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31話「ハヤトのファン②」

 「一体、どういうつもりなんですか!!」


 森の中を歩いているハヤトに対して、同行しているフェイは怒りの言葉を投げる。


 「これだよ、これ」


 ハヤトは先程の依頼書をフェイに見せる。


 『     Fランククエスト

最近、森の中に『ラブリーフロッグ』が繁殖しており、牧場や畑が荒らされて困っています。どうか討伐の方、よろしくお願いします。報酬として、『銀の甲羅』をお渡しします』と書かれていた


 「そういうことですか」


 フェイは納得した表情となる。ラブリーフロッグとは、Dランクモンスターてあり、平均で3mを超える大ガエルである。体に可愛らしいハートマークが刻まれているためそう呼ばれているらしい。そして、このモンスターを討伐するには理由は解明されていないが、男女で交互に攻撃しなければならない。

なので、ハヤトはこのクエストをクリアするべく、フェイを無理やり同行させたという訳だ。


 「急に、ごめんな。どうしても『銀の甲羅』が欲しくてさ」


 「銀の甲羅ってそこそこなレアアイテムですよね??何かに使うんですか??」


 「うん、弟子の武器の強化したくて」


 以前、アキラとコリンが決闘した時、後に気づいたことだが、コリンのライトソードが使い物にならないほどまでに限界を迎えていた。なので、コリンの武器を作るために材料を探していたところ、このクエストの報酬に目をつけたということだ。


 「えぇ!?ハヤトさん、弟子いるんですか!?」


 フェイは目を丸くして驚いている。


 「いるけど………」


 「いいなぁ〜、その人はやっぱり冒険者なんですか??」


 「いんや。まだ、10歳だし………。」


 「そうですか…………。あの!!」


 「!!…伏せろ!!」


 急にハヤトがフェイに飛びつき、地面に倒れ込む。すると、すぐに何かが通り過ぎ、2人の近くにあった大木が大いに削れ、そのまま倒れた。


 「出たか…………」


 ハヤトがライトソードαを構えて戦闘態勢に入る。ハヤトの視線の先には、10メートルはあるベロを口の中に収納しているラブリーフロッグがいた。


 すぐ様、フェイも自分の愛武器であるナイフを2本取り出す。


 彼女の武器の名は『クリムゾンツインナイフ』。Aランクモンスターである、『溶岩ウルフ』の牙を材料とした両手武器である。


 「俺から攻撃する!!フェイさんは、サポートを!!」


 「分かりました!!」


 ダッと走り出したハヤトの指示を了承したフェイは、ハヤトに続いて走り出す。


 「ゲロォォォォォォォ!!」


 ラズリーフロッグは咆哮を上げながら、長舌をまるでジェット機のような速さで噴出する。


 「属性スキル発動!!」


 フェイは大声でスキルを発動させる。すると、クリムゾンツインナイフの刃先から溶岩が噴出し、それがラブリーフロッグの舌に直撃した。フェイの属性スキルは『マグマ』。名前通り、マグマや溶岩などを噴出して相手に攻撃するスキルだ。


 「それ、火事とかにならねぇだろうな!?怖いんだけど!?」


 「大丈夫です!!このスキルは、狙った相手にしか効きません!!」


 確かに、ラブリーフロッグのベロが溶岩で燃えているのに対して、森とかについた溶岩はすぐに蒸発して跡形も無くなっている。便利なスキルだ。


 「はぁ!!」


 ラブリーフロッグが苦しんでいる内に、ハヤトは側まで移動し、腹に目掛けて、ライトソードαを振り下ろした。


 「てぇぇい!!」


 続いて、フェイもクリムゾンツインナイフでラブリーフロッグの腹を何度も切り裂いた。つけた傷からジュュ~と、焼くような音がして、ラブリーフロッグはとても苦しそうだった。


 「このまま行くぞ!!」


 「はい!!」


 そして、ハヤトの素早い攻撃とフェイの溶岩攻撃が交互に続き、ようやくラブリーフロッグはズドンと倒れた。


 「やりましたね。」


 「いや、まだだ。こいつは恐らく群れの1番下っ端。ボスを倒さない限り、ラブリーフロッグは絶えないぞ」


 「ラブリーフロッグのボスって確か、トレードマークのハートマークが黒色に染まってるんでしたっけ??」


 「あぁ。だから、下っ端を倒しつつ、ボスを探して狙おう。」


 「分かりました。流石は『アンチドラゴン』ですね。」


 フェイがニコニコとしながら話す。ハヤトは苦笑いしながら


 「俺、その異名あんま好きじゃねぇんだよな。異名つけたやつ一体誰なんだろ」


 「私です!!」


 「お前かい!!」


 フェイはテヘヘと可愛らしく笑い、頭の後に手を当てている。ハヤトは、はぁーと深い溜息をついた。


 その瞬間に、ハヤトとフェイは何か気配を感じ、すぐ様戦闘態勢に入る。すると、森の奥からぞろぞろと大群のラブリーフロッグが姿を現した。おそらく、15体ほどはいる。どのラブリーフロッグも「ゲロゲロ」と鳴いて威嚇をしている。


