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44話「いや、誰だよ。」

名古屋が沖縄より暑いってマジ??

ハンパねぇな

 「皆さん、お疲れ様です!!差し入れ持ってきましたよ!!」


 街の大規模な修復工事をやっている大工達の為にアキラを中心に何人かの冒険者達が仕事場に伺い、弁当や冷たい飲み物などを大工さんに配っていた。どの大工もアキラさん達に感謝しながら受け取っていた。


 話を聞くと、あと1週間くらいで修復工事はほぼ完了するらしく、ラストスパートに入っているという。なので、大工の全員が必死に頑張っていた。


 「あ、あなたもどうぞ〜」


 アキラは今まさにタオルで汗を拭いていた男性に冷たい飲み物を差し出すと、



 「あざっす。」




 「え、嘘でしょ……」


 「そんな、世界が終わったような顔すんのやめてくんない??」




 アキラが声を掛けた男性は永遠のFランク冒険者、ハヤトだった。頭にヘルメットを被り、白Tシャツ1枚で両手に軍手をつけているなど、周りにいる大工さんと同じ格好をしていた。


 「何してんの??」


 「何って、修復工事だよ」


 「何で!?」


 「知り合いに頼まれたからだよ。」


 ハヤトは冷たい飲み物をぐびぐびと一気に飲みながら答えていた。以前に会ったことのある大工さんが人手が足りないという理由でハヤトにお願いしたらしく、ハヤトは今日の夕飯を奢ってくれるなら…………という条件でそれを引き受けたらしい。


 「君って何かどこにでもいるよね。」


 「たまたまさ。」


 あっという間に飲み物を飲み干したハヤトは空になったグラスをアキラに渡し、屈伸や背伸びをしていると、


 「ハヤト〜、ちょっとこっち手伝ってくれ」


 1人の男性の大工さんがハヤトに声をかける。


 「おー、エリオット。どうした??」


 「いや、誰だよ。俺、マサルだから」


 エリオット………じゃなく、マサルはハヤトの胸に手の甲を当てツッコミを入れた。


 「ちょっと瓦礫をどかしたいんだけどさ。どうにかならね??」


 マサルがとある場所に指を指すと、その指の先には大きな瓦礫があり、何人かの大工さんや冒険者が力を合わせてどかそうとするが、ビクともしていなかった。


 「任せな。属性スキル発動!!」


 ハヤトはそう言って、アイテムボックスからライトソードαを取り出し、属性スキル『飛翔』を発動させる。


 ハヤトの周りに激しい風が出現し、ハヤトはその風に乗って空に浮いた。そして、瓦礫の方に近づき


 「みんな、離れてろ!!」


 ハヤトの言葉で瓦礫の周りにいた人達は即座にハヤトから距離をとった。それを確認したハヤトは


 「はぁぁぁぁーーーーー!!」


 雄叫びを上げながら、ハヤトは瓦礫に向かって思っ切りライトソードαを振り下ろし、『カマイタチ』を発動させる。出現したカマイタチがそのまま瓦礫の方に行き、スパンと瓦礫を真っ二つにした。


 「まだまだぁ!!」


 ハヤトは続けて『カマイタチ』を発動させ、瓦礫を切り裂いていき、そのまま木端微塵へとしていった。


 「ふぅ〜、いっちょあがり」


 ハヤトが無表情で属性スキルを解除し、降りてくると「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」という周りの冒険者や大工が歓声を上げる。


 「ありがとう。助かったよ」


 「何言ってんだよ、シュタイン。俺たちの仲じゃないか」


 「いや、誰だよ。俺、マサルだって!!」


 シュタイン………じゃなくマサルが再びハヤトの胸に手の甲を当て、ツッコミを入れたあと、ハヤトは「冗談だよ」と言って今度はハイタッチをした。


 「アキラさん、まだ飲み物ってある??喉乾いちゃった」


 「もぉー、はい。」


 ハヤトが肩にかけてあるタオルで汗を拭きながらアキラに飲み物をねだる。すると、アキラは持っている籠から冷たい飲み物が入っているグラスをハヤトに渡す。ハヤトは「どうも」と言って受け取り、ぐびぐびと飲み始める


