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二つの壊し方

ガルが切り出したのは、夕食の後だった。


「都市部への計画がある」


隠す気のない声だった。六人が向き合った。


「電波塔の中継基地が都市の外れに三つある。そこを同時に爆破する。タイミングと配置は計算してある——計算はしていないが、考えてある。帝都の配信が止まる。中央との接続が切れる」


「都の人々は苦しむか」


キコが言った。


「けが人は出さない」ガルが言った。「壊すだけだ。不便になるやつは、もともとそこを使って抱えていたやつらだけだ」


村の大木の時と同じだ、という空気があった。ガルはそれを証明済みだった。爆破の後、村は不便になった。でも誰も死ななかった。昔のやり方で戻れた。論理は通っていた。


ボッグが腕を組んだ。イノが前のめりになった。ジグが何も言わなかった。ルルが六人の顔を順番に見た。


キコは算盤を開いた。


「計算させてくれ」


珠を弾き始めた。中継基地の構造。周辺の人口分布。爆破の規模と衝撃の伝わり方。破片の飛散距離。時間帯による人の動き。カチ、カチ、カチ。


「お前だって壊しているじゃないか」


ガルが言った。


キコは算盤を叩き続けた。答えなかった。答えられなかったのではなく、答えると手が止まるから、止めなかった。


「逆位相とやらで帝都を揺さぶった。配信を止めた。それで困った奴もいただろう」


「いた」とキコは言った。手を止めずに言った。「でも、死ぬ確率は出せた。許容できる数値だった」


「俺の計画も同じだ」


「同じじゃない」


「どこが違う」


キコは珠を止めた。


「安全の確率が出ない。出ないのは計算が足りないからじゃない。変数が多すぎて、担保が取れない。それが違う」


「完全な担保が取れる壊し方なんてあるのか」


答えが出なかった。


算盤の盤面を見た。数値が並んでいる。でも最後の一行が、埋まらない。埋まらないまま、カチ、と一つだけ珠を弾いた。


「細かい奴だ」


ガルが言った。馬鹿にした声ではなかった。ただ、見たものを言葉にした声だった。


キコは算盤を見たままだった。


六人の間に、重い空気があった。誰も口を開かなかった。イノが何か言いかけて、ボッグに見られて黙った。ジグが天井を見ていた。


「ねえ」


ルルが言った。


「飯にしない?」


誰も答えなかった。


でもボッグが立ち上がった。鍋を手に取った。それだけだった。


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