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第7章:遺産の重み


アリスは答えようと口を開いた。あの存在は脅威ではないと告げる自らの直感を弁護しようとしたのだが、言葉は喉の奥で消えた。

小屋の中の空気は重く、濃密になった。あたかも一瞬にして気圧が急降下したかのようだ。普段なら夜の生き物の声で満ちているはずの外の森が、完全に沈黙した。コオロギの鳴き声も、風の音も、枝のきしむ音さえもしない。絶対的で不自然な静寂が世界を飲み込んでいた。

乾いた、ゆっくりとした、落ち着き払った三回の音が、木の扉に響いた。

――コツ、コツ、コツ。

それは侵入を試みる怪物の叩き方ではない。自分が待たれていることを知っている者のノックだった。

若きインキュバスは魔女の前に立ち塞がり、その手には防御魔法の光を宿した。サキュバスは一歩後退し、視線を錠前に固定する。

木の板の向こう側から、深く穏やかな声が静寂を貫き、居合わせた者たちの血を凍らせた。

「アリス、約束通りここに来た」

その言葉は叫びとしてではなく、隙間から染み込む凍てつく隙間風のように木の扉を透過し、皆の骨の髄まで浸透した。室内において、静寂は重く息苦しい物理的な実体と化した。金髪の女は、こめかみに冷や汗が浮かび、頬をゆっくりと伝うのを感じた。一方、エメラルドの瞳の少年は、拳を握りしめすぎて指関節が白くなり、胸を動かすことさえ恐れるように呼吸を止めていた。

若き魔女は深く息を吸い込み、部屋の淀んだ空気を肺に満たして、胸郭の中で暴れる心臓を鎮めようとした。一瞬だけ瞼を閉じ、暗闇に身を浸す。再び目を開けた時、その青い瞳には脆くとも明確な決意が輝いていた。指が冷たい金属のノブを包み込み、ゆっくりと回すと、機構がカチリと音を立てた。

扉が開かれると、森の闇と、敷居で待つ長身の姿が露わになった。灰色のコートの男は、その深紅の視線で張り詰めた顔々を一巡し、サキュバスとインキュバスが辛うじて抑え込んでいるパニックに目を留めた。彼の口角がわずかに持ち上がったが、その仕草に喜びの色はない。それは枯れ葉が砕ける寸前のような、生命力のない乾いた笑みだった。

「その目つき……私が誰か、気づいているようだな」

空色の瞳の少女が一歩前に出て、その存在と友人たちの間に割って入った。静まり返った夜の中、彼女が唾を飲み込む音がはっきりと聞こえた。

「マルクス……彼らは私の仲間、クレアとケンよ。彼らは、あなたがメフィストフェレスだと言うの。それは本当?」

長く、疲労の滲むため息が来訪者の唇から漏れ、夜気をわずかに曇らせた。少女の背後で、深紅の瞳の女と艶消しの髪の少年が距離を詰め、即席の、しかし震える近衛兵のように彼女の周りを固めた。

「アリス、彼らの言う通りだ。私の悪魔としての名はメフィストフェレス・シュトルツ。傲慢の大罪、ベリアル・シュトルツの長子だ。全て真実だ」

その告白は、墓石のような重みを持って落下した。サキュバスは目を細め、男の微細な表情の一つ一つを精査し、罠や悪魔特有の欺瞞を探したが、そこには残酷なまでの正直さしかなく、それがかえってどんな嘘よりも彼女を困惑させた。

「なぜ何十年も姿を消していたの? 今になってここにいるなんて筋が通らないわ。アリスに何を求めているの?」

エメラルドの瞳の少年は、仲間の切迫感に当てられつつも、生ける伝説を前にして声を裏返らせながら、不器用に割って入った。

「そ、そうだよ……えっと……アリスは契約なんてしないぞ……あんたとなんか!」

黒い手袋の男は、埃っぽい床板へと視線を落とした。あの枯れた微笑みは顔に張り付いたままで、そこにはいかなる脅威も捕食の意志も感じられなかった。

「危害を加えるつもりはない。その気なら、扉を叩いて話しかけるよりも先に、外から攻撃していただろう」

その圧倒的に論理的な主張が、会話に空白を生んだ。

誰も言い返さなかった。若き魔女は守護者たちを横目で見ると、小さく頭を動かして下がるように合図した。空間が開く。彼女は扉の枠から身を引いて、道を譲った。

「分かったわ。ただ、奇妙なだけよ。あなたは攻撃せず、取引も求めなかった。私を騙して封印を解かせたけれど」

来訪者はゆっくりと頷き、弁解することなくその非難を受け入れた。音もなく敷居を跨ぐと、金髪の女と若きインキュバスが完全に意表を突かれる行動に出た。彼はその威圧的な巨躯で立ち尽くすのではなく、膝を折り、そのまま剥き出しの木の床にあぐらをかいて座り込んだのだ。彼らの視線よりも低い位置に。

「その通りだ、アリス。だが、お前の口ぶりからすると……記憶に何らかの障害を抱えているようだな」

三対の目が限界まで見開かれ、部屋の空気を凍らせるような驚愕と硬直が、座り込んだその姿に釘付けになった。空色の瞳の少女は瞬きをし、その言葉の論理を処理できずにいた。

「でも、どうして……」

エメラルドの瞳の少年が、切迫した声で一歩踏み出し、少女の言葉を遮った。

「心が読めるのか?」

灰色のコートの男は、ほとんど感知できないほど気だるげに首を振った。

「いや、彼女の反応を見てだ。いいか、私はアリスをずっと昔、数十年前に知っていた。歴史の記録の中では失われているかもしれないがな」

大悪魔は意図的な間を置いた。その深紅の瞳が少女の顔を巡り、過去の亡霊の面影をその顔立ちの中に探していた。

「彼女の姓はダルクス……アリス・ダルクス。ジャンヌ・ダルクスの娘だ」

その姓の響きが、物理的な平手打ちのように金髪の女を打った。口が開き、息が聞こえるほどの喘ぎとなって漏れる。

「史上最強の魔女……あの……」

若き魔女は胸に鋭い痛みを覚え、突然の圧迫感に思わず心臓のあたりを手で掴んだ。ブラウスの生地を握りしめ、膝が震える。友人の苦痛に気づく余裕もなく、サキュバスは伝説の重みに引きずられるように続けた。

「ペイジ・モーニングスターを正面からの戦闘で打ち負かした魔女……地獄の長子プリモジェニトに勝利した唯一の人間」


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