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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』再編集版  作者: 黎明の星
クロード幼少期

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一番上の兄

第24話『一番上の兄』


エリスの部屋へ、聞き慣れない足音が近づいてきた。

床の敷物で遊んでいたクロードが顔を上げると、扉の向こうから若い男性の声がした。


「エリス、入ってもいいですか?」

「ええ、どうぞ」


扉を開けて入ってきたのは、ザナンよりも背の高い少年だった。

エリスはその顔を見るなり、嬉しそうに笑った。


「ブライン、おかえりなさい」

「ただいま戻りました」

「ガルディオには会った?」

「先に挨拶してきました。今度はこっちの顔を見に来たんです」


少年の視線がクロードへ向いた。

エリスは敷物に腰を下ろし、クロードの背を支えて抱き起こした。


「クロード、こちらはブラインよ。一番上のお兄さんなの」


(一番上?)


アルトとザナンだけではなかったらしい。

目の前の少年は二人よりもずっと大きく、声にも落ち着きがあった。


「この子がクロードか」


ブラインはすぐそばまで来ると、膝を折って顔を近づけた。

クロードもじっと見返す。


「そんなに見られると、何だか照れるな」

「ふふ、よく人の顔を見ているのよ」

「そうみたいですね」


ブラインは笑って、敷物の脇に腰を下ろした。

しばらくクロードを眺めてから、エリスへ向き直る。


「王都の学校はどうだった?」

「相変わらずです。帰ってきたばかりなので、勉強の話は少し勘弁してください」

「あら、そんなに大変なの?」

「一つ終わると、次の課題が出てくるんですよ」


(王都の学校、か)


どうやら普段は遠くにいるらしい。

けれど王都がどこなのか、クロードにはまだ分からなかった。

ブラインはエリスと話しながら、ときどきこちらにも目を向ける。

誰かと話すときの表情は落ち着いているのに、笑うと少し幼く見えた。


「ところで、クロードはいつもこんなに静かなんですか?」

「そんなことないわよ。気になるものがあると、よく声を出すの」

「へえ」


試しに返事をしようとすると、口から短い声がこぼれた。


「あぅ」

「お、聞こえてたのか?」


(聞こえてるけど、返事は難しいんだよ)


もう一度声を出そうとしたが、今度はうまく続かなかった。

ブラインは無理に待たず、くすりと笑ってエリスを見る。


「言いたいことがありそうですね」

「そうね。何を言っているのかしら」


それが分かれば苦労しない。

クロードが小さく手を動かすと、ブラインは目を細めた。


「次に帰ってくる頃には、もう少し話せるようになってるかな」

「それはまだ早いかもしれないわね」

「じゃあ、そのときも聞く方に回りますよ」


しばらくして、ブラインは立ち上がった。

帰ってきたばかりで、まだ片づける荷物もあるらしい。


「それじゃあ、また顔を見に来ます」

「ええ。少し休んでからにしなさいね」

「分かってます」


ブラインは戸口で一度振り返り、クロードに手を振った。


「またな、クロード」


クロードも手を動かしてみたが、うまく振り返せたかは分からない。

それでもブラインは笑ってから部屋を出ていった。

アルトも、ザナンも、そして今のブラインも、同じ兄なのに少しずつ違う。

クロードは閉じた扉を眺めながら、また会うときにはどんな話が聞けるだろうと考えた。

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