55話「決闘トーナメント第一予選③」
ちょっと更新頻度落ちて着てますね。多分、ポケカのせいです。
コリン、ガレウス、クアージュの3人は武器を構えながら互いに睨み合っていた。
(むっ、あの子がつけているアイテム………、もしかして『銀狼』か??)
クアージュはふと、コリンが付けているSランクアイテム、『銀狼』の存在に気がつく。
(そうか………そういうことだったのか)
クアージュは『銀狼』を見て納得したかのような表情をとった。
Sランクアイテム『銀狼』は、全ステータスを一段落上げる他にもう1つの能力が隠されていた。
それは、自分が受ける相手の属性スキルの能力を大幅にダウンさせるという能力だった。
この能力によって、コリンはパルスの属性スキル『へびにらみ』からすぐに解放され、自由に動けるようになり、隙を見て明らかに油断していたパルスの赤バッチを破壊したという流れだった。
しばらく沈黙の時間が経過すると
「ーーーーーーー!!」
先に仕掛けたのはクアージュだった。慣れた手つきで矢を3本、弓に構えコリンの赤バッチに目掛けて射った。
コリンは持ち前の身体能力で矢をかわそうとした瞬間、
「今度こそ逃がさねぇよ!!」
コリンの背後へと瞬間移動したガレウスはコリンの腕を掴み、そのままにげられないように固定した。
そして、クアージュが放った矢がそのままコリンの赤バッチの方に突き刺さろうとしていた。
「えい!!」
「ってぇ!!」
コリンはガレウスの足を思いっきり踏みつけ、固定していたコリンの腕を緩めてしまい、それを見逃さなかったコリンは咄嗟にしゃがみ込んだ。
「あ、しまーーーーーー!!」
ーーーパリン
コリンが避けたことにより、クアージュが放った矢はコリンではなく、ガレウスの赤バッチを突き刺さり、そのまま砕け散った。
「くそがぁぁ!!」
悔しそうな表情をして雄叫びを上げたガレウスだったが、すぐにシュンと姿が消えてしまった。
『ガレウス様、脱落』
とガレウスが消えた場所から表示され、そのまますぐに消えた。
「あと………3人」
コリンはそう言いながら、ライトソードを拾い、そして構えて、残されたクアージュの方を睨みつけた。
そして、睨まれているクアージュはコリンの姿を見て、弓を構えながらゆっくりと口を開いた。
「一つだけ教えて欲しい。なぜ、君は焦っている??」
「え?」
突然のクアージュの言葉にコリンは目を丸くする。
「君はその齢にして強い。多分、俺よりも。手の血豆を見た感じ恐らく、誰よりも頑張った証拠だろう。…………だからこそ、聞きたい。君はなぜ、今を焦る??君にはまだ時間があるだろう??それなのに、なぜ」
クアージュはコリンを自分よりも強い冒険者だということを悔しながらも認めた。認めたからこそ、コリンの強さに疑問を覚えた。コリンはまだ10歳。冒険者になるには特例を除けば、12歳にならないといけない決まりがある。あと、もう2年という時間が彼女には残されている。つまり、あと2年間、努力すれば更に強くなれるだろう。
別に今じゃなくてもいいではないか。なのに、コリンは決闘トーナメントを通じて必死に結果を残そうとしている。
「結果を残さなくても、君の実力だったら、2年後にギルドに登録し、クエストをこなせば普通に上ランクの冒険者になれるはずだ。それなのに…………」
「憧れの人が私の背中を押してくれたからです」
「!?」
クアージュの言葉を遮ってコリンは口を開いた。そして、そのままコリンは言葉を続ける。
「私、将来はSランク冒険者になるっていう夢があるんです。けれど、それが理由で周りからとても馬鹿にされてきたんです。」
それはひどい話だ、とクアージュは思った。彼女はまだ10歳。夢を憧れるのはしょうがない話だった。
「けど、とある人に言われたんです。お前がこれまでにやってきた努力はいつか報われるって。そして、それが今日なんだって。よくよく考えてみればおかしな話ですよね。別に預言者でもなんでもない人なのに。」
