トリオの取り押さえ
次に目を覚ましたのはどこかの倉庫の中だった。
「………んあ? あれ、ここ……?」
なぜだか俺は椅子に手足を縛り付けられた状態で寝ていた。
「えっと……」
この状況を見てもなにが起きているのかがさっぱりわからない。というか、思い出そうとすると頭の後頭部がずきずきと痛む。
なんでこんなところにいるんだ? てか、俺は何してたんだっけ?
天井から延びる数本の蛍光灯のおかげで、意識だけは急速に覚醒していくが、一向に自分がここにいる理由だけはわからなかった。
「お目覚めかね、黒崎翔太」
誰かいるっ!?
慌てて首だけを声のした方に向けると、そこにはがたいのいい男たちがいた。先陣を切って出てきたのは三名。
服を見た限りでは、俺と同じ学生服を来ているのでおそらく学園の生徒たちだろう。いやなんか白とかピンクのマント羽織ってるけど。
その中の一人が再度話しかけてくる。
「黒崎翔太。君はなぜここにいるかわかるかね?」
武術の心得があった俺としては、コイツの体を見ただけで直観した。
強い。それもかなり。ふざけたなりだけど。
別に今すぐに闘うわけではないが、ここから強引に逃げ出すことはできそうにない。
出来るだけコイツとは闘いたくないな、と思うほどには強さを感じた。
「いや、わからないんですけど」
内心の震えをなんとか抑えながら、困惑した声で答えてみる。
すると、側にいた若干小太りの男が言った。
「君の罪は和葉様に近づいたことだよ!!」
なぜか半ギレだった。
「は? ………和葉さん?」
なんでここで和葉の名前が出てくるんだ?
「そうやって親しげな呼び方も気にくわないであります!」
続けざまにかなり長身の男が憤慨する。
180センチはあるだろうか? つり下がってる蛍光灯に頭が当たっていた。なんか、痛っ、とか言ってるし。
「まだ僕らが誰だかわかってないようだね」
「教えてやるよ!!」
「いくであります!」
そう言って各々が決めポーズらしき格好を取り、
「我ら! 水無和葉様を御守りするKZH親衛隊!!」
「はーん」
「「「反応うっすぅぅぅ!!」」」
いや、なんとなく流れで気づいてたからね?
というか迂闊だった。今更ながらに和葉に言われていたことを思い出す。
『親衛隊の子たち、面倒くさいから絡まれたらダメよぉ?』
まさか本当に絡まれるとは思ってもなかった。
「てか、KZHってなんだよ? 語呂悪いな」
「なにを! 和葉様の御名前を愚弄する気か!?」
「僕らの名前と一致してるんだよ!! これは運命なんだ!」
「リーダーの神月護殿! 2番手の象島俊殿! そして吾輩が踏富吻であります!三人そろって親衛隊でござる!!」
「ちょっと待て! 最後なんて言ったぁ!?」
「いやだから、三人そろって……」
「その前!」
「リーダーの……」
「飛びすぎだから! お前の名前を聞いてんだよ」
「は………」
は ?あれ、さっきそう言ったか?
「は、恥ずかしいでござるぅ……」
うっせ! 黙れ! その上目遣いやめろ! 気持ち悪いんだよ!
「ああもう! んじゃああそこにずっと座ってる奴は誰なんだよ!?」
これ以上は気持ち悪い長身の男を見ていられず、目をそらした先にいた気になっていた奴を指さした。
「「「あ……」」」
三人は一斉に押し黙る。
「ども、忍野です……」
そこには膝を抱えて座っている一人の男子生徒がいた。




