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47話「決闘トーナメント」

お久しぶりです!!

 「おはよう。ハヤトくん」


 「おはよう、アミさん」


 まだ、眠たいのか目を擦りながらテーブルに座るハヤト。そして、完全に起きているはずなのに常に眠たそうな表情をしているアミは朝ごはんであるパンとスープをテーブルに並べ「よいしょ」と呟いて座った。


 「そういえば、これ。届いていたよ」


 パンを食べている最中に、アミはハヤトに3通の封筒を渡す。そのうちの1つは見慣れている封筒の為、内容が分かるが、ほか2通は初めて見る封筒だった。


 「なんだろうな」


 ハヤトはアミから封筒を受け取り、まず見慣れている封筒を雑に開ける。すると、やはりアキラから来るSランク冒険者の昇格の申請書だった。ハヤトは溜息をつきながら、申請書を一旦どけ、ほか2通のうちの1つを丁寧に開ける。封筒の中から取り出した紙に書かれていたのは


 『決闘(デュエル)トーナメントについて』


 「あ〜、そういうことか」


 ハヤトは決闘トーナメントの文字を見た瞬間に、封筒の内容を理解した。きっと、決闘トーナメントの詳細が書かれているやつだろうと思った。そして、もう1つはきっとコリン用の封筒だと予測した。コリンはまだギルドに登録していないため、住所とかは知らない。なので、ハヤトの方に来たに違いない。


 「へぇー、来月にこんなのやるんだ」


 「な!?いつの間に!!」


 アミが決闘トーナメントについて書かれている紙をいつの間にかハヤトから取り上げ、パンを食べながら読んで、興味ありそうに呟いた


 「ハヤトくんは参加するの?」


 「考え中。俺、あんまり目立ちたくねぇからさ」


 ハヤトは最後までスープを飲み干したあと、無表情で答える。そして、(から)になったお皿を自分のとアミの分を重ねて食洗機の所まで持っていき、片付ける。


 「んじゃ、ちょっと弟子の所まで行ってくるよ」


 ハヤトは自分のとコリン用の封筒を持ってパッパっとクエスト用の装備を身につけてから扉の方に向かう。アミはパタパタと見送るかのようにハヤトのあとを追い、ハヤトが出ようとしたところで言葉をかける。


 「何時くらいに帰ってくる??」


 「夕方までには帰ってくるよ。」


 「分かった。因みに…………」


 「??」


 「今日、排卵日なの」


 「行ってきます」


 ハヤトはいつものようにアミのセクハラ発言を無表情でスルーして扉を開け、そのまま出ていった。


 アミは「ふふ」と一瞬、笑ったあと、テーブルの方に戻り、お茶を入れて座った。


 そして、身につけていたエプロンのポケットから一通の封筒を取り出す。




 その取り出した封筒は、ハヤト達に送られてきた『決闘トーナメント』についての封筒だった。




 「さてさて、どうしようね」





 アミはボソッと呟いたあと、その封筒を眺めながら「ふふ」と再び一瞬だけ笑みをこぼし、そのままズズズとお茶をすすった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「とうとう来月ですか…………」


 あれから、ハヤトらいつも稽古している広場にコリンを呼び出し、決闘トーナメントについての封筒を渡した。コリンはゴクリと生唾を飲んで恐る恐る受け取る。


 「師匠は出るんですか??」


 「寮母と一緒のこと聞いてくるのね。考え中だよ。」


 「えぇー!!どうしてですか!!出ましょうよ!!」


 コリンがゆさゆさとハヤトの肩を掴み揺らす。しかし、ハヤトは楽しそうではあるものの、乗り気にはなれなかった。


 なぜなら、今ではハヤトはFランク冒険者でありながら、今までの活躍が大いに期待されている。きっと、決闘トーナメントに出場してそれなりの結果を残したら、さらにハヤトという冒険者の期待値がぐんと上がるに違いない。それによって、今ではハヤトをSランク冒険者にさせたいアキラとパーティを組みたいフェイの2人だけがしつこく勧誘してくるが、もっと増えるかもしれない。