ふっ、とコリンは可愛らしく微笑むが、すぐに真剣な顔をする。
「私を救ってくれたあの人の期待に応えたい。私に言ってくれた今までの言葉を実現したい。ただ………………」
「ただ……………それだけです」
コリンはそう呟いた瞬間に、クアージュに向かって走り出した。
「コリンといったか??悪かった。どうやら、俺は君の覚悟を甘くみていたようだ。」
クアージュは『特別』な矢を高速でこちらの方に向かってくるコリンに向けながら謝罪した。
「だから、俺は君を1人の強き冒険者として戦いを挑む!!正々堂々勝負だ!!」
クアージュはコリンに向けて叫んだ後、矢を放つ。ヒュンと風を切って矢はコリンの方に目掛けてくる。
しかし、何度も見ているコリンは既にクアージュの弓攻撃は見切っていた。なので、またいつもみたいにライトソードで矢を切り落とした瞬間、
「ここだ!!」
コリンがまたライトソードで切り落とすと予測していたのか、クアージュは目をキランとさせて指パッチンをする。
クアージュの言葉にコリンはとあることを気づく。
切り落とした矢の部分に小さな小型装置が付けられていたということに。
そして、その小型装置からスパンと音を立て、『小さな矢』が1本、コリンに目掛けて発射された。
これは、クアージュの最後の切り札である、2段構造による弓攻撃だった。この技を知らずして、躱せた冒険者はほとんどいない。まして、コリンはダミーの矢を切り落としたことによって、いくら身体能力が高いコリンでも攻撃を回避する体勢へと戻すことは困難に近かった。
そして、小さな矢はコリンの赤バッチの方へと向かっていく。
(よし、この勝負、勝った!!)
リンガルギルドの冒険者の中で、Bランクながらもトップクラスで冷静に闘うクアージュだったが、久しぶりに強い相手と戦い、勝ったという確信を得、珍しく歓喜の声を心の中で叫んだ。
パリンーーー
赤バッチが砕けた音が鳴り響く。砕け散った赤バッチはコリン………………
ではなく、クアージュのだった。
「なに!?」
クアージュは顔を青ざめる。彼の赤バッチを砕いたのはもちろんただ1人、コリンだ。
(なぜ!?彼女は攻撃できるタイミングはなかったはずだ!!……………あ!?)
コリンの方を見たクアージュは気づいた。2弾発射された小さな矢はコリンの赤バッチではなく、彼女の肩を突き刺さっていた。そして、コリンは痛そうな表情をしながらもライトソードの刃先をこちらの方へと向けていた。
(なるほど、やるな)
コリンの姿を見たクアージュは全てを理解した。
コリンは振り下ろしたライトソードをそのまま完全に振り下ろしながら、それに合わして身体も一緒に捻らせていたのだ。それによって、本来なら彼女の赤バッチを突き刺さるはずの小さな矢は赤バッチを掠り、そのままコリンの肩へと突き刺さった。これはそれなりの勇気がなければ実行することはできない。
そして、すぐあとに永遠のFランク冒険者である師から教えて貰った遠距離攻撃、『鎌鼬』を発動し、心の中で歓喜の声を上げていたクアージュの赤バッチを貫いたのだ。
もし、クアージュが油断せず彼女の事を見るか、もしくは追加で矢を放っていれば、恐らくクアージュは勝てていただろう。
つまり、クアージュは一瞬の油断によってコリンに敗因した。
「ふっ、俺もまだまだ未熟だったようだ。もし、良かったら今度また手合わせをお願いしたいな。」
クアージュは悔しながらも、満更でもない顔でそう呟き頭を下げると、シュンと消えた。そして、『クアージュ様、脱落』という文字が浮かび上がる。
「もちろんですよ。よろしくお願いします。」
浮かび上がった文字を見て、コリンも頭を下げた。すると、文字はすぐに消滅した。
第1予選、コリンは3人の高ランク冒険者の赤バッチを破壊することに成功。
第2予選通過まであと2人となった。
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