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60話「決闘トーナメント第1予選 通過後 前編」

コリンが第1予選に通過したあとの話です。



 コリンがウィルソンとザリバの赤バッチを破壊した直後



 〜ジャングル中央部〜



 『コリン様、第1予選1位通過です。おめでとうございます』


 「あちゃー、先越されちまったか」


 と、水色のショートヘアを揺らしながら、少しだけ残念そうな表情をしている女性、アズはそう呟いたあと


 ーーーバキッ


 目の前にアズによって倒されたのであろう大型の男性の胸についている赤バッチを強く踏み潰した。



 『アズ様、第1予選2位通過です。おめでとうございます。』



 「ま、次で1位になれば問題ないか♪」


 そう言って、シュンとアズは消えた。


 

 〜ジャングル南部〜



 「へぇ、彼女なかなかやるようだね」


 青髪のイケメンでありリンガルギルドSランク冒険者、アルバートはコリンの予選通過の報告を聞き、とても楽しそうな表情で呟く。


 しかし、そんな楽しそうなアルバートであるが、現在の彼の周りはジャングルに生息していた数多くの猛獣や参加者である冒険者が血まみれとなって倒れていたのが分かる跡が残っているなど、悲惨な状態へとなっていた。彼の顔や防具にも返り血がどっぺりとついていた。


 そして、その中で唯一、血まみれでありながらも意識のある男性が1人、大木に倒れ込んでいた。


 「君の属性スキル『花粉』はなかなか良かったけど相手が悪かったね。俺、アレルギーとかは全然ないからさ。」


 そう言って、アルバートは鼻を擦りながらその意識のある男性の方にゆっくりと近づく。


 「見た感じ、馬鹿じゃないと思うから俺の言いたいこと……………分かるよね??」


 「も、持ってけよ…………」


 その男性は震えながらも自分の胸に付けていた赤バッチを強引に外し、アルバートの方に投げる。


 「うん。やっぱり、馬鹿じゃなかったようだね」


 そう言って、放り投げてきた赤バッチをアルバートはバシッと受け取りそのまま握り潰した。


 『アルバート様、第1予選5位通過です。おめでとうございます』


 「ふぅ、これで母ちゃんに怒られずに済むな。」


 アルバートは安心そうに呟いたあと、シュンと消えた。



 そして、アルバートが通過してから1時間後………



 『シズノ様、第1予選50位通過です。おめでとうございます。これによって、赤グループ第1予選終了です!!』



 シズノと呼ばれた女性が50番目にだい1予選を通過した為、赤グループによる第1予選は終了となった。ジャングルの中、もしくは脱落してしまった冒険者たちの悔しそうな声が響き渡る。



 そして、とある部屋に合格したコリンやアズ、アルバートなど計50名が集められ、50名の目の前にはガインとカスミの2人がいた。


 「まずは、ここにいる50名が第1予選通過者だ。おめでとう」


 「おめでとう〜〜〜♪」


 Sランク冒険者である2人の言葉を聞き、合格者50名の中に歓喜を上げる者や、安心そうにする者、そして当然だろと言わんばかりの態度をとる者がいた。


 「第2予選は、他の3グループが終わり次第開始する予定だ。だから、それまでは体を休めてくれ。それじゃあ、解散だ。出口付近にに『フレッシュアロエ』を置いといたから良かったら食べてけよ。 」

 

 ガインがニカッと笑いそう言うと、合格者50名はワイワイと出口に向かった。


 「おい、そこの嬢ちゃん。待ってくれや」


 「はい??」


 コリンも早くハヤトに会うために、出口の方に行こうとしたらガインに呼ばれ、立ち止まった。


 「お前さんがSSランクモンスターに立ち向かってるの見てたよ。実に見事だった。」


 「あ、ありがとうございます」


 Sランク冒険者のガインに褒め言葉をもらい、少しだけ照れるコリン。その様子を見たガインはゆっくりと口を開いた。




 「怖くなかったのか??」




 「え?」


 ガインの唐突の言葉にコリンは目を丸くする。


 「もう一度聞く。怖くはなかったのか??」


 ガインが真剣な表情でコリンに言葉を投げかけると、コリンも真剣な表情で一言呟いた。




 「凄く怖かったですよ。けど、気付いたら足が動いてました。」




 「そうか…………。悪かったな、急に止めちまって。アロエ、食ってけよ」


 ガインはコリンの一言を聞いて、まるで聞きたかった言葉を聞けたかのような安心した表情となる。そして、コリンはガインに頭をペコッと下げたあと、出口の方に向かって行った。


 「おっさん、なにニヤニヤしてんの??正直言って気持ち悪いよ??」


 カスミが小悪魔かのような微笑みでガインに話しかける。本来なら怒りのお言葉を言われるのがいつも通りなのだが、今回は違った。


 「子供がいないお前さんにはまだ分からんよ。ほら、次のグループが来るから行くぞ。次はちゃんと放出するモンスターの件、気をつけろよ」


 (怒らないだとっっ!?)


