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2、我慢はしましたのよ、我慢はほんのちょっとだけ

足元に落下したヤモーは崖を覗き込み尻尾を崖にふりふりしてます。




可愛い、舐めたい。




ヤモーに癒されていた私の耳に鳥の羽音より更に重く大きな翔く音が聞こえてきました。




キョロキョロと辺りを見回すと、どうやら音は崖下から聞こえてくるようで私もヤモーと一緒になって崖下を覗き込んでみた。




「わぁぁ!!!!」




私が見たのは黒く光る翼の生えた白銀の生き物の姿だった




これは!まさかの!竜族の方ですね!




食い入る様にその姿を見つめていると私の目の前を通り過ぎ、私の後ろ側にふわりと着地しました。




『この竜の谷になんの様だ小娘』




頭に直接響く低くて威厳のある声に畏れるでも慄くこともなく、ユーフェミアは竜の鱗に釘付けで何一つ頭に入っていなかった。




(なにあの鱗!おっきいトカゲちゃんみたい!綺麗に並んだあの鱗1枚1枚舐めて数えたい)




じゅるり




とユーフェミアの涎の音だけが響く




『聞いているか小娘』




「……はっ!し、失礼致しました!私は竜の乙女として竜の谷を目指していましたユーフェミアと申します。」




『は?竜の乙女?』




「貴方様はこの谷に住んでいらっしゃる竜族の方でお間違いないでしょうか?」




『う、うむ。我がその谷に住んでいる竜の一頭だ』




その竜の返信を聞いてユーフェミアは華が咲く様な笑顔を浮かべた。




ユーフェミアはスカートを摘んでその場に跪く。




「初めまして旦那様、その鱗ぺろぺろさせて頂けませんか!!!!」




『は?!』




「失礼致しました、つい本音が、1度忘れて下さいませ。」




こほんと咳払いをして胡乱な目を向ける竜に改めて




「初めまして旦那様、私は貴方様の嫁になりにきましたの。末永くよろしくお願いします」




『はいい?!』




竜は口をぱかっと開けて呆けたように動かなくなっしまいました。最初の威厳はどこに行ってしまったのでしょうか…




というか、ヤモーと違って喋れるだけじゃなくて表情もかなり豊かな様です。




私はヤモーが何を伝えたいのかは愛でわかりますけどね?




そのヤモーはいつの間にやら私の肩の上に乗っていました。可愛い、いい子、舐めたい。




流石に人…竜前でしかも旦那様になるとはいえ初対面の方の目の前でヤモーをぺろぺろなんてしません、ええ、とてもしたいですが。我慢します。




変わりにこれでもかと言うぐらいもみもみなでなでしました、これはこれで幸せです。




そうしている間旦那様は固まったままピクリとも動きませんでした。




「あの、旦那様?大丈夫ですか?」




そっと旦那様声を掛けつつ近付いて丁度目の前にあった旦那様の後脚をそっとお触りさせて頂きました。




さわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわ




ヤモーとはまた違うかなり硬質な鱗の質感と弾力、なのに掌に伝わる人肌より暖かい温もりにユーフェミアはうっとりして夢中で撫で回す。




ちらりと竜の頭の方を見ると未だに固まって動きそうにないことを確認して、ユーフェミアはそっと竜のお腹側に顔を近づけて




ぺろり




とひと舐めをしてみた。すると




『うわあああああああ!!!!!』




と。低くて威厳の全くない声が頭に直接響いた。

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