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最強と呼ばれた異能VS最強を名乗る異能

今回はいつもより長めです。


剣を具現化させて投げては弾かれ、また具現化させる。かれこれ十分以上は繰り返しているが、一度たりともその攻撃は仁に届いていない。


だがまあ、俺だってバカじゃない。


これ以上続けるのは体力が消耗してしまうために無駄だと判断し、今度は自分の拳で殴りにかかる。


剣が弾かれていることから、仁の周りには異能を使ったバリアみたいなのがあるはずだ。


剣といっても俺の異能で生成したものだから異能を無効化させるバリアなのか。それとも物理的な攻撃そのものを跳ね返すバリアなのか。


俺は前者の可能性にかけて拳を選んだ。


仁の隣にいる杖を持った天使がそのバリアを作り出しているはずなんだが、天使に攻撃するのは現実的ではないだろう。


俺は異能をまともに使いことが出来なくても、もともと武術をやっていたんだ。格闘なら勝てるっ!


「はぁっ……!!」


踏み込みと同時に息を吐き出し、パンチを数回フェイントを交えながら揺さぶっていく。


仁はバリアで塞ぐことなく、素直に軽やかなフットワークで俺の攻撃を避けていく。


そして目線を誘導させて隙が空いたところで、左足めがけて蹴りを放った。


だがそれも。


ボンッと見えない空気の塊に押し返されてしまった。


「くそ……」


どうなってんだまったく。


さっきまで刀身を切断するバリアがあるのかと考えていたが、今度は俺の体を押し返す何かが急に出てきたように感じた。


本当に『未知』だな。


「へえ、黒崎くんは格闘のセンスもあるんだね」


仁は少し驚いた様子で言った。


なんか上から目線なのがムカつくなぁ。実際立場は上なんだけどさ。


「一応武術はやってたんですよ」


短く返答する。


長くしゃべることで気が抜けたり、集中力が切れたりしたら終わりだ。こうしている間にも次の手を考えないと!


「じゃ私もそのスタイルに合わせよう」


仁は続けざまに言う。


「第二天使を封印」


その一言で仁の傍にいた天使はすぅーと消えていった。


結局あの天使の能力がなんだったのかわからずじまいだ。一つくらいはネタバレしてくれてもいいのにな。


まあ面倒なやつが消えただけましか。これでおそらくだが、俺の攻撃が通るはずだ。


「本来なら拳と拳でぶつかるのが正しいのだろうけど、それでは私の異能は半減もいいところだ。悪いがもうひとつ追加させてもらうよ」


え、殴り会うんじゃねぇのかよ。


お前は異能使っちゃうのかよ。


「第三天使を召喚」


今度もやはり似たような魔法陣から一人の天使が出てくる。だが先の天使と違っていたのは、なぜかピカピカと光っていた所だった。


「じゃ行くよ」


その言葉が聞こえたときには、仁の蹴りが俺の顔面に向かって飛んできていた。


「あぶっ……!!?」


ギリギリで上体を反らして回避することに成功する。


安心したのもつかの間、仁は着地と同時に背面からまわし蹴りを放ってくる。


ヤバイぞ、この速度ではかわせない!


狙いは急所。


とっさの判断で両腕をクロスさせてガードしたが、その威力は半端なかった。


「うそ、だろっ……!!」


まさにその表現はドーンって感じだった。


仁の蹴りを受けた俺はそのまま壁まで吹き飛ばされてしまった。


さすがに俺がぶつかった衝撃で壁にヒビが入るとかめり込んで貫通とかはなかったが、それでもかなりのダメージだ。


無理やり立ち上がろうとしても、ふらついて座り込んでしまう。


なんつー威力だよこれ。


もしかしてこの人、武術に関しても一流なのか?


「今のは第七天使の能力だよ。今はもう消えてるけどね」


そんな声が聞こえた。


顔をあげると、仁が俺の方に歩いてきている。


なるほどな。この威力は一発限りの破壊砲ってわけだ。自分の攻撃を倍増させるとかそんなところか……。


仁は俺の目の前まで来ると、しゃがみこんで笑った。


「どうだい。私の異能は」


これは完全に勝利を確信して油断してるな。


勝負はまだ終わってねぇはずだろ。油断してやられるほうが悪い。


不意打ちもひとつの戦法ってな!


そう思った俺は即座に右手にマグナム銃を生成すると、仁めがけて発砲した。


「はは……、まだ決闘は終わってないですよ」


本物の弾丸ではないが、一応当たれば気絶するはずだ。


そう、当たればの話だ。


俺が放った弾丸は仁の体をすり抜けて遥か向こうへと飛んでいく。


そして俺が狙った仁の体はグニャリと歪み始めると、ふっとその場で消えてしまった。


「………は?」


またか。これはまた別の天使の能力なのか?


「今のは第三天使が造り出した虚像だ」


仁は俺のとなりに壁にもたれ掛かるようにして立っていた。


つまり俺が攻撃したのは幻影だったわけだ。そりゃ当たらねーわな。


仁の方に顔を向けると、俺の顔面めがけて拳が飛んでくる。だがそれは寸止めだった。


は、は。なんて闘い方をするんだ。これが一位の戦闘か。こんなの勝てるわけがない。


序列の高いやつらは全員強い能力を持っていると思い込んでいたが、この人は別格だ。


強いっていう次元ではなく、上手いんだ。戦闘が果てしなく上手い。


挙動に無駄がなく、すべてのプロセスに勝利への布石が敷かれているとしか思えない。


「俺の………負け、です」


こんな()()()に勝てるわけがない。


「そうかい」


なぜか仁は悲しそうにそう呟いた。










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