探し物は突然に
俺と大輝はどこかに隠れている(らしい)篠垣たちを捜すことにした。
とは言ったものの、八階建てのデパートで鬼ごっこをするようなものだ。そう易々と見つかるはずがない。その上、G2の異能『座標』を使って移動し続けてしまえば、捜すなんて無理じゃないか。
そんなことを大輝に伝えてみると、意外な反応が返ってきた。
「それはないな。『座標』の能力は、自在に移動できるわけじゃない。自分が過去に触れた人間のもとへしか転移出来ないんだ。奴らが現れたのは、俺を座標にしたんだろうな。それに転移後はある程度の時間を置かないと、再度使用出来ない」
「なんだよ、やけに詳しいじゃねえか」
「まあちょっとな……。あいつとは知り合いなんだよ」
「敵なのにか?」
「もともとあいつは─────恵那美霊は、生徒会の書記だった。なのに、突然辞めたって聞いてな。今日久しぶりに会ってみりゃ『幽霊の心臓』に入ってるとはな……」
前に六魔と生徒会は交流があると言っていたから、定期的にでも話をしていたんだろうか。
「副会長に美霊が辞めた理由を何度も聞いたが、教えてくれなかった」
「和葉さん、なんか知ってるのか?」
「知ってるようなそぶりを見せてただけだ。ホントは知らないのかもしれん。あるいは『言わない』んじゃなくて、『言えない』のかもな……」
まあ、あの人もいろいろあるからなぁ……。
「ところで……」
「なんだよ」
「さっき、美霊、って言ったよな? 下の名前で呼んだよな? あいつらが転移してきたのは、大輝を座標に指定したからってことは、接点があったって事だよな?」
「………ッ!! なんでお前はそういうとこだけ聡いんだよ」
いつもはチャラい大輝だが、女子との浮ついた話は聞いたことがなかった。
俺がジーッと見つめていると、やがて大輝は両手を挙げて降参するポーズをとった。
そして、白状する。
「美霊がまだ生徒会に入ってた頃は、俺はあいつと付き合ってたんだよ」
「チッ、死ねよ」
ただの自慢話だった。
「おおい!? お前が聞いたんだよな!?」
「で、お前が浮気して愛想を尽かされたと」
「ちげぇよ。美霊が生徒会を辞めてから、会えなくなって、疎遠になったというか……」
大輝は、はぁとため息をつく。
いつもの大輝からはまるで想像できないような表情だった。
あれ? コイツもしかして落ち込んでる?
普段はこういう系の話をまったくといっていいほどしないからか、大輝の知らなかった一面がどことなく新鮮に思えた。
そうやってニヤニヤしながら、大輝の方を見ていたせいで、角を曲がった先で人とぶつかってしまった。
向こうは倒れて尻餅をつく。
「あ、すみません……」
条件反射で謝ってしまったが、まてよ?今どうしてここに人がいるんだ?
そう思って倒れた相手を見ると、
「「あ!」」
声が重なる。
そこにいたのは、半身が黒く染まりかけた明日香だった。
登場人物に『恵那美霊』を追加しました。




