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39話「あのモンスターは……⑤」

昨日、誕生日を迎えました。

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 「なるほどね」


 一通りの説明を聞いたイオリ含めSランク冒険者は険しい表情をしていた。


 「人がモンスター化するなんて初めて聞いたけどな」


 リュウが髪の毛を荒く掻きながら呟く。しかし、イオリが


 「いや、不可能ではないよ。今の技術だったら、充分ありえることだ」


 「イオリはん、どういうことやの??」とジーナ


 「そうだね。候補としては、『呪い』とかかな??」


 「呪い??」


 「うん。『呪い』は昔からあってなお、未知なる術式が多いからね。彼女のモンスター化はそのうちの1つかもしれない」


 「それは解けれるのか??」


 「調べてみないと分からない………っと!!」


 突然、『火玉(ファイヤーボール)』が勢いよく飛んできたので全員は咄嗟に回避した。


 犯人はもちろんキングオーガだった。動くことが出来ないと理解したらしく、物理攻撃ではなく魔法攻撃に変え、攻撃を仕掛けてきた。しかも、『火玉』によって縛っていたツルが焼け、キングオーガは身動きできるようになった。


 「ウオォォォォォォォォォ!!」


 キングオーガは怒りの咆哮を上げて、ハヤト達の方へ走り出した。


 「とりあえず、僕が原因を突き止めるから時間稼ぎよろしく!!」


 イオリがSランク武器である杖『ホーリーロッド』をアイテムボックスから取り出し構える。


 「属性スキル発動!!」


 イオリが属性スキルを発動させる。すると、杖の先から光り輝く蝶々が次々と現れ、キングオーガの周りを飛び回る。


 Sランク2位の冒険者であり魔導師でもある、イオリの属性スキルは『探知(サーチ)』。先程、現れた蝶々を通じて敵の情報や弱点などを徹底的に調べることが出来る。ただし、属性スキルを発動している間は身動きが1歩も取れないのが難点である。


 「つしゃあ!!時間稼ぎなら俺に任せろ!!」


 時間稼ぎ組であるうちの一人、リュウがSランク武器であるギター『ソウルギター』を手にして先陣をとって走り出す。


 「属性スキル発動!!」


 リュウはキングオーガの付近まで近づくと、ギターを構えて、激しく弾き始める。すると、ギターから超音波のような衝撃波が生じ始めた。


 「グオォォォォォォォォ!!??」


 キングオーガは動きをやめ、苦しそうに、耳に手を当てる。


 「イエェェェェェェェェェェェイ!!」


 Sランク8位の冒険者、リュウの属性スキルは『音撃』。楽器系の武器を使用し、演奏することによって衝撃波が生じ、敵にダメージを与えることができるスキルである。しかし、このスキルも難点があり、敵だけではなく、周りも巻き込んでしまうことがある。


 「うるせぇぇぇぇ!!近所迷惑もいいとこだろ!!」


 ハヤトが耳に手を当て、苦し紛れに言葉を出す。


 「でも、これでキングオーガの動きが止まっ……………」


 耳を抑えながらアキラが安心して言葉を、呟こうとした瞬間、途中で絶句する。キングオーガは自分の耳を引きちぎった。そして、赤い血を流しながらもニタァと不気味な笑みをこぼしてゆっくりと近づいてくる。


 「ちっ、これじゃ俺の属性スキルは効果はねぇ!!」


 リュウは舌打ちをして、演奏を止めてキングオーガと距離をとった。


 「あいつ!!チアキちゃんの身体だからって簡単に傷つけやがって!!」


 「…………今度は僕がやる」


 「(うち)も行くわぁ」


 今度はハヤトとシュンとジーナがキングオーガに向かって立ち向かった。ハヤトは限界である4回目の属性スキル『飛翔』を発動し、猛加速でキングオーガに接近し、キングオーガの注意を引き寄せた。


 「「属性スキル発動!!」」


 シュンとジーナが声を揃えて属性スキルを発動させる。


 Sランク武器であるメリケンサック『ビースト』を構えながらシュンは


 「ウオォォォォォォォォォン!!」


 と、目を赤く光らせて咆哮を上げる。すると、彼の身体から毛が生え始め、みるみると人間の姿から獣人の姿に変身していく。


 Sランク9位の冒険者、シュンの属性スキルは『獣化(じゅうか)』。彼の血に混ざっている猫人の本能を露にし、本来の猫人の力を引き出すことができるスキルである。ちなみに、獣人化したシュンはもふもふしており、なんか可愛らしい姿であった。


