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32話「ハヤトのファン③」

 「お断りするよ」


 ハヤトはあっさりとフェイの誘いを無表情で断った。フェイは驚いたような表情をしてハヤトに聞く


 「何でですか!?」



 「あ~、悪かった。じゃあ、こう言うよ。………俺と組まない方がいい」



 「ッッーーーーー!?」



 この言葉を聞いて、フェイは何も言おうとはしなかった。いや、出来なかった。ハヤトから感じる妙な威圧感に押し潰れそうになってあるからである。


 「………分かりました。急に変なこと聞いてごめんなさい」



 「こっちこそ、ごめんな。………、そうだ!!このクエスト付き合ってくれたお礼

にさ………」



 「??」


 ハヤトはニヒッと微笑みたがらフェイにとって嬉しいであろう言葉を伝えた。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


  クエストを終えたハヤトとフェイは、ギルドの中にある闘技場に立っていた。観客席には、多くの冒険者たちが観に来ていた。


 「珍しいわね。ハヤトくんが闘技場にいるなんて」


 たまたまギルドにいたアキラも観客席に立ち入り、不思議そうにハヤトを見ていた。すると、すぐ側にいた女性の冒険者が


 「なんか、クエストに協力してくれたお礼に決闘(デュエル)することになったらしいですよ」


 と詳細を教えてくれた。


 闘技場では、ハヤトは屈伸したり、ぴょんぴょんと小刻みにジャンプをしたりなどして準備体操をしていた。その姿を見てフェイは首を傾げていた。


 「まぁ、そうなるわよね」


 アキラは苦笑いしながら、フェイの方を見ていた。アキラも初めて準備体操を見た時は謎にしか見えなかった。だから、フェイの気持ちが普通に分かった。


 「っし!!さて、やりますかね。Aランク冒険者フェイさんや」


 軽い言葉を言いながら、ハヤトはライトソードαを取り出して構える。


 「はい!!よろしくお願いします!!」


 フェイはいい返事をしながら、クリムゾンツインナイフを構え戦闘態勢に入る。


 すると、審判が間に立ち、2人の様子を見て


 「両人、準備はいいですね??それでは、は、始め!!」


 と、手を振り下ろし、決闘の開始の合図を出す。


 「属性スキル発動!!」


 先に行動に出たのはフェイだった。開始早々、属性スキル『マグマ』を発動させ、クリムゾンツインナイフから溶岩を辺り一面にぶちかまし、マグマのフィールドを作り出した。素早い攻撃を得意とするハヤトの行動を制限するのが目的であろう。


 そのままフェイはハヤトに接近し、クリムゾンツインナイフをリズム良く振り下ろす。


 ハヤトはそれをライトソードαで全て弾き、隙を見て彼女の腹に目掛けて蹴りをぶちかました。いい所に入ったのか、フェイは「うぐっ!」と言いながら腹を抑えて少しの間、倒れ込んだ。そこからハヤトは追い討ちをかけようとしたが、フェイは何とか周りに溶岩の壁を出現させ、ハヤトを近寄らせなかった。


 これを見て、周りのギャラリーは「おぉ!!」と盛り上がっていた。


 「すげぇな!!あいつ!!あのAランク7位のフェイさんにダメージ与えたぜ」


 「流石は『アンチドラゴン』だ!!」


 「あの強さで、なんでFランクなんだよぉ!!」


 と、色々の言葉が投げ出された。


 ようやく痛みが治まったのか、溶岩の壁が砕け、フェイが姿を現す。


 「まぁ、そんなあっさりとは倒れてくれないよな」


 「本当に強いですね。あなたをSランクに勧誘してるSランク冒険者さんたちの気持ちが分かりますよ。」


 「あれ、すっごい迷惑だからやめてほしいんだけどな。特にSランク3位のあの貧乳女な。」


 ハヤトの言葉で、アキラは一瞬ブチ切れそうになったがなんとかハッと我に返り抑えた。後で彼を殺そうと決意した。


 「ほら、来いよ。Aランク冒険者殿。もっと本気で」


 「もちろん!!私のとっておきを見せてあげますよ!!はぁぁ!!」


 フェイは気合いの入った声を出す。すると、クリムゾンツインナイフから溶岩が出現し、なんとフェイの身体中に降り注いだ。


 溶岩まみれになったフェイだったが、徐々に張り付いた溶岩がみるみると形成し、まるで鎧のような形となった。


 「『溶岩鎧(マグマアームド)』。これが、本気の私です!!」


 溶岩鎧を装着したフェイはクリムゾンツインナイフを構え、ハヤトにまたしても接近する。明らかに素早さが上がっていた。そして、クリムゾンツインナイフを振り下ろす。


 「はぁ!!!」


 「くっ!!」


 フェイの素早い攻撃を受け止めるハヤトだったが、早さだけでなく攻撃力も上がっており一撃一撃に重みがあり、次第に防御態勢が崩れ、フェイの攻撃をまともに喰らった。


 「っらぁ!!」


 ハヤトは痛みを耐えながらフェイにライトソードαを振り下ろしたが、ジューと溶けるような音を出し、ダメージを与えることが出来なかった。それを確認したハヤトは『かまいたち』を発動しながら、フェイと距離をとった。


 「ケホッ………その鎧、厄介だな」


 「どうです??これが、私の強さです!!」


 フェイはドヤ顔に近い表情で、ハヤトを見つめる。


 溶岩鎧で、攻撃は与えられない。与えるとしてもこっちダメージが入ってしまう。この圧倒的に不利の中でハヤトは


 「笑ってる………」


 アキラは唖然しながらボソッと呟やいた。そう、ハヤトは笑っているのだ。


 「流石、Aランクにまで登りつけただけはあるな。俺、今、フェイさんに決闘申し込んだことすっごく後悔してる。軽い気持ちで上ランクの人と闘ったらあかんなー」


 軽い気持ちで、言葉を出すハヤトだったが、すぐに真剣な表情となってライトソードαを構えた。フェイはハヤトの威圧を感じ、無意識に戦闘態勢に入った。


 「けど、俺にだってプライドぐらいある。だから、見せてやるよ。低ランク冒険者の底力をな」


 そう言って、ハヤトは属性スキルを発動させた。

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