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45話「チアキとデート・尾行編」

少しだけ更新が遅れすみません。夏バテで倒れてました。また1日~2日に1本あげるペースに戻します。

 ミーンミーンと夏しか現れないFランクモンスター、『鳴きゼミ』がうるさく鳴いている中、ハヤトは片手にアイスクリームを持ち、もう片方の手でパタパタしながら立っていた。


 そして、その近くにある大木の裏に2人の男女の影があり、ハヤトをじっと眺めていた。


 「帰りたい……………」


 「ここまで来て何を言ってんのよ!!」


 大木の影には、Sランク冒険者であるアキラとシュンという珍しい面子が揃っていた。


 「一緒にSランククエストやるんじゃないの??」


 「これも、色んな意味でSランククエストよ!!」


 「どこが………??」


 昨日、アキラはこのデートを尾行する仲間が欲しく、猫の血を引いているシュンだったら色々と役に立てると思い、嘘の連絡を送り、強制的に連行した。


 「しかも、なんでこんな格好を………」


 シュンが嫌そうなトーンでぶつぶつ呟いていた。それも無理はない。なぜなら、今のシュンの姿はどっからどう見ても女の子にしか見えないのだ。


 女の子が着てそうな可愛らしい服にスカート、そして髪の毛にはハート型のリボンを付けていた。前髪が相変わらず長くて表情は見えないが、それもいい感じにマッチしていてそこら辺にいる女性よりも可愛く仕上がっている。


 「変装よ、変装。よく似合ってるじゃない」


 「変装のチョイスが明らかにおかしい…………。僕もアキラさんも」


 女装させられているシュンに対し、アキラはアフロのカツラにデカいサングラス、そしてちょび髭を身につけ、服は男性用のロングTシャツに下はジーパンというなかなか癖のある変装をしていた。一般人からしたらこの謎の人物を有名なSランク冒険者、アキラだとは思わない。


 「もう変態じゃん…………」


 「我慢して!!あとで『グレードマグロ』1本丸々奢るから」


 「アキラちゃん………私、頑張るね♡」


 「チョロいな!!」


 シュンは可愛らしい仕草をしながら舌を出し、ピースをする。アキラは一瞬だけときめきを覚えそうになった。


 そして、シュンから目線を外し、アキラは再びハヤトの方に視線を送ると



 「ハヤトさーん!!お待たせしました!!」



 可愛らしいチュニックの服を身につけたチアキが、パタパタと走って来た。


 「チアキちゃん、遅いよ」


 「すみません、ちょっと寝坊しちゃって………」


 「遠足前の子供か!!しっかりしろよ」


 そんな感じのやり取りをしたあと、2人で大爆笑をし始める。それを見ていたアキラは


 「いや、今の会話で笑える要素ある!?」


 と、ツッコミを入れ、シュンを見ると、座り込みながら腹を抱えて「くくく、今のは反則………ぐふ」と笑うのを我慢していた。


 「いや、何で!?笑えない私がおかしいの!?」


 「あ、アキラさん!!2人が動き始めました。」


 「移り変わり早!!」


 先程まで、腹を抱えて座り込んでいたシュンが唐突にシャキッとなり、ハヤトとチアキが動き出したのをアキラに伝える。


 「追いかけましょ!!」


 そう言って、2人はハヤトとチアキの後ろをバレないように追い掛けた。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「いらっしゃいませー」


 ハヤトとチアキがやって来たのはレストランだった。しかも最近、話題になっているところだった。


 「いやぁ、ここ、前から来てみたいと思ってたんですよ」


 チアキは嬉しそうにハヤトに話しかける。すると、ハヤトもお冷の水を飲みながら


 「実は俺も。トラさんっていう知り合いが前に家族でここに食べに来たらしくてさ。めちゃくちゃ絶賛してたんだよね。だから1回は来てみたいと思ってた」


 「ここの料理、ほとんどが他国から取り寄せてる材料ばかりって聞きますね」


 「へぇー、他国ってなると隣国の『リンガル王国』とか??」


 「あと、北の方向にある『リーウィン王国』、そして南の方向にある『アーガン王国』などからも取り寄せてるらしいですよ」


 北の国『リーウィン王国』は、気候が寒くて有名な国であり、その国に生息しているモンスターや、植物などは寒さには強い。南の国『アーガン王国』は熱帯で気候が常に高い国であり、その国に生息しているモンスターや、植物などは環境がいいためかほとんどのモンスターや植物は常識を超えるデカさまで成長しているということを聞く。