 珍しく怒らなかったガインに対して、カスミは少しだけ不気味な気持ちへとなった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「コリンちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 「アキラさん、苦しいです………」

 

 コリンはハヤトとアキラがいる控え室に戻って来た瞬間、アキラが泣きながらコリンに抱きついた。




 「私、本当に心配したんだからね!!でも、すごくかっこよかったよぉ!!」




 「あ、ありがとうございます。」


 若干、キャラが崩れつつあるアキラに対してコリンは苦笑いをする。ちなみに、ハヤトはお手洗いで控え室にはいなかった。


 「お待たせしました。次、緑グループの皆さんです。こちらの方に集まって下さい」


 コリンの後から入室してきたスタッフが控え室にいる冒険者にそう告げる。すると、アキラは少しだけ残念そうな表情となる


 「あ、次は私だ。」


 「アキラさん、頑張って下さい!!」


 「うん!!コリンちゃんが頑張ったんだもん!!私も負けてられないね」


 「アキラちゃん!!行くよぉ!!」


 アキラの背後から緑バッチをつけている母ちゃんが現れる。


 「そう言えば、母ちゃんさんも緑バッチだったんですね」


 「そうだよぉ!!もし、闘うことになったらその時はよろしくねぇ!!」


 「こちらこそ、よろしくお願いします!!」


 (どうしよう、正直言って勝てる気がしないわ。)


 威勢よく母ちゃんの言葉に反応するアキラではあったが、珍しく心の中で本音を呟いてしまった。


 そして、緑バッチをつけた冒険者たちが控え室を退室し、コリンはモニターに流れている先程の赤グループの第1予選の映像を見ていると



 突然、自分の首筋に冷たい感触が襲う。



 「ひゃ……………」


 背後を振り向くと両手に飲み物を持ったハヤトの姿があった。


 「師匠…………」


 「ほれ」


 ハヤトは片手に持っていた『しゅわしゅわコーラ』をコリンに放り投げる。コリンはなんとかそれをキャッチし、それを確認したあとハヤトは彼女の隣に座った。


 「まずは第1予選1位通過、おめっとさん。疲れただろ??」


 「まぁ、はい。少しは…………」


 「そっか。」


 「師匠から見て私はどうでしたか?」


 恐らく、コリンは予選後、ハヤトに1番聞きたかったであろう質問を弱々しく問掛ける。




 「んー、そうだなぁ。100点満点だったら80点ぐらいかな。」





 80点……………、高いようには見えるがコリンにとっては低いものであった。自分を送り出してくれたハヤトに対し、コリンは全力で期待に応えたかった。しかし、それは叶わなかった。ただただそれが悔しかった。


 コリンは顔を俯かせ、歯を食いしばった。そして、瞳にはじわじわと涙が溜まっていく。


 「コリン、あれ見てみ」


 そんな中、ハヤトはコリンにとある別のモニターの方に指を指す。コリンはゆっくりとハヤトのその指の指すモニターの方に目をやる。


 「ーーーーーー!!??」


 コリンは指をさしたモニターに目をやった瞬間、驚愕する


 「あのモニターは観客やギルドのお偉いさんたちが参加する冒険者たちの期待度を星の数として表してんだとよ。」


 そのモニターに映っている多くの冒険者の名前と星の数がズラーッと並んでいた。


 そして、その数多くある冒険者の中で1人だけ星の数が他の冒険者たちと比べ、飛び抜けて多い者がいた。


 その者とはもちろん




 コリン ☆×1万



 コリンは何度も目を擦った。そして、再びモニターを見る。しかし、何度観てもコリンの星の数は1万と表示されていた。


 「そ………んな」


 「そして、これも見てみ」


 ハヤトはコリンに自分のギルドカードを見せる。決闘トーナメントの間だけ、冒険者や観客、そしてギルドのお偉いさんたちのコメントがギルドカードで見れるという。


 コリンは恐る恐るギルドカードを、受け取り自分のコメントを見る。



 『凄い!!』『本当に10歳なのか??』『是非、我がギルドに入ってもらいたい』『期待の星』『可愛いのに強いとか反則すぎない??』『強い』『剣士として素質あり』『コリンたん、ぜひうちの店に』『強スギィ』『いいね』『SSランクモンスターに立ち向かった時、マジで興奮した』『戦術すご』『パーティに入ってほしいな』『今後が楽しみ』『最高だ』……………などなど



 「ーーーーーーッッ!!」


 「ありえないって顔してるな。けど、見てみろよ。今、ほかの冒険者や観客、そしてギルドに関わる者、みんながお前に注目してる。」


 ハヤトに出会う前までは、ずっと批判的な言葉を周りから言われ続けてきたコリンにとっては目の前の光景が夢のような感じであった。


 「コリン」


 ハヤトに名前を呼ばれ、コリンは顔を向ける。本人は気づいていないが、コリンは涙をポロポロと流していた。



 そして、ハヤトはコリンの頭を優しく撫で、微笑む。それによって、コリンは自分が涙を流していることに気付き、手で拭いても拭いても涙が流れた。



 「この会場にいる人間達がコリンという強き戦士の存在を知ったから、追加点20点だ。おめでとうコリン。良くやったな」



 「師匠ーーーー!!う、うわぁぁぁん!!」



 ハヤトの言葉により、コリンは泣きながらハヤトの胸に飛び付く。勢いがありすぎてハヤトは体制を崩してしまう。


 「痛てて」と言いながら上半身だけ起こしたハヤトは自分の胸の中で泣き続ける弟子の姿を見て、苦笑いしたのと同時に心の中でこう誓った。



 (第2予選、絶対に通過しないとな………)



 そして、ハヤトはコリンが落ち着くまでずっとコリンを抱きしめた。

後編はほかのグループの様子をダイジェスト風にして書くつもりです。なので、後編で第1予選の話は終わりとなります。


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