046⚫️討つがよい
「レグナス・ザルン・エインだな!」
ベルスが叫んだ。
「そうだ。予がレグナスである。」
「ほお、淀みなき返答、それでこそ、仮にでも王であるな!我が名はベルス・エルド・サリオン!皇太子殿下の仇、ここで討たせていただく!」
「なるほど。あの謀反の時の……。元は兄の腹心だったな。」
レグナスは一瞬、驚きの表情を見せたが、戦闘態勢に入るカナタを制し、落ち着いて言った。
「ならば……予の命を取るがよい。それでそなたの気が晴れるならば、な。」
レグナスは抜剣しない。逃げる素振りもない。言い訳もしない。
ただ、静かに立ち続けた。
ベルスはその返答に虚を突かれた。
……怯えぬのか。震えぬのか。
「くっ!騙されんぞ!周りを警戒せよ!王の伏兵がいるのだ!」
叫ぶベルスにレグナスは静かに言った。
「誰もおらん。……予の改革は、もう止まらぬ。例えここで朽ち果てようと、予の意思を継ぐ者が出てくる。混乱もあろう、愚か者も現れよう。だが、自由と秩序を知った者たちが必ず国を導く。スクールで、街角で、森の中で、賢者たちは育っているのだ。この人生は二度目である。栄華を極めてここに戻って来たのだ。志半ばであるが、十分に生きた。予が兄たちに行った過ちは糾弾されて当然である。構わん。討つがよい。……あとは任せたぞ。」
王を囲む手勢に僅かに動揺が走った。
王の達観を目の前にし、今の国内の状態に誰もが思いを馳せた。
生活環境は格段に向上している。
ベルスは振り上げた手を下ろしきれないでいた。
「そこまでだな。」
背後から声がかかった。
バルハインが立っていた。




