そんな電話は望んでいません①
その日の夜、ぐだぐだに疲れきった俺はなだれ込むようにして自分の寮部屋へと入った。
すると我が物顔で悠々とくつろいでいる明日香が俺に気づいてやって来る。トテットテッとした軽い足音が聞こえるなか、定番のフレーズを放つ。
「お兄様♡ご飯にします?お風呂にします?それとも~」
眠い。今日はいつにもまして眠すぎる。簡単な飯でも作って、風呂に入り、すぐに寝ることにしよう。
足を引きずるようにして、俺は微動だにしない明日香の横を通りすぎようとした時、
「たちょっ!」
たちょっ?なんだそれ。
いきなり意味不明なことを言うな。
「ちょっと!最後まで聞いてくださいよ。お兄様ぁ~」
明日香は全体重をかけるようにくっついてくる。あぁ、本当に重い!
「今日はまじで疲れてんだよ。勘弁してくれ」
「そうですか……」
俺の口調から本気で疲れていることを悟ったようで、すんなりと手を離した。
しゅんとうなだれる明日香。
いや、そんな上目遣いしても無駄だからな!こっちは演技だとわかってんだ。あぁもう畜生、可愛いな!
そうこうしているうちに本気で諦めたのか、
「でしたら、寝る前に雨坂さんに電話してあげてくださいね。さっきから何度もかかってきてやかましかったので」
おい、最後に本音が出てんぞ。
それにしてもあいつが家に電話だと?あ、俺の携帯の電源切ってたからか。にしてもなんの用事があるってんだ。
よいしょと口にしながらソファに腰を下ろしたところで、電話が鳴った。タイミング最悪だなぁ、とか思っていると、明日香が持ってきてくれる。
実にありがたい。頭を撫でてお礼を返すことにしよう。(適当)
「もしもし?」
相手はやっぱり大輝だった。
「何か用か?何度もかけてくれたみたいだけど」
「お、その声は翔太か」
俺以外に誰だっていうんだ。
「いっかい、明日香ちゃん出たんだけど、呪いの言葉を吐かれたぜ」
「あいつそんなことしてたのかよ………」
「それより伝えたいことがあってさ。明日緊急会議に参加してもらうことになってな」
「誰が?」
「お前が」
「どうせ和葉さんと三人のおしゃべり会議だろ?行かねぇよめんどくさい」
「いや、マジの奴だって。六魔全員集合だぞ」
俺は六魔じゃないので行かなくていいだろ、そんなことを思っていると、
「あ、翔太は『幽霊の心臓』と接触した重要参考人として連れてくるように言われたんだわ」
あ―――――そんなこともあったな………。
「オルガに異能をとられたこととか説明してほしいんだが、まあそのオルガも六魔として参加してんだよな」
「どうしろってんだよ」
すると大輝は俺のツッコミをスルーして話題を変えた。
「それにしても翔太は運がいいよな」
「は?」
会議に無理やり参加とか運が悪いだろ。何を言ってるんだこいつ。
意味がわからなくて聞き返すと、大輝はとんでもないことをさらに言った。
「序列一位が学園に戻ってきて、会議に参加するんだよ。一般生徒はほぼ見る機会ねぇからな」
序列一位だと………?




