守ると誓った……。私はそうするつもりだ……」
床に座ったまま、彼の声はほとんど囁きだった。
クレアは目を細め、唇を堅く引き結んだ。一瞬、その表情には不信以上のもの――わずかな同情と、そして諦めのようなものが滲んだ。
「ジャンヌの娘としてだけ見ていたわけじゃないのね……」彼女は独り言のように呟いた。「守るべき相手として見ていた」
ケンは視線を逸らし、眉をひそめた。言葉は発しなかったが、手はゆっくりと拳に握りしめられ、胸の中でまだ燻っている不信感と戦っていた。
アリスは視線を落として深呼吸をし、喉の奥の渦巻く感情と戦った。
「誓ったからという理由だけで守られる必要はないわ」ついに彼女は言った。声は柔らかくも震えていた。「母さんに借りがあるからとか……私があなたの背負う遺産だからという理由もいらない」
彼女は顔を上げ、青い瞳を輝かせた。
「私を助けてほしい……それは、私を『自分で決断できる人間』として見てくれているからであってほしい。私も……守る方法を学びたいから」
クレアは小さく溜め息をつき、それ以上何も言わずに椅子の一つに身を沈め、静かに見守った。
ケンが、ようやく呟いた。
「なら、それに見合うようにならなきゃね、アリス……。こんな守護者がいるんじゃ、世界は君に猶予なんてくれないだろうから」