 「修復工事が終わったら決闘トーナメントやれんの??」


 「そうね。一応、会議ではそうなってるけど………、何?楽しみにしてんの??」


 「俺じゃなくてコリンがね。最近、あいつの武器を新調したからうずうずしてんの。」


 「へぇー!!やっと新調したんだ」


 「うん。だから、これ、新武器の値段の請求書ね。」


 「うっ!?」


 ハヤトは1枚の紙切れをアキラに渡す。元々、アキラがコリンの武器を壊してしまったゆえ、コリンの新武器の値段を出すという約束をしていたが、まさかここで請求されるとはアキラは思ってもいなかった。


 「あ、あとで、ちゃんと振り込んでおくわ。そんで、どんな感じの武器にしたの??」


 「もう、すげぇぜ。社長ったら超MAXハイテンションでとんでもないバケモン作りやがった。」


 アキラはその超MAXハイテンションで武器を作る社長の姿を頭の中で連想し、「うわぁ…………」とボソッ呟く。


 ハヤトの弟子の武器となったら、そりゃあやる気になるよなぁとアキラは苦笑いする。


 「今はその武器を扱うのを慣れさせてるって感じかな。ちょっとだけクセのある武器だからさ」


 「ちなみにどんな武器なの??」


 「内緒。決闘トーナメントの時までお楽しみに」


 ハヤトが意地悪そうに二ヒヒと笑うと、アキラは頬をぷぅーと膨らませる。


 「なぁ、ハヤト〜!!」


 「今度はなんだよ、クリストファーロビン。」


 

 「いや、誰だよ。俺はマサルだ!!」


 クリストファーロビン………じゃなくマサルはハヤトの胸に手の甲を当てながらツッコミをしたあと


 「ちょっとお願いがあるんだけどさ、明日も大工の手伝いお願いしてもいいか??」


 ハヤトの先程の行動を見て、大工のトップである棟梁がハヤトをもう少しだけここに置いときたいという話らしい。


 しかし、ハヤトは腕で✕を作り


 「スマン。俺、明日予定があるんだ」


 「お前が予定を入れるなんて珍しいな」


 マサルが、目を丸くする。


 「だろ??だから悪いな」


 「分かった。それじゃあ棟梁に伝えてくるよ。急で悪かったな」


 「なぁに、大したことじゃないさ。またいつか誘ってくれよ、マサさん」


 「いや、誰だy……………合ってるか!!」


 マサルは「コノヤロウ!!」と言いながら、ハヤトの胸に手の甲を当てながらツッコミをして、棟梁の方へと走っていった。


 「明日は何があるの??」


 予定を気になったアキラがハヤトに聞くと、ハヤトは無表情で


 「明日、チアキちゃんと出掛ける約束してんだよ」


 「マジで!?」


 「うん。この前、誘われたからさ。」


 「それ、デートじゃん」


 「やったぜ☆」


 「いや、無表情で言われると本当に喜んでるのか分かんないだけど!?」


 無表情でワクワクしているハヤトに対して、アキラはジト目でハヤトを疑った。その後、他の大工さんに呼ばれ「またね、アキラさん」と、言って姿を消して行った。





 『アキラさんは師匠の事が好きなんですか??』





 ふと、アキラはコリンの言葉を思い出した。



 ーーーえ!?何で急にこんなの思い出すの!?別にハヤトくんのこと好きじゃないし!!何とも思ってないし!!ただ、永遠のFランク冒険者を辞めさせたいだけだし!!



 アキラは頭をぶんぶんと振って、気を取り戻そうとするが…………




 なぜか、心の中がズキズキした。



 

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