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【外伝】とあるヤモリの話 前編

覚えていますか、1匹のヤモリのことを

てことで彼のお話

旦那竜の名前はまだ出ません!!!←

むくり。と一匹のヤモリがベッドから起き上がった。




横には主人である令嬢が気持ち良さそうに眠っている。




ちらりとまだ起きそうにないのを確認して、ベッドを降りするすると移動していく。




外は日が昇ったばかりでまだ薄暗いがヤモリは気にすることなくクローゼットに辿り着き、後ろ足だけで立ち上がり瞬きの間にヤモリがいた場所に1人の赤茶髪に茶色の目をした青年が立っていた。




手早くクローゼットから男物の服を出して着込み、部屋から出ていく。



外は朝靄に包まれていて吐く息が白くなるが俺自身は寒さに鈍感なので多少の薄着でも問題ない。



目指すは共同の炊事場だ。



俺はヤモー。御主人様である伯爵令嬢のユーフェミアについてきて一緒に竜の谷に来たのが1か月前、そして自分がこの身体を手に入れたのも1か月前になる。





◇◇◇



ここに到着した時のあれやこれやで男にぶんぶんと頭を振り回された御主人が気を失ってしまった直ぐ後。




肩に乗っていた俺はかなりの距離を勢い良く飛ばされてしまい、黄金色の竜が途中で受け止めてくれたので事なきを得た……が、もしそのままどこかに衝突していたらぺちゃんこになっていたと思う。




そして何処かに運ばれて行く御主人を追いようとしたら黄金色の竜に声を掛けられた。




まじまじと掌の上の俺を観察して一言。




『君は…地竜の先祖返りのようだね』




…はい???




御主人は大丈夫との事なので、とりあえずそのまま彼に詳しい話を聞いたところ、はるか昔に雄の地竜が雌のヤモリに一目惚れてしまい、猛アタックの末そのヤモリの一族に婿入りした変わり者がいたという(竜は体の大きさを変えられるそうだ)。




それが俺の先祖らしい、見た目も魔力(あるのをこの時初めて知った)もその地竜そっくりとのことだ。




俺が親兄弟よりかなり長生きしている理由がやっとわかった。




 それを聞いたら是非竜らしいことをしてみたくなり、今すぐできることを教えてもらった。




それがこの人間に変化するというというやつだ。




何度か練習してなんとか見れる様になったので運ばれていった御主人の世話でもしようと小屋に向かうと…




「……やめ、うあぁあ」




と男の叫び声が聞こえてきた。




御主人はまた何をしでかしたのだろうか…




「叫び声と音が聞こえたが一体な、に、を…し……????」




うん、大体の事では驚かないと思って扉を開けたのだが、流石に御主人が男を下敷きにして跨っていて、傍らにキャンドルスタンドがあってどう見ても御主人が襲い掛かっている状況に頭が処理しきれない程驚いた。






鱗の無い生物に興味があったのかと






あ、これは御主人の口癖だから俺がそう思っている訳じゃないので悪しからず。




◇◇◇




そしてその後なんやかんやでそのまま竜の谷に住むことになったので俺も一緒に住んでいる。



が、俺が人間に変化することと実は竜族の先祖返りだったことは御主人に伝えていない。




 というかヤモリの時は一切喋れないので伝える術が無い。




かと言って手紙やこっちの姿でうまく伝えられる自信も無い。




そんな訳で現在の俺の立ち位置はペットのヤモリ兼謎の世話を焼いてくれる人だ。




そして俺は今御主人の朝御飯を作っている。



もちろん料理の経験は今まで全く無く、見様見真似で作っているし俺自身人型になっても味覚が余り無い為美味しく出来ているかは謎。




御主人は特に何も言わずに食べてくれるので大丈夫なんだと思う、多分。




この今の状態は特に不便が無いのでそのままでいいかと思っていた。




が、最近問題が………




◇◇◇




ある日小屋の周りを掃除していた俺(人型)を見付けた御主人が突進してきて、




「丁度良いところに!貴方ヤモーが何処に居るか知らない?」




「向こうの草原の近くに居たと思う」




「ありがとう!」




という感じで御主人が俺を探し回ることだ。しかも旦那様(御主人がそう呼んでるあの竜)が不在の時は必ず何があっても捜し出てくる。




御主人が俺を探し回って居場所を俺(人型)に聞いてくる→見付からない→見付けるまで探す→俺が諦めて(ヤモリで)姿を現す→舐め回される(こなれている為なかなかの技術を持っている)→俺失神する。




を頻繁に繰り返し御主人の世話が出来ない。




御主人からは誰かに世話をしてもらう必要は無いくらい自立できているから不要だと何度も言われているのだが、俺が今まで世話になってきたし、折角人の身体を得たなら何某かの恩返しをしたいと思っているのだ。




まさか御主人が壁になるとは思わなかった。




もし今の俺の事を御主人が信じてくれなかったら立ち直れる自信がないというか…なんというか…頭から否定しないとは思うけど距離感が出たらやっぱり落ち込むというか……




この姿になってから溜息をつくのが癖になってる気がする…




はあ……良い打開策は無いだろうかと悩みながらも俺は今日も御主人の為に朝食を作るためにそっと小屋から炊事場に向かった。




後編は後程




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