敵か味方か両々か
「ふむ、………やはりか」
全てを聞き終えた後で仁はそう言った。
「なにがやはり、なんですか?」
俺と同じ疑問を抱いた大輝が手を挙げた。
ついでに回りを見てみると、双子の桜城姉妹もキョトンとした表情で、顔を見合わせていた。
ややおいて仁がおもむろに口を開いた。
「その事件で奴らが接触したとすれば、近いうちに再び大きな事件を引き起こすはずだ。この時期ならば……」
「双方決闘祭があるわねぇ」
手をあごの先に当てながら、和葉が言葉を繋ぐ。
「祭りの士気に紛れようというわけか。なら目的はなんなんだ……。奴らのメリットがあるとすれば」
「六魔の壊滅」
今度は別の誰かが繋いだ。
和葉や大輝、如月でもない。
だがどこかて聞いたことのある声だった。
誰だっけ、そう思って向けた視線の先にはとんでもない奴がいた。
オルガ・グランフォード。
以前俺の『具現化』を奪った男。
『幽霊の心臓』の一員のはず。
どうしてここにいる……っ!?
あの時は黒いフードを被っていてはっきりと顔を認識できたわけではないが、こいつの向けるこの無機質で冷淡な視線には覚えがある!!
俺の中で何かが急激に混み上がってくるのを感じながら、勢いに任せて立ち上がろうとしたそのときだった。
大輝が俺の腕をつかんで無理やり座らせたのだ。
力強く押さえつけられたことで、椅子に尻を打ち付けた痛みが俺に少しだけ理性を呼び戻す。
そして大輝が俺に耳打ちしてくる。
「落ち着け。今のオルガは六魔だ、忘れるな」
「だけど……!」
今のいままで全くオルガのことを意識しなかった。視界に入っていたはずなのに、どうしてわからなかった!?
あいつがまた何かの異能を使っていたのか?
「確実な証拠がない以上は、あいつを訴えることも取り締まることもできねぇ。それに今お前がことを起こせば、お前が罰を受けるだけだぞ」
「くっ……」
オルガがいるということは完全に『幽霊の心臓』のスパイじゃねえか。どうすんだよこれ!接触して俺の異能を取り返せるチャンスかもしれないのに!!
何もできないという事実から生まれる悔しさを奥歯で噛みしめる。
落ち着け俺。
ここで暴れてはすべてが本末転倒じゃないか。
大会にオルガを参加させるのが前提条件だ。今警戒されると、最悪姿を消される可能性がある。
「…………とりあえず続けるよ?双方決闘祭において────。──という可能性もあるから、────。要するに───が一番いいだろう」
その後しばらく仁か作戦を話していたようだったが、ほとんど頭には入らなかった。
一通り話し終えたようで、全体を見渡すと質問を促した。
………ん、質問かぁ。特に……いやまああるけど、今回の件と関係ないしなぁ。
いや、ダメもとで聞いてみるか?
一つ思い付いたので、思いきって手を挙げてみた。
「仁さんの異能はなんなんですか?」
会議室に沈黙が流れた。