 「そんなとこから取り寄せてるなんてさぞかし美味いんだろうね」


 「はい!!楽しみです」


 ハヤトとチアキが楽しそうに会話しているテーブルのちょっと遠めのテーブルにアキラとシュンが座っていた。


 「ねぇ、何を話してるの??」


 少し席が遠いためか、ハヤトとチアキの会話が聞こえなかった。なので、耳が良いシュンに会話の内容を聞く。すると、シュンは少しだけニヤッとしたあと、すぐ真顔に戻り、アキラの質問に答える。


 「……………ハヤトくんが今日の夜、ホテルに行かないかってあの女性に誘ってる……………」


 「マジで!!??」


 「嘘…………」


 「はっ倒したろか??」


 イラッとしたアキラに対しシュンは可愛らしくケラケラと笑っていた。


 「他国の話をしてるよ…………リアルな話で」


 「他国??何で??」


 「さぁ、一緒に住む場所でも探してるんじゃない??…………推測だけど」


 「なわけ!!」

 

 アキラは大声を出してバーンと立ち上がる。すると、周りの人たちは驚いてアキラの方を見つめる。すると、アキラはかぁぁぁと顔を赤くし席に戻る。一応、変装している為か、ハヤトとチアキもアキラたちの方を見たが、バレることは無かった。


 「え?何??アキラちゃんってぶっちゃけハヤトくんのこと…………好きなの??」


 「何よ、急に」


 シュンがじっとアキラの方を眺めて呟く。前髪の間から彼の目がチラチラと見えるが、真剣の目をしていた。


 「だって、デートを尾行したり、ハヤトくんが一緒に他の女性と同棲するかもって言っただけでかなり動揺するんだもん。それにしか見えない……………」


 「それは…………」


 確かに、シュンの言っていることはほぼ正しかった。第三者から見たら、今までのアキラの行動を見るにハヤトに行為を抱いているにしか見えない。しかし、アキラにとって、ハヤトはSランク冒険者に昇格させたい男性だけであって、別に好意とか抱いてるわけでは無かった。


 しかし、それは以前の話である。最近は、彼を見るだけでドキドキとしてしまう。今までに体験した事の無いことだった。


 「…………よく分からない」


 「そっか…………」


 そしてしばらく沈黙が続くと


 「お待たせしましたぁー。『ナイトカジキ』の盛り合わせに『ホワイトホエール』のステーキ、そして『ダイヤモンドガニ』のしゃぶしゃぶですね〜」


 定員さんが、いいタイミングで料理を運んできた。


 「え?」


 「あ、アキラちゃんがトイレ行ってる間に頼んでたんだ……………忘れてた」


 「ぷっ………、やっぱり魚料理が好きなんだね」


 ブレないシュンの食事にアキラはぷっと吹いた。でも、それのお陰で少しだけ楽になった



 「ねぇ、シュンくん。このあと、Aランククエスト行かない??」



 魚料理を口いっぱいに頬張っているシュンにアキラは笑顔で呟く。シュンは少しだけ驚きながら答える



 「いいけど、もう尾行はいいの??」


 「うん。」


 「…………分かった。」


 そして、その後はもうハヤトとチアキのことを気にせず、女装しているシュンと楽しく会話をしながら食事を進めた。



 ハヤトの好意についてはまたゆっくりと考えようとアキラは思った。



 そして、会計を済ましたあと、レストランをあとにし、2人は変装したままギルドの方に足を運んだ。

次回はハヤトとチアキのデート本編です。楽しみに!!


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