久しぶりの日常ルート
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピッ……。
一定のリズムで騒ぎ続ける目覚ましを平手打ち。
止めたつもりはなかったが、どうやら衝撃で止まったらしい。
まあチープなやつだからな。
体はまだ起きたくないと、そう訴えかけているが鞭を打ってベッドから這い出る。
今日は普通に平日。
当たり前に学校もある。
だが、俺の体は昨日の決闘の疲れからかまだまだ睡眠を欲しているらしい。
異常なほどに感じる重い体を引きずりながら、俺は学校に行く準備を始めた。
朝食に食べる予定は食パン、ハムエッグ、以上。
あ?一人暮らしの男子高校生に過度な期待はするなよ?こんだけで充分なんだよ。
いや別にね、普段はもっと手の込んだ料理造ってるけど、描写するのが面倒くさいとかじゃないよ?
ホントダヨ?
焼き上がった食パンを悠々とかじる。
テレビをつけてみるも、ぜんぜん頭には入ってこないうえに、俺の興味を引くようなニュースは見当たらない。
強いてあげれば、今日一日晴れってところか。
牛乳を一口含む。
それを飲み込もうとした時、来客を知らせるチャイムが鳴った。
ゴクン………。
おい、まてよ。今何時だと思ってんだ?
ああん?7時前だぞ?
こんな朝早くから訪ねてくるかふつう。
常識ってもんがないのか?
益体もない不満ばかりが口をつく。
どうせ大輝とか、か。
そう思って無視を決め込み、牛乳をもう一度口にしたその時。
「お兄様ぁー。まだ寝ていらっしゃるのですか?愛しい愛しい明日香ですよーー?」
ブハァ!!
お約束通り牛乳を全て吹き出してしまった。
いやいやいや。待てよ待ってくださいよ。
確かに俺を『お兄様』なんて呼んでたのは、妹の明日香ただ一人だ。
だが、その明日香は今、遠く離れた実家にいるはずなんだ。
ましてや、身内の面会を厳しく取り締まっているこの学園の寮に来れるはずがない。
ふう。冷静に考えたら、あり得ない声なんだ。
これは俺の幻聴。そうだ幻聴だ。幻聴に違いない。
……それにしても、妹の幻聴を聞く兄とかちょっとヤバいですね。
「お兄様?……ぐすん。もしかして明日香にお会いしたくない、とかなのですか?うぅ……」
なんか玄関先で誰かの泣き声が聞こえるんだけど。
まあ大輝じゃないのは分かった。
だとしたら……
俺は牛乳が残っていたマグカップを机において、急いで玄関まで走る。そのまま流れるように扉を開けた。
「おっはよー!明日香ちゃん!お兄ちゃん今起きたんだよっ!!」
いやいや、ひとんちの部屋の前で泣いてる女の子がいる、って通報受けたらどうすんだよって話ですよ。
ベ、別に、妹が心配で扉開けたんじゃないんだからねっ!
そこにいたのは泣いている明日香ではなく、ニッコリと嬉しそうに笑う明日香だった。
コ、コイツ。嘘泣きだったな……!?




