第六魔導生VS断罪派
「うぐぁぁー」
「ゲホッ……」
「あ’あ’あ’あ’……」
聞こえてくる声はそんな声ばかりだった。
俺たちを囲んでいる断罪派の奴らは、全員そろいも揃って真っ黒なままの状態で、なぜか苦しんでいるように見える。
俺たちを警戒しているのか、囲んだままで攻撃してくる者はいない。あるいは篠垣たちの逃げる時間かせぎのつもりなのか。
「なぁ大輝。あいつらは今、どういう状態なんだ?」
「まあ、能力にかかった状態だろう。いわゆる一つの洗脳って奴だ。」
「自己意識がないから、ああいう声を発してるってことか」
「かもな」
なんだかかわいそうだとは思うが、奴らが断罪派の一員でなかったならば、今日ここに来なかったならば、こんなことにはならなかっただろうに。
だがこれらはすべて『もし』の世界だ。
現実はそうではない。
だから、そんな話をしても終わりは決してない。
「なあ翔太、一つ気づいたことがあるんだが」
なんだ?と聞き返してみると、
「さっきまで俺が水の異能を持つ奴と闘っていただろ?あの時あいつはすげぇ動きしてたんだよ。見えてない角度から俺が攻撃しても、するりとかわしちまうんだ。まるで第三の目があるかのようにな。でも今は、他の奴らと混ざって喚いているだけなんだ。」
あ、ホントだ。
あの男はもう異能を使っていない。というか、他の誰も異能を使っていない……?
「ここで一つの仮説が生まれる」
「ほう、つまり?」
「あいつの、篠垣の異能『掌握』は、掌握する対象が増えれば増えるほど、細かいコントロールが出来なくなるんじゃないかってな」
大輝の言うとおりだった。
篠垣が一人だけを洗脳していたときは、大柄の男は大輝と拮抗するくらいに闘っていたのに、篠垣が大勢を洗脳している今は、意味のない言葉を叫ぶだけの肉塊に成り果てている。
「んじゃあ、異能も少し分かったところだし、ここはもう突破しますか!」
「だな」
「じゃあここは俺の異能『具現化』で……」
「いや、お前の異能は最後までとっておけ。今ここで体力使い果たしたら、どうする気だよ」
まあそうなんだけど。
でも、俺の活躍する場所が……!!
「とりあえず非電導のなんかつくっとけ」
「任せとけや最近科学の授業で知った最先端の奴をな」
俺は『具現化』で絶縁体のマントを創り出して、それを頭から被った。
間髪入れず。大輝は叫ぶ。
「『過剰放電ッッ!!』」
「「「あ’あ’あ’あ’!!??」」」
断罪派の奴らは全員電撃をくらったようで、ドミノ倒しのようにばったりと床に倒れていく。
「ん?………あれ」
俺は思わず湧いた疑問を口にした。
なぜかって?
彼らにとりついていた黒い膜が割れてなくなっていたんだから。




