先入観と既視感の錯綜
戦闘を終えた大輝と何もせずに見ていた俺は、和葉たちと合流することにして、フロアを歩いていた。
「なんで断罪派が攻めてきたんだ?」
「知らねぇよ。さっきの奴らに聞けばよかっただろ」
「つーか、翔太は副会長とデートでもしてたのか?お前こそなんでここにいるんだ?」
「違ぇよ。もともと明日香と来てて、たまたま和葉さんと遭遇しただけだ」
今度デートするかもなんて絶対言えないな。口の軽い大輝に言えるわけがない。
そんな感じで雑談をしていた俺たちの前の方で、いきなり空間が歪み始める。
「なんだコレ?」
俺に聞かれても。
やがてその歪みは一つの小さな球体へと変化して、なにかの輪郭を形取り始めた。
なんだろう、まるで人間の型のような……?
「……まさか、コレって……」
大輝はなにかを察したようだが、俺には検討もつかないんだが。でもやっぱり人間のような……。
それはやはり人間の形だった。
人間を描いた輪郭からだんだんはっきりと姿を創っていく。
そこから現れたのは二人の少女たち。
あ、あれ?断罪派から逃げてきた生徒か?
「………んしょ」
「ありがとねーG2。運んでくれて」
「………ん。どういたしまして」
二人は黒い服装にフードを被っていた。
顔は見えなかったのに、妙な既視感を覚えた。
んー?小柄な少女の方はどこかで見たことあるような?どこだったっけ?
そう思いながら彼女たちの方へ近づいていこうとすると、大輝がバッと俺の前に手を伸ばした。
「それ以上は近づくな翔太。下がってろ」
さっきまでとはまるで違う表情の大輝だった。
「ど、どうしたんだ?」
大輝は二人の方を見たまま、動こうとしない。まるで睨むかのように。
「アレあれ?黒崎翔太くんだけだと思ったのにー?なんで君がいるのかなー?雨坂くん」
は?なんで俺の名前知ってるんだ?てか、こいつらは一体だれなんだ?
「………はあ。やっぱりお前らの仕業だったか……。道理で断罪派が動いたわけだぜ」
「おいおい!大輝、どういうことなんだよ」
ついて行けない俺に、大輝は言った。
「翔太。コイツらは前に話した『幽霊の心臓』だ。覚えてるか?」
「あれー?アタシたちの噂でもしてたの?嬉しいわねー」
長身の方の少女はキャハハと高らかに嗤う。
う、嘘だろ?
コイツらが『幽霊の心臓』だと……?




