覚醒の正体Ⅰ
「これが、覚醒ってやつなのか……?」
自分で自分の目を見ることができないため、覚醒しているということがわからなかった。
「ちょっと待ってて。手鏡をとってくるわ」
そう言って和葉さんは休憩室に戻ろうとするのを大輝が遮った。
「こういうことのためにお前の能力があるんじゃないのか?鏡とか生成できるだろ?」
「あ、そうか」
軽く脳内でイメージする。呪文を言わなくても自然と目の前で光が集まっていく光景が目に入る。やがて集まった光は鏡の輪郭を形作り、一つの鏡を生み出した。
と思ったらとんでもない数の手鏡が現れた。ざっと百は越えているだろう。
いや、多すぎだろ。誰がそんなに使うんだよ。加減を知らねえのか。
「翔太、セーブぐらいはしろよ。覚醒した異能は影響力がでかいから、気を抜けばあぶねえんだぞ」
「わ、悪い……」
大輝自身も覚醒した経験があるからか、厳しめの声音で注意された。
「てか、オルガに半分とられたのにも関わらず、覚醒したら元の何倍にもなるんだな」
覚醒して能力が二倍になるなんて勝手に思っていたせいで、半減した能力が通常の状態に戻ると予想していた。しかし実際にはちょっとイメージしただけで具現化してしまったわけだ。
この状態で武器を生成したらどうなるんだろうか……。戦争レベルになっちまうんじゃねえか?さすがに危険すぎるだろ。これこそがこの異能が最強と呼ばれた理由なんじゃねのか?
「それにしてもすごいじゃない翔くん!これなら決闘祭でも勝てるんじゃない?」
さっきまで惚けていた和葉が高揚したテンションで俺の肩をたたいてくる。痛い、マジで痛い。
如月も満足そうにうなずいている。これなら役にたつわとかどんだけ上から目線なんだよと思ったが、さっきまでの俺のしていたことを踏まえればそう思われても仕方ないか。
「もっかい闘おうぜ!覚醒した今ならいける気がする!」
俺が三人に練習の続きを促すと、和葉と如月はうんうんと頷いてくれたが、なぜだが大輝は一向に動こうとしない。それどころか難しい顔をしてなにか渋っているようにも見えた。
「なんだよ、なんか問題でもあんのか?」
その表情が気になってしまい聞いてみるが、曖昧な返事しか返ってこなかった。
「うーん、まあ、やればわかるんだよな……」
「どういう意味だよ?」
そんな気になるセリフを残して、再び戦闘の場所へ移動するのだった。