 「いくぞ!!」


 「はい!!」


 ハヤトとフェイはお互いに武器を構えて、大群のラブリーフロッグに立ち向かった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「らぁ!!」


 フェイが声を上げながらラブリーフロッグの頭をはねたあと、ハヤトとフェイは背中を合わせる。


 「ちっ、キリがねぇな!!」


 体力に自信があるハヤトですら、少し声をあげている。ただでさえ、倒すのもめんどくさいのに、数が多いと体力も無駄に使ってしまう。


 「だったら………フェイさん!!」


 「はい!?」


 「3分だけ、ここよろしくね!!」


 「はぁ!?」


 唐突の発言で驚きを隠せていないフェイに対してハヤトは2本指でシュッとキメたあと、大声で


 「属性スキル発動!!」


 と叫んだ。すると、ハヤトの周りから風が生じて勢いよくハヤトは空へと上昇した。したから「えぇぇぇぇ!?」と叫び声が聞こえたが、気にしなかった。


 「ちっ………、どこだ!?」


 ぷかぷかと空に浮かんでいるハヤトは、下を見下ろす。空からボスを探すという作戦だ。そして、


 「いた!!フェイ!!西の方角にいるぞ!!」


 西の方に、明らかに他のラブリーフロッグとは違うオーラを放っているラブリーフロッグがいた。体長も6メートルはあるだろうか。そして、ボスの証といえるハートマークも黒く染まっている。ビンゴだった。


 「ごめんなさい!!今、手が離れないです!!」


 大群のラブリーフロッグを相手にしていて、フェイはそれどころではなかった。


 「ですよね!!ごめん!!」


 よくよく考えてみれば、そうですよね〜とハヤトは心の中でフェイに謝罪する。


 フェイが動けない今、ラブリーフロッグのボスを倒すことは不可能に近い。だから、


 「男の俺だけで1発でかいのぶち込んでやる!!」


 すると、ハヤトは空中でライトソードαを構え、力を込める。すると、ハヤトの周りに更に強い風が生じる。


 「まだ………、もう少しっっ!!」


 ハヤトの周りにはもう風というより竜巻に近いものが発生した。周辺の木々やラブリーフロッグは竜巻に巻き込まれ、ぐるぐると吹っ飛ばされている。


 「喰らいやがれぇぇぇぇぇ!!!」


 そして、ハヤトはラブリーフロッグのボスに目掛けて剣を振るった。すると、ハヤトの周りに生じていた竜巻が一気にラブリーフロッグのボスへと向かう。


 「ゲロォォォォォォォォ!!!」


 と、6メートルあるラブリーフロッグのボスは呆気なく竜巻に巻き込まれ、吹っ飛ばされる。ハヤトは、その場で更にラブリーフロッグのボスの方へと加速して吹っ飛ばされているボスの腹に目掛けて目にも留まらぬ早さでライトソードαを何度も振るった。


 「これで最後だぁぁぁぁ!!」


 最後の一撃は力を込めてラブリーフロッグのボスの頭に目掛けて突き刺した。ラブリーフロッグのボスの頭はそのまま空の彼方へと吹き飛び、そのまま倒れた。


 ボスがいなくなった瞬間、下っ端だったラブリーフロッグは戦意を無くし、そのままぴょんぴょんと逃げて行った。


 「凄い…………」


 ハヤトの戦う姿を見たフェイはハヤトの強さに唖然していた。


 そして、フェイは1つ、あることを決意した。


 「この技はそうだな………。『ハリケーンスラッシュ』とでも名付けようかな。」


 技名を決めながら、ゆっくりと地面に到着したハヤトは身体中についた葉やホコリをパッパっと払い、ニコッとしながらフェイに近づく。


 「よし、クエスト完了だ!!フェイさん、帰ろうぜ。」


 「あの!!」


 「ん??」


 フェイは何回か深呼吸したあと、真剣な表情になって声を出した。





 「私と、パーティーを組んでくれませんか??」

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