33話「ハヤトのファン終」
仮免落ちました笑。誰か助けて
「属性スキル発動……」
ハヤトは落ち着いた声でゆっくりと呟いた。ハヤトの周りに風が生じ、そのままハヤトはその風に乗って、宙に浮いた。
その姿を見た周りの冒険者は驚きの声が止まらなかった。理由は簡単で、低ランク冒険者が、何故属性スキル持ちの武器を使っていることに対してだ。
「へぇ、凄いね。あれはなんのスキルなんだろう」
「イオリさん!!いつの間に…………」
気づいたら、アキラのすぐそばにイケメンスマイルをしているイオリが左手にシュワシュワコーラを持って立っていた。
「今さっきだよ。こんな、面白いもの中々見れないからね。他のSランクのメンバーも見てるはずだよ」
「まぁ、そうですよね。」
「んで、あれは一体なんのスキルなんだい??」
「あれは、『飛翔』です。見てわかる通り、飛べるスキルですね。」
「『飛翔』かぁ………。確かに、彼にピッタリなスキルだなぁ」
イオリは顎に手を当て、興味津々でハヤトを見つめていた。アキラもハヤトとフェイの決闘に目を戻す
「何か企んでますね」
フェイは宙に浮いているハヤトに対して、苦笑いしながら言葉を出す。ハヤトは無表情で
「別に何もねぇよ。ただ、攻撃を躱しながら時間を稼ぎたいだけさ」
「ッッ!!…………やっぱり、貴方は凄い人ですね」
何かを気付かれたのか、フェイはバツの悪そうな顔をしている。
「それだったら、こっちから仕掛けるだけ!!」
フェイは自分の足元含め、地面にいくつかの溶岩を勢いよく噴出させ、それを足場としてぴょんぴょんと移り、ハヤトに接近する。
「はぁ!!」
フェイは空中でクリムゾンツインナイフを目にも見えない速度でハヤトに向かって振り回そうとした。
「くっ……….、『嵐の壁』!!」
咄嗟にハヤトが大声で技名を唱えると、ハヤトの目の前に大きい嵐が生じた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
急に出現した嵐を目の前にしたフェイは、回避しようとしたが間に合わず、そのまま嵐の中に突っ込んでしまい、目をグルグルとさせたまま吹っ飛ばされた。
「あの技、エグいわね」
『嵐の壁』を見たアキラは汗を垂らしながら、ボソッと呟いた。イオリも、珍しく真顔になって
「防御として使え、攻撃にもなる。凡庸性の高い技だね。」
「それにしても、なんでハヤトくんは攻撃しないんだろう」
「それは、もう攻撃せずに時間さえ経てば彼が勝てるからさ」
再び、イケメンスマイルになったイオリの言葉でアキラは目を丸くする。
「それは一体どういうことなんですか??」
「え?逆に聞くけど分からないの??それはないわぁ。………ちょ、アキラさんごめんごめんごめん!!痛い痛い痛い痛い!!取れる取れる取れる!!」
アキラはイオリの煽り言葉で、ムカッとしたので耳をつかみ思いっ切りとグイッと引っ張った。
そんなやり取りをしている中、ハヤトとフェイの決闘は終盤を迎えていた。
「はぁはぁはぁ…………」
滝のように汗を流し、疲れの表情を露わにするようになったフェイ。その姿を見たハヤトはゆっくりと降りて来て、フェイに近づいた。
「もう、時間切れでしょ??リタイアした方がいいんじゃないの??」
「いや………まだ………行けます!!」
「無理だろ。だって、鎧ももう黒くなってるぜ??」
ハヤトはフェイが身につけている『溶岩鎧』に指を指し、指摘する。先程までは鎧に所々に熱々とマグマがついていたが、今では時間が経ちすっかりと冷えたのか黒くなっていた。
「俺の推測だと、溶岩鎧は一時的に自分の全能力が上昇する技だと思う。けど、時間が経てばその能力上昇は途絶え、逆にそのまま装着していれば能力は下がってしまう。そういう仕組みだろ??」
ハヤトの言葉でフェイは何も言えなかった。理由は、見事的中しているからだ。
