63話「決闘トーナメント 第2予選①」
お久しぶりです。また週一更新に戻ります。
「よし、行きますかね」
第2予選の準備が完了したという連絡を受け、第1予選を勝ち抜いた冒険者50人に集合を命じられた。
ハヤトは肩をグルグルと回しながら、会場へと足を運ぼうとしていた。すると、コリンがハヤトの近くまで駆け寄る。
「師匠、頑張って下さいね!!みんなと応援してますから!!」
可愛らしく微笑む彼の弟子であるコリンは、この笑顔と裏腹に第1予選では予想を遥かに超える激戦を勝ち抜き、1位で通過するという快挙を遂げた。
だからこそ、師であるハヤトは負けられない。弟子がこんなにも成長し、結果を残したのだから。
「なぁ、コリン」
「はい?」
ハヤトはコリンの頭に手を置き、優しく撫で、コリンの目をハッキリと見て言葉を出した。
「Fランクである俺をここまで慕ってくれてありがとな」
ずっと前から、コリンに対して言いたかった言葉であった。所詮、『アンチドラゴン』という異名があり、実力があってもギルドではハヤトは最低辺であるFランク。周りから尊敬されることや、慕われることなんて滅多にない存在だ。
逆にコリンもFランクであるハヤトを師にして、通っていた道場では馬鹿にされていたに違いない。それでも、彼女はハヤトのことを尊敬した。彼女の努力を肯定し、Sランク冒険者になるという夢を追いかけるというきっかけをくれたハヤトのことを………。
だからこそ、ハヤトは言いたい。こんなにも、自分を慕ってくれるのだから。
「お前を必ず最高の本戦へと導いてやる。だから、今度はかっこいい俺の姿を見ててくれ」
「ーーーー!?」
ハヤトはそう言い、コリンの肩に手を1回だけポンと置いたあと、扉の方へと向かい会場の方へと向かった。
「師匠の馬鹿ぁ…………」
残されたコリンは顔を真っ赤にして、涙を浮かべていたのは言うまでもない。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「皆の者よ、来たでござるか??」
50人の赤グループの前に現れたのは、マーガルギルドSランク5位の冒険者、ゆーみんであった。ちなみに、会場の方は第1予選と同じくジャングルのままであった。
「あんたが、第2予選の責任者なのか??」
「いかにも」
ハヤトの問いに、ゆーみんはメガネをクイッと上げ、ドヤ顔で答える。
「今から第2予選の説明をするでござる。ステージは見ての通り、第1予選で皆の者が戦ったジャングルでやってもらうでござる。第1予選と違うのはモンスターがいないということでござるな。しかし、モンスターの代わりに彼女たちが相手になるでござる」
「「!!!????」」
ゆーみんが、手をパンパンと叩くと、冒険者の目の前にモンスターの代わりとなる相手が現れ、その姿を見て全員唖然していた。それも無理はない。
なぜなら、その相手は…………
メイド服を身につけた幼女達であったからだ。ゆーみん曰く100はいるのこと。
「ふざけんな!!」
1人のモヒカン頭の男性が血管を浮かべながら叫ぶ。確かに、第1予選でSランク級のモンスターと退治することがあったのにも関わらず、その代わりにメイドが現れたら怒るのも当然の話であった。
しかし、ゆーみんはその男性の言葉を無視して話を続ける。
「彼女たちは、ただのメイドではないということだけ言っておくでござる。そして、第2予選のルールは簡単に言うと、鬼ごっこでござる」
「鬼ごっこ??」
「いかにも。モモたん、ユズたん、スーたん、リノ、ウォリたん。前に出て欲しいでござる」
ゆーみんの呼びかけで、5人のメイドが前に出る。彼女たちの腕には、キラキラと輝くリングがつけられていた。
「皆の者はジャングル内でこの5人を見つけ出し、腕についているリングを手に入れた者だけが決闘トーナメントの本戦に出れるでござる。」
5人ということは、参加者50名いるなかで決闘トーナメントの本戦に出場することができるのはたった1割だということ。
「他の95名は、鬼となって皆の者を追いかけるでござる。今回は赤バッチを破壊されるだけではなく、彼女たちに『タッチ』された時点で脱落でござる。」
第1予選と比べて、脱落する可能性が高くなったが鬼がメイド幼女であるせいなのか、そこまで反発は無かった。……………今はまだ。
「何か、質問はあるでござるか??」
「はい」
紫色のオカッパ少女が手を挙げる。
「どうぞ」
「もし、全員が捕まってしまった場合は??」
この問いに、ゆーみんは笑顔で一言。
「赤グループは所詮、その程度の冒険者しかいなかっただけでござるな」
「ーーーーーーーッッ!??」
ゆーみんの返答に、冒険者たちは言葉を出すことが出来なかった。緊張感が改めて漂うようになった。
「では、5人を先にジャングル内に入らせたあと10分後に開始するでござる。」
そう言って、ゆーみんはターゲットである5人のメイドをジャングルに入るよう指示を出し、5人はジャングルの中へと入って行った。
「最後にひとつだけ。ここにいるメイドたちはただのメイドではない。これだけ覚えておいて欲しいでござる。」
ゆーみんは最後にそう忠告したあと、何も言わなかった。
赤グループ、決闘トーナメント第2予選がまもなく開始しようとしていた。