 ハヤトはそれが1番嫌だった。


 「俺は目立ちたくないの」


 「ドラゴンをひと振りで倒したり、SSSランクモンスターを倒した人が今更何を言ってるんですか!!」


 コリンはぷんすかハヤトに怒る。ハヤトは「はぁー」と溜息が着く。


 「もし、参加しなかったら師匠が陰であんなことやこんなことをしていたことをみんなにバラしますからね!!」


 「別に俺、あんなことやこんなことなんてしてないし」


 「へぇー、そんなこと言うんですか。じゃあ、師匠が3日前ぐらいにサキュバスさんが経営している店に伺ったこと、みんなに言っちゃおうかなぁ」


 「は!?なんで知ってんの!?」


 コリンの突然の言葉にハヤトは顔を赤くして驚きの表情をして答える。確かに、コリンの言う通り、3日前にサキュバスが経営している風俗店に伺った。しかし、卑猥な理由で伺った訳ではなく、そこのオーナーが出していたFランククエストをやるためだった。


 クエスト内容も至って普通でそこの店の近くに巣を作った低ランクモンスターを討伐するということだった。なので、ハヤトはすぐにそのクエストを終わらせ、サキュバスからの勧誘はあったものの、スルーして店から離れたつもりだ。


 てか、そもそもなぜ、コリンがその事を知っているのかハヤトは疑問に思った。


 「イオリさんに教えてもらいました」


 「よし、決めた。あのサイコパス、今度会ったら殺す」


 何気に、コリンは今でもSランク冒険者と連絡をしている。きっと、その時にイオリに教えて貰ったのだろう。彼の属性スキルならハヤトの事を知っていてもおかしくはない。


 「あと一昨日、師匠が見知らぬ女性の方と一緒にホテルに入ったこととか!!」


 「なんでそれも知ってんの!?」


 ハヤトはさらに驚く。そして、これも決して卑猥なことを目的とした訳では無い。一昨日の件もFランククエストでそのホテルで悪さするモンスターの討伐に行っていたのだ。


 「それもイオリか??」


 「はい!!」


 「よし、分かった!!今度、プライバシーの侵害で訴えてやる!!」


 ハヤトがそう言うと、コリンは追い打ちをかけるかのように言葉を続けた。


 「あと、昨日、師匠がオカマバーでオカマたちと仲良く飲んでたことも知ってますからね!!」


 「いや、なんでも知ってんな、オイ!!」


 この件に関しては、普通にプライベートで知り合いのオカマが経営しているBARで飲みに行っていただけだった。もちろん、卑猥なことなんてない。てか、あってたまるかとハヤトは思った。


 「それも、イオリなのか??イオリなんだろ??」


 「いえ、これは昨日、私が見たからです」


 「いや、お前かーい」


 ハヤトはジト目でツッコミを入れながら、コリンの頭にチョップを入れた。コリンは「きゃん」と子犬のような声を出して頭をおさえ、しゃがんだ。


 「あんまり師を尾行するもんじゃないよ」


 「違いますよ。あのオカマバーの近くに私のお気に入りの売店屋あるんです。そこに通った帰りに師匠を見かけただけです」


 「あ、そう。因みに、その売店屋に行った理由は??」


 「その日、ジーナさんのプロマイドの発売日だったんで…………てへへ」


 コリンは照れながら、アイテムボックスから1つのアルバムを取り出しハヤトに差し出す。ハヤトはそれを受け取り、パラパラとめくると、入っていたのは有名な冒険者のプロマイドばかりだった。


 「オタクじゃん」


 ハヤトは若干、引きながらボソッと呟き、そのままアルバムをコリンに返した。



 「あ!!師匠!!ここ、見てくださいよ!!決闘トーナメントの賞品とか載ってますよ」


 「ん?賞品とかあるんだ。よく見てなかったな」


 ハヤトはコリンに差し出された紙を受け取り、賞品が載っている所を見る。



 「ーーーーーーーー!!!」



 ハヤトはリストに載っている賞品が沢山ある中でとある1つの賞品に目がいった。



 「師匠??」



 「どうして、これが……………」


 ハヤトは突然、真剣な顔になり、よく分からないことをぶつぶつと呟き始める。コリンは見ていて怖かった。



 「師匠??……………師匠!!」



 「ん?あぁ、ごめん。ちょっと気になったことがあってさ」


 コリンの呼び掛けでハヤトは「あはは」と笑い、いつも通りの無表情に戻った。




 「コリン、俺、決闘トーナメントに出るよ」



 ハヤトの言葉にコリンは目を丸くする。



 「本当ですか!!てか、なんで急に」



 「気まぐれかな。よし、今から特訓だー!!」


 「お、おー!!」


 張り切って走り出したハヤトに続けてコリンも走り出す。とにかく、ハヤトが決闘トーナメントに参加してくれるということなのでコリンは安心し、穏やかな表情となった。


 しかし、それに対し、ハヤトの表情は理由は分からないがなんだか悲しそうな表情をしていたことはコリンは気づかなかった。

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