決意とやる気は等しいとは思わないんだ
俺の怪我らしくもない怪我もすっかり治ってしまったが、それを理由にして二、三日学校をずる休みしていた時だった。
「お前、学校行かないの?」
「お兄様こそ」
俺はずる休みしているのでいいんだが、いや本当は良くないけど、明日香は学校に行かなきゃだめだろ。
実家からやってきて俺の寮部屋に住み着いている明日香は、留学という名目でこの異能学園に通っている一般人だ。普通この学園に入るには能力を発現していないと許可が下りないのだが、我が妹を心から愛しておられる親父が裏から窓をたたいたらしい。
同じ一般生徒として通うと聞いていたのだが、なぜか今日は学校に行かずに俺と一緒に部屋でダラダラと過ごしているというわけだ。
「つーかお前はいつになったら帰ってくれるんだよ。あっちの学校の方もそろそろ戻らないとやばいんじゃないのか」
俺としては明日香にはさっさと帰ってもらって、早いとこ自分の自由な生活を取り戻したい。なにせ妹がいるとできないこととかあるじゃないですか。察してくださいよ。
「まあそろそろ戻ってもいいかなあって思ってましたけど。時にお兄様」
「なんだよ」
「今度お祭りがあるそうじゃないですか」
「まあそんな話もあったな」
仁との決闘が終わってからずっと引きこもってゲームばかりしていたせいか、今更ながらにして思い出した。
「確か、双方決闘祭とか言ったっけな」
「それです。それにお父さんが来るそうなので、そのあと一緒に帰ろうかと思いまして」
「ふーん」
そういえば、この学園は学園祭の時だけ一般の人も入れるように公開してるって大輝が言ってたな。どっかの親御さんが子供に会わせろ、って問題が起きたらしい。
明日香一人で帰るのではないなら安心かな……、って待てよ!
「え、親父来んの!?」
「ええ。お兄様がちゃんと学園で自立した生活ができているか確認するといっていました」
祭りを楽しみに来るんじゃなくて、俺を監視に来るのかよ!
明日香の言葉を聞いて、俺の中で一つ嫌な予感がしたので確認してみることにした。
「も、もし、俺が自立した生活ができてないって判断されたら、どうなるんだ?」
「なんでそんなにきょどってるんですか」
「きょ、きょ、どってねえし!!」
俺が慌てている様子を見てなぜか少しうれしそうな顔をする明日香。
「……。確かですけど……」
ごくりとのどが鳴り、背中にひんやりとした汗がぶわっと流れるような気がした。
「私をこのままお兄様のところにおいて生活を監視させる、だった気がします♡」
……え。い、いや、聞き間違いかな?
「冗談だよな……?」
「本当です♡」
「最悪だあああああああーーーーー!!」
漫画みたいにぐはって血反吐吐きそうになったぜ……。ナニコレ、明日香がこのまま俺の部屋に住み着くってことか?それだけは絶対に回避しなくてはならないぞ!
なぜかすぐ横で、同棲、同棲って喜んでいるやつがいるんだが。確実に俺の平和が破壊されることは間違いない。
こうなったら親父が来る間だけ真面目な生活を送るしかないぞ……。ってかまず、学校に行かねば!!
俺が心の中で固い誓いを決めていると、ニマニマとした表情で明日香がその可愛らしい顔を近づけてきて言った。
「それと、お兄様がもしもその大会で優勝出来たら破門を取り消してもいいって言ってました」
「え、マジ!?」
あの頑固な親父が破門を取り消すだと?そんなことがあるのか?なんか裏で仕組まれてそうだな。いやでも、このことを明日香に話したってことは決定済みなのか。後で変更したら、明日香に嘘をつくことになってしまう。明日香ラブの親父がそんなことするはずがない。
それにしても破門の取り消しは願ってもない条件だ。
もともとこの大会はオルガから俺の『具現化』を取り返すために参加したものだし、アイツといつ対戦するかはわからなくても、最後まで勝ち続ければいい話だ。
オルガは序列三位なだけに、相当な使い手だろう。全力で闘わなければ勝ち目はない。
双方決闘祭まであと二週間ちょっとだったから、今から特訓すれば全然いけるんじゃないか。
そうと決まれば、さっそく和葉や大輝にも声をかけてみるか。
じゃあとりあえず。
明日から頑張るということで、今日はもう家でゲームの続きをすることにしました。




