学園最強の男
「それで仁さん、アイツは見つけられたんですか?」
「いや。今回もダメだった。本当にすまない。私の力不足だ」
「いや!仁さんが悪いわけじゃないですって!」
先程からずっと大輝と序列一位の男の二人だけで話している。
二人の仲がいいのか、話しかけられるのが序列二位の大輝だけなのか、はたまた別の理由があるのかはわからないが、こんな感じで会議って呼べるんだろうか。
僕は呼べないと思いまーす!
「まあアイツの件は別の機会に話そう。今回は『断罪派』と『幽霊の心臓』が動き出したことに対して議論したい。そこで……」
序列一位はなぜか俺と和葉の方をみる。
「あ、この二人は参考人として呼んだんです。副会長の水無和葉と、一般生徒の黒崎翔太です」
大輝は身ぶり手振りを加えながら、若干早口で俺たちのプロフィールを紹介する。
てか、今説明すんのかよ。こういうことは事前に言っておくべきじゃないのかよ。
「ふむ、そうか。………私も自己紹介が遅れたな。序列一位の座につかせてもらっている秋鳥羽仁という。以後よろしく頼むよ」
秋鳥羽仁はニッコリと笑って言った。
俺が女なら思わず惚れてしまうくらいの爽やかさであり、かといってチャラさなど全く感じない上に、決して品は損なわないだけの礼儀ただしさも感じられた。
まあなんていうか、素で感心してしまった。
今時こんなことできるやつなんて数えるほどしかいないからな。
この学園においては、自分の異能だけが自分の地位を高めてくれる。プライドを失ったやつは生きていけないのだ。
だからこそ誰もが傲慢と虚勢を使いこなし、毎日をくぐり抜けている。決闘で負けた者は敗者としてしか生きれない。勝者だけがはびこるこの学園で他人の顔色を伺うなんてやつはいないのだ。
それなのに秋鳥羽は相手を見下さない。同等の仲間として、共に生きる敵として俺たちを認識したのだ。
そういや、破門にされた親父も礼儀だけは大切にしろって言ってたっな……。敵に対する最大の賛辞だとかなんとか。
「よろしくねえ仁くん」
和葉は仁に手を振って応えていた。
にしてもいきなり下の名前で呼べるのはすげぇな。いや、同級生だから面識くらいはあったんだろうけど。
まあ俺も一応挨拶くらいはしとくか。
「あ、っと、どうも黒崎です。秋鳥羽……先輩?」
和葉と同級生だから俺にとっては先輩に当たるよな?大輝も敬語使ってたし。なんてことを考えていると、
「いや、普通に呼んでくれ。先輩というのはどうもなれなくてね」
今度ははにかみながら言った。
ふむ、そういうものなのか?俺は先輩って言われると嬉しいタイプなんだけどなぁ。
……まあそういう人もいるか。堅苦しく思ってしまうのかもしれない。
「まあこれくらいにして本題に入ろうか。とりあえずやつらの現状と目的、これからの対策を話したいと思う。二人とも説明を頼むよ」
仁は俺と和葉に合図を送ってくる。
俺たちは互いに目配せすると、曖昧になりかけている記憶を手繰り寄せるようにゆっくりゆっくりと話し始めた。




