37話「あのモンスターは……③」
眠いぞ
「ハヤトさん…………」
疲れきっているフェイは、目に涙を浮かべて言葉を呟いた。フェイの存在に気づいたハヤトは素早くフェイに近づき
「あとは任せろ」
と言って、フェイの頭を優しく撫でた。
フェイは、涙と鼻水などでぐちゃぐちゃになったまま頷き、溶岩鎧を解除してケガ人を何人か背負いながらその場を離れた。
「こいつがSSSランクモンスター、キングオーガか………」
起き上がったキングオーガを目の前にした、ハヤトはライトソードαを構え、戦闘態勢に入った。
「他のSランクのメンバーもあともう少しで到着するみたい。」
アキラはそう言って、ユニコーンランスを構え、ハヤト同様に戦闘態勢に入った。
しばらく、キングオーガとハヤトとアキラが睨み合い、そして
「はぁ!!」
先に動き出したのはアキラだった。それを確認したハヤトも属性スキル『飛翔』を発動させて空中に浮かび、キングオーガに立ち向かった。
「グオォォォォォオォォオォ!!」
大声で咆哮を上げるキングオーガは、アキラに向かって拳を突き出す。その攻撃をアキラはユニコーンランスで弾き、そのままキングオーガのすぐ目の前まで接近した。
「らぁ!!」
アキラはキングオーガの腹に目掛けてユニコーンランスを5回ほど突き刺し、バックステップして距離を取ったあと、ユニコーンランスを地面に突き刺し、
「属性スキル発動!!」
属性スキル『氷』を発動させる。すると、突き刺している場所の地面がピキピキと氷始め、そのままキングオーガの足元まで凍らせ、キングオーガの行動を封じた。
「ハヤトくん!!」
「おう!!」
まるでジェット機かのように高速でキングオーガに接近したハヤトはライトソードαを構え、ビュンビュンと飛び回りながらキングオーガの身体中に目掛けて振り下ろした。
足元が凍っていて動けないキングオーガは素早いハヤトの攻撃を喰らうしかなく、ただただハヤトの攻撃で身体中に傷を作り血を流していた。
「これでトドメだぁ!!」
そして、ハヤトはキングオーガの顔にライトソードαを突き刺そうとした瞬間
ーーーば△〇ざン、✖︎ズ+テーーー
「ーーーーーーッッ!?」
ピタッとキングオーガの顔のすぐ目の前で突き刺すのを止めてしまったハヤト。その隙を見逃さなかったキングオーガはハヤトに目掛けて拳を突き出し、それをハヤトはまともに喰らってしまった。
「ぐはっ!!」
「ハヤトくん!!」
そのまま吹っ飛ばされたハヤトは建物に衝突してしまった。、心配して駆けつけたアキラはすぐ様、アイテムボックスから回復アイテムを取り出し、気絶しているハヤトに使用する。すると、ぽわぁと優しい光に包まれた後、ハヤトは目を覚ました。それを確認したアキラはほっとする。
「気がついたのね!!良かったぁ………」
「いてて………、すまん、アキラさん。助かった。」
「どうして、あの時攻撃をやめたの??」
「それが、俺もよく分からない。なんか、頭の中に言葉が聞こえたんだ。」
「言葉??」
「そう、なんかゴチャゴチャしてて何を言っているか分からなかったけど」
そう言って、ぴょんと跳ね飛びをして立ち上がったハヤトは、ライトソードαを手にして
「ごめん、今度こそ攻撃決めるから」
と言って、再びキングオーガの方へと駆け出した。その頃には、キングオーガは足元の氷を粉砕し、動けるようになっていた。
「グオォォォォォオォォオォ!!」
先程、自分に喰らわせた相手が気に入らなかったのか、キングオーガもハヤトに向かって素早い動きで走り出し、拳を突き出す。
「だぁ!!」