「見た感じ、もう属性スキルは使えないみたいだし、その鎧を解除したところで闘える力は残っていないだろ??」
このハヤトの言葉も的中しているのか、フェイはさらに黙り込んだが、すぐに弱々しい声を出した。
「どうやって溶岩鎧の仕組みを見破ったんですか??」
と、どうして分かったのか気になっているように呟いた。
「見破ったというか………、決闘前に誰かが、話してたんだよ。『フェイさんの超速攻攻撃が見れるなんてワクワクもんだぜい』ってね。この言葉を聞いてある程度予測してたんだ。」
「なるほど、そういうことでしたか」
フェイはギルド内では超速攻攻撃を得意とする冒険者だという形で認識されていた。つまり、決闘を行う前から長期戦に持っていけばなんとかなるとハヤトは思っており、最初から時間稼ぐ気満々だったということだろう。
「これが、低ランクの底力というものですか。………完敗です」
フフッと笑ったフェイはわざとクリムゾンツインナイフを手放し、地面に落とす。これを確認した審判は
「フェイ殿の降伏宣言により、勝者Fランク冒険者ハヤト殿!!」
審判の言葉で周りの冒険者はうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!と白熱した。
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決闘後、ハヤトとフェイは一緒に医療室に行き、治療を受けていた。
「放置プレイで女の子いたぶってましたね。見てて吐き気がしましたを最低ですね」
「いや、言い方なんとかならない??」
ハヤトに回復魔法をかけているフィーラが汚物を見ているかのような目でハヤトに言葉をかける。
「本当にハヤトさんって強いですよね。強さの秘訣とかあるんですか??」
同じく、回復魔法を掛けてもらっているフェイは興味深そうにハヤトに強さの秘密を聞いた。
「そうだなぁ。毎日、ちゃんと朝ごはんを食べることかな。」
「教える気ゼロですね」
「馬鹿か!!朝ごはんは1日を始める為の元気の源だぞ??食べないと動けないに決まってるだろ」
ハヤトは無表情で言った。この言葉を、聞いたフェイは苦笑いしている。
ーーーーーー
『なぁ、○○○○。お前の強さの秘密は何なんだよ』
『ハヤトが聞くなんて珍しいね。そうねぇ、ちゃんと朝ごはんを食べることかな』
『ねぇ、ふざけてる??』
『ふざけてないよ。朝ごはんは1日を始めるための元気の源だからね。ちゃんと食べないとダメよ??』
『へいへい。朝ごはんはちゃんと食べるから教えてくれ』
『フフ。強くなるためにはね…………』
ーーーーーー
「…………ま、フェイさんは今のままでも強いんだしいいじゃん!!」
昔のことを思い出していたハヤトはハッと我に返り、咄嗟に明るい声でごまかすかのように言葉を出した。ハヤトにとって明らかに不自然な行為だったが、運良くフェイには気づかれなかった。
「いえ、私なんかまだまだです。もっと精進しないと………。」
「そっか………、まぁ、頑張れ。応援してるから」
ハヤトは無表情でわしわしとフェイの頭を撫でた。すると、フェイは嬉しかったのか、可愛らしく微笑んだ。
「あ、ありがとうございます!!」
この後、治療を終えたハヤトとフェイだったが、医療室を出た瞬間に何十人の冒険者たちにしつこくパーティーを勧誘されたので、ハヤトとフェイは苦笑いしながら逃走した。
そして、逃走している最中にフェイが
「ハヤトさん。私、決めました。絶対に貴方とパーティーを組みます。例え何があっても私、諦めませんからね♡」
そう言って、フェイはウィンクし、別の方向へと走っていった。
アキラとはまた別のタイプのめんどくさい人間が出来ちまったとハヤトは深い溜息を吐いた。
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