 獣人となったシュンは素早い動きでキングオーガに接近し、メリケンサック『ビースト』をキングオーガの腹に目掛けて突き出し、キングオーガを吹っ飛ばした。


 「もぅ、シュンくんたらそのモンスターはハヤトはんの知り合いなんやから、もっと優しく扱わなだめよ??例えばーーーー」


 ジーナはそう言って、Sランク武器である薙刀(なぎなた)、『青龍』を手にして優雅に振り回す。すると、『青龍』から、幻である1匹の龍が桜吹雪と共に出現し、立ち上がろうとしているキングオーガの方へと向かった。


 「『龍の舞』」


 すると、龍が咆哮を上げながら、キングオーガの周りを飛び始め、その勢いによって生じた風によってキングオーガが宙に浮かび、身動きを止めた。


 Sランク7位の冒険者、ジーナの属性スキルは『幻影』。過去にジーナ自身が目にしたことのあるモノをイメージすることによって、幻を出すことができ、敵を翻弄することができるスキル。


 「これでしばらくは大丈夫やろ」


 手をパンパンとしながらジーナが微笑みながら呟く。


 「これがSランク冒険者の力………、凄い」


 遠くに避難していたフェイは、Sランク冒険者の闘いぶりを見て、感嘆していた。


 「ーーーーよし、終わった」


 属性スキル『探知』を発動していたイオリがゆっくりとそう呟き、目を開ける。すると、ガクッと膝が地面に着いた。


 「イオリさん!?大丈夫ですか!?」


 身動きできないあいだ、ずっとイオリの側にいたアキラがイオリの方へと駆け寄り、手を貸す。


 「あぁ、ありがとう。思ったよりも神経を使ってしまってね。でも、ほぼ分かったから大丈夫」


 そして、アキラの手を借り、立ち上がったイオリは全員に集合するよう呼びかけるのと同時にジーナの幻に翻弄されているキングオーガに向かって静止魔法『停止(ザ・ストップ)』を発動させ、一時的に停止させた。


 「分かったのか??」


 駆け寄ったハヤトがそう言葉を出すと、イオリは頷く。


 「やっぱり、彼女に掛かっていたのは呪いだったよ。しかも、仕掛けたやつは闇ギルドの一員らしい。」


 「闇ギルド…………」


 ハヤトは憎しみがこもった声で呟く。


 「ぶっちゃけ、今は闇ギルドについては置いておこう。今、君が最も知りたいのは呪いの解き方だろう??」


 イオリの言葉でハッと我に返ったハヤトは「そうだったな」と言って、イオリの方へと見る。


 「一応、呪いの解き方はある。しかし、これは一筋縄じゃいかない。キングオーガの中に眠る彼女の精神が、呪いに打ち勝つしかないらしい。しかもーーー」





 「1回でも彼女の精神が呪いに負ければ、彼女自身の精神は崩壊する。つまり、死を意味する。」






 イオリの言葉でみんなは申し訳なさそうな表情となり、誰一人、言葉を出すことは無かった。



 ただ、1人を除いて…………




「あ、そう。なら大丈夫か」




 サラッとハヤトはそう呟いた。ハヤト以外の者は目を丸くする。


 「てめぇ、イオリの話を聞いてたのか??」


 と驚きの感情がこもった声で呟くリュウ


 「え?チアキちゃん自身が呪いに勝てばOKって話だろ??」



 「じゃあ、何でそんな……」



 「お前ら、チアキちゃんを馬鹿にしずき。あいつはそんなに弱くはねぇ」



 ハヤトは無表情でそう呟いたあと、イオリの方へ顔を向ける


 「なぁ、イオリさんよ。あるんだろ??チアキちゃんを助ける方法を。教えろよ」


 「確かにあるが、大丈夫かい??もしかしたら死ぬかもしれなんだよ??………」



 「何回も言わせんなよ、はっ倒すぞ。理由は分からないけど、あのSランク3位のアキラさんに敵対してるほどの猛者(もさ)だぞ。そう簡単には負けねぇよ」



 「その根拠は??」



 「俺がそう信じてるからだ。他に理由はあるか??」



 「……………ハヤト君、君はやっぱ最高だよ」



 そう言って、イオリはイケメンスマイルをする。



 「今から、皆さんに彼女に掛かっている呪いを解く作戦を伝える。解くための鍵は君だ!!ハヤトくん!!」



 「へっ!!上等だ!!」



 そして、普段、噛み合わないハヤトとイオリが拳を合わせた。

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