ハヤトはライトソードαでそれを弾こうとしたが、やはりSSSランクモンスターの攻撃は凄まじく重く、防いだものの軽くハヤトは吹っ飛ばされる。
「グオォォォォォオォォオォン!!」
突然、キングオーガの咆哮をあげる。すると、キングオーガの周りにいくつもの魔法陣が出現した。
「魔法陣!?こいつ、魔法も使えるの!?」
魔法陣を目にして驚きの言葉を呟いたアキラはすぐ様、距離を取った。これを見たハヤトも同じく距離を取ろうとした瞬間、
キングオーガが出した魔法陣から、百を超えるであろう炎の魔法技『炎玉』がハヤトに目掛けて襲いかかる。
「『嵐の壁』!!」
ハヤトの防御技、『嵐の壁』を発動し、周りに嵐を出現さて、火の玉を防ごうとしたが、数が数であり、そのまま嵐の壁をすり抜けた炎玉がハヤトに命中する。
「ぐっ!!」
膝を地面に着いてしまったハヤトに目掛けてさらに炎玉が襲いかかろうとした瞬間、
「らぁ!!」
アキラがユニコーンランスをまるで野球バットのかのようにフルスイングをして火玉を弾いた。その弾いた火玉は見事にキングオーガに命中し、キングオーガは倒れた。
「大丈夫??」
「あぁ…………」
ハヤトは内心、不思議な違和感を感じていた。あの時、キングオーガの顔面に一撃を喰らわせようとした時に聞こえてきた言葉が原因なのか思った通りに身体が動くことが出来なかった。
「気になってても仕方ねぇ!!」
ハヤトは重くなっている身体をなんとか起こし、ペシっと自分の頬を叩いて、戦闘に集中した。現在、アキラとキングオーガが戦闘中で、少しアキラが押されている状態であった。
「くっ……、魔法陣が厄介すぎる!!」
魔法陣からは炎玉だけでなく、水の魔法技『水玉』、雷の魔法技『雷玉』、土の魔法技『土玉』、氷の魔法技『氷玉』などが出現し、アキラに襲いかかる。
アキラはユニコーンランスを振り回し、できる限り攻撃を弾きながら、キングオーガに接近し、隙を見てキングオーガの胸に目掛けてユニコーンランスを突き刺そうとしたが
ーーーガキン!!
「ーーーーーッッ!?」
本来なら突き刺しているところ、鈍い金属音が鳴り響き、突き刺すことが出来なかった。よく見ると、ユニコーンランスの刃先が当たっているところが鋼色に輝いていた。
「これは防御魔法『シールド』………きゃあ!!」
「アキラさん!!」
攻撃を防がれたアキラはキングオーガが振り下ろした剛腕な腕に命中し、吹っ飛ばされた。
「てめぇ!!」
それを見て、怒りを覚えたハヤトは属性スキルを発動させ、猛高速でキングオーガに接近し、さらに目にも見えない速さでライトソードαを振り下ろす。
しかし、残念ながら響くのは裂ける肉の音ではなく、鈍い金属音しか鳴らなかった。キングオーガは器用にライトソードαが当たる部分にだけ防御魔法『シールド』を発動させているからだった。
それを分かっていてもハヤトは攻撃を続けた。すると、また
ーーーば△〇ざン、✖︎ズ+テーーー
と、言葉が聞こえた。しかし、ハヤトは気にすることなく攻撃を続けた。すると、どんどん頭の中に言葉が響いてきた。次第に言葉が明確化してくる。
ーーーば△〇ざン、✖︎ズ+テーーー
ーーーば△とざン、✖︎ズ+テーーー
ーーーばやとざン、タズ+テーーー
ーーーばやとざン、タズけテーーー
ーーーハヤトさん、たすけてーーー
「え?」
最後にはっきりと聞こえた言葉を聞いて、ハヤトは動きがピタッと止まった。そして、弱々しい声でこう呟いた。
「チアキちゃん??」
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