53話「決闘トーナメント第1予選①」
ちょっとだけ涼しくなった??あ、そうでも無いや
「ーーーーーーーー!!??」
恐らく、赤バッチを身につけたコリンを含めた多くの冒険者は今のグリーンフィールドの闘技場の光景を見て驚きの声を出していた。
それもそのはず。なぜなら、彼の目の前には大自然が広がっていた。まるで、ジャングルかのように木々が生い茂っており、中からには動物の鳴き声も聞こえてくる。
「よぉ、集まったか??」
ジャングルの中からタバコを吸っている1人の男性が現れる。見た目は正直いってあまり若くはなく、どっちかというとおじさん寄りだ。つなぎらしき服装を身につけているが、暑いのか上半身の部分は来ておらず、なかなか鍛えられている上半身が分かるほどのパッツパツの白Tシャツに帯のように縛っていた。
「俺の名前はガイン。ハルハル王国で冒険者の他に妻と娘と一緒に花屋を経営している………んなことはどうでもいいな。今回、第1予選の責任の者だ。よろしくな。」
「そんなことより………これ、アンタがやったのか??」
1人の冒険者がガインに話しかけると、ガインはタバコの煙を口から吐き出しながら下半身部分にあるポケットから1つの種らしきものを取り出す。
「ったりめーよ。俺の属性スキル使えばこんなん楽勝よ」
ガインがそう言うと、手のひらにある種から芽らしきものが生え、どんどん成長し、そのまま綺麗な1輪の花になった。その花を質問してきた冒険者にガインは渡した。
「その花、『スカーレッドキク』って言うんだけどな、良かったらそれ、好きな人に渡しな。その花の花言葉は『君をずっと愛してる』だ。いいだろう??俺も当時、妻にこれの花束を渡してプロボーズしたんだぜ。」
少しだけ照れながら語るガインの姿を見て恐らく、この言葉を聞いた冒険者、全員が思ったこと。
(このおっさん、絶対にいい人だ!!)
ちなみに、ハルハルギルドSランク8位の冒険者、ガインの属性スキルは『成長』。この属性スキルを発動すると、名前通り手に触れているもの、もしくは数秒前まで触れていたものを早く成長させることができる能力。しかし、この属性スキルは植物にしか使用できない。ガインはこの属性スキルを使って、グリーンフィールドに苗や種をばら撒き、高速成長させることによって、短時間でジャングルのフィールドを作り出した。
「よし、そろそろ第1予選の説明するぞ。1回しか言わねぇからよく聞いとけよ」
ガインは自分が作り出したジャングルにビシッと指を指した。
「ルールは至ってシンプル。このジャングルの中でお前らにバトルロワイヤルをしてもらう。狙うは自分たちの胸部分についている赤バッチ。これを計5人破壊した人が第2予選に進める。先着50名だ」
「50名!!??」
何人かの冒険者が驚きの声をあげる。1グループ500人という大人数がいる中、次のステージに進めれるのはたった1割なのだ。驚くのも無理はない。しかし、そんな冒険者たちの姿を見たガインは急に厳つい表情となり、新しいタバコを咥え、火をつける。
「覚悟がねぇなら今すぐここから去ることをオススメする。正直言って、敵はお前らだけじゃねぇ。いくら人工とはいえ、自然をナメるなよ。甘く見てると、人間じゃなく、自然に殺られるぞ。」
ガインは煙を吐き出しながら冒険者に忠告をする。そはて、「じゃあ、覚悟のあるやつだけジャングルの中に入りな。」と言って冒険者たちに道を作る。
冒険者たちはお互いの顔を見合わすが、どの冒険者も顔を青ざめていた。ガインの言葉によって怖気付いてしまっていたのだ。ジャングルに踏み込む為の1歩がなかなか出なかった。この光景を見て、ガインは残念そうに溜息を吐き、リタイヤコールをしようとした。
しかし、500人いる内の数人は違った。
「え?何?もうこれ行っていいやつ??じゃあ私、いっちばーん!!ひゃっほぉーい!!」
水色のショートヘアをなびかせながら、1人の少女、アズがテンション高めで何も気にも留めずジャングルの中に突入して行った。
「ほぉ…………」
ガインはあごひげを触れながら、ジャングルに入るアズの姿を見て感心の声を出す。
(よし、深呼吸OK。私も行こう!!)
覚悟を決めたコリンも自分の顔をペシっと叩きアズに続いて、ジャングルの中に駆け出して行った。
「幼い女の子が2人も行ったのに、大人の君たちは1歩も動けないんだね。情けないですね」
青髪のイケメン、アルバートも武器を構えながら怖気付いている冒険者達を残念そうな目で見てジャングルの中に入って行った。
アルバートの後に続けて、何人かの冒険者たちは何も言わずにそのままジャングルの中に入って行った。
そして、ジャングルの入口前に残されたのはビビって入れない冒険者のみとなった。ガインはまた新しいタバコに火をつけながら残された冒険者たちに言葉を投げかける。
「お前らはどうする??このままリタイヤするか??」
「…………………るよ」
「あ?なんか言いたいことあるならハッキリと言え!!」
この言葉で1人の冒険者がボソッと呟いたのを聞いたガインは血管を浮かべて大声でその冒険者にブチ切れる。すると、それに対抗するかのようにその冒険者は武器を取り出し、唾を撒き散らしながらガインに
「行ってやるよ!!そんで、あの青髪のガキ、ぶっ殺してやる!!」
そう叫び、雄叫びを上げながらその冒険者はジャングルの中に走っていった。自分より年下の女の子が何一つビビらず、ジャングルに入られたり、青髪のイケメン野郎に哀れみの言葉をかけられたのだ。当然、闘争心を燃やすに違いない。
「お、俺も行くぞ!!」
「あ、ずりぃ!!僕も!!」
「ちょ、押さないでよ!!」
「数百人もいるんだからもっと考えろや、貴様ら!!」
感化されたのは1人ではなかった。ほとんどの冒険者が一気にジャングルの中に向かって走り出し、混雑していた。その様子を見たガインはペッとタバコを吐き捨て、ギルトカードを取り出しコールボタンを押した。
『私だ。どうした??』
「ガインだ。赤グループの参加者、全員ジャングルの中に入った。あとは任せる。」
『了解。っしゃあ!!腕が鳴るわ!!』
「ハハ、ほどほどにしとけよ。アンタが本気を出すとマジで死人でるから」
『どういう事だぁ、ゴラァ!!アンタちょっと表にで………』
「仕事に集中してくださぁーーい。それでは」
プチッとコール終了ボタンを押して、ガインはギルトカードをポケットの中に閉まったの同時に決闘トーナメントでバルバークが集めたガインやイオリを含めた何人かの責任者が集まっている場所にアイコンタクトを送る。それを受け取ったバルバークは頷き、マイクを手に取り
『待たせたの、皆の衆。どうやら、準備が完了したそうじゃ!!それでは、決闘トーナメント第1予選赤グループスタートじゃあ!!』
バルバークの開始宣言によって、観客席の歓声がグリーンフィールド中に広まった。
決闘トーナメント第1予選が始まった。
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