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三つの原点


秋鳥羽仁あきとばじんは訓練場まで続く長い廊下を一人歩いていた。


彼がさっきからずっと考えているのは一人の男のことだった。かつて親交があった男。そして今はもう学園にいない男。学園序列0位という既に存在しない椅子に座っていたことを思い出す。


いつだったか意見の対立をきっかけにあいつは事件を起こした。


この異能学園が創られる契機となった『災害』に次ぐほどの事件だったのを覚えている。


そして。


この学園から忽然と姿を消した。


「どこにいるんだ……クソッ!!」


仁は会議室で取り繕っていた冷静な自分を忘れ、湧き出た感情に任せて壁を殴りつけた。


その痛みは徐々に過去の記憶を呼び覚ましていった。


##


「いい加減にしないかっ!これ以上はただの犯罪なんだぞ!」


「仁てめえまだわかってねえのか?俺らは学園という実験室に閉じ込められたただのモルモットなんだよ!!人間じゃねえ。能力者つー化け物の烙印を押されたんだよ!」


「だがゼロのやっていることは許されることじゃないっ。何人の人を殺したと思っている!!」


二人は互いの胸ぐらをつかんだまま怒鳴りあっている。


「おいそこまでにしとけって。秋鳥羽も闇陰も抑えろ」


二人を引きはがそうと第三者が間に入るが、突き飛ばされてしまう。


「てめえはすっこんでろ。五十嵐」


闇陰は秋鳥羽の胸ぐらをつかんだ手をぐっと向こうに押し返して、突き放してから言った。


「これ以上俺のすることに干渉すると、文字通り潰すぞ」


殺気をはらんだ紅い目で睨みつけてくる。


「お前が異能を使うというのなら俺も異能を行使することになるぞ」


秋鳥羽も負けじと正面から睨み返す。


「てめえの『未知アンノウン』で俺に勝てると思ってんのか?」


##


結局私は奴との決闘で負けてしまった。奴の異能に勝てなかった。


そして闇陰零やみかげぜろは研究者たちを殺して学園から逃亡した。


未だ防衛隊が捜しているらしいがそれだけでは圧倒的に足りない。


私にもその責任の一端があるのだ。


「必ず見つけ出してやる。………待っていろ」


仁は微かに赤くにじんだ拳をぎゅっと握りしめると、訓練場の扉を開いた。





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