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29話「アキラとコリン 後編」

 「らぁ!!」


 素早くコリンはアキラの懐まで移動し、ライトソードを振り下ろしたが、その攻撃は呆気なくアキラに躱された。


 「なっ!?」


 躱されたコリンは驚きの色を隠せていないがコリン同様、アキラもコリンの速さに驚いていた。もしかしたら、ハヤトと同じくらいの速さかもしれない。


 アキラは、ユニコーンランスをコリンに目掛けて突き刺すが、コリンは素早くバックステップからのバク転を行いアキラの攻撃を回避しつつ、距離をとった。


 「流石はSランク冒険者を目指すだけあるわね。一瞬だけ焦っちゃった。」


 「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。」


 「でも、これで終わりじゃないでしょ??」


 「もちろん!!」


 コリンは、ライトソードに力を込めて、その場で振り下ろす。アキラはコリンが一体何をやっているのか、と不思議に思った瞬間、左肩に強い衝撃を喰らった。


 「えっ!?」


 アキラがヨロッと、後ろの方によろめいたのをコリンは見逃さない。すぐにアキラの方に接近し、攻撃を仕掛ける。


 「属性スキル発動!!」


 アキラはすぐに体制を整え直し、ユニコーンランスを地面に刺して属性スキルを発動させる。すると、地面から氷の壁が何個か出現した。コリンは止まりきれず、「わぁぁぁ!!」と叫びながら、そのまま氷壁に直撃した。


 「いったーい!!」


 涙を浮かべながら、おでこを抑えているコリンにアキラは近づき


 「コリンちゃん………。今のは何??」


 「師匠に教えて貰った技………、その名も『かまいたち』です。アキラさんと戦った時に思いついたって言っていました」


  確かに、アキラはユニコーンランスを突き刺して生じる衝撃波で遠くにいる敵にダメージを与える技がある。それを、以前の決闘(デュエル)で見たハヤトはその技の剣verにした『かまいたち』を時間かけて開発したということらしい。


 「あの男、ますます恐ろしいわね………」


 アキラはそう呟きながら、コリンに手を指し伸ばして、コリンを立ちあげるのを手伝った。


 「これが、属性スキル…………」


 立ち上がったコリンは、アキラが生じさせた氷壁の方に近づき、ゆっくりと手を触れると、氷壁は呆気なく崩れた。


 「見たことないの??」


 「はい。師匠はずっと決闘のときは属性スキルを使わなかったので………」


 この言葉で、アキラは少しだけ申し訳ない気持ちになった。確かに、コリンが使っているライトソードは属性スキルは搭載されていない。つまりら属性スキルを使えない子供相手に、アキラはちょっとだけ、本気になり属性スキルを発動させたということ。これは大人気ない行動だった。


 「うっ………、申し訳ない」


 「別に気にしてませんよ。それより、続きお願いしてもいいですか??」


 コリンはライトソードを手にして、真剣な表情でアキラを見つめた。


 「これは、手加減した方がいいのかな??」


 「いいえ!!私を…………1人の敵として見なしてください!!」


 アキラは、コリンの素直の気持ちを聞くと、黙ってユニコーンランスを構える。

そして、本人に言うと嫌がると思ったので心の中で手加減発言をした事を謝ったの同時に、こう呟いた。


 ーーー今から私はあなたを本気でぶっ潰す!!


 「さぁ、来なさい!!」


 「うおぉぉ!!」


 コリンは雄叫びを上げ、『かまいたち』を発動しながらアキラの方に近づいた。アキラはユニコーンランスを構えて、『かまいたち』を受け止めた。


 受け止めた直後にはもう既にコリンは、目の前にいた。アキラは、反射的にコリンのいる位置に氷壁を生じさせ、コリンを吹っ飛ばした。


 吹っ飛ばしたあと、追い討ちをかけるかのようにアキラは素早くコリンに接近してユニコーンランスを突き出した。この攻撃をコリンはモロに腹に受ける


 「ぐはっ!!」


 「まだまだ!!」


 アキラは連続で突き攻撃を行い、コリンにダメージを与えていく。アキラはコリンに攻撃の猶予を与えないつもりだった。しかし、そこで終わるコリンではない。


 「えい!!」


 「ぐっ!?」


 コリンはどっかのタイミングで予め手にしていた砂を、アキラの顔面にぶちかました。当然、視界が見えなくなったアキラはすぐに攻撃をやめ、自分の周りに氷壁を出現させてからゴシゴシと顔を腕で擦る。視界が戻ったら、氷壁を崩してすぐに戦闘態勢に入った。


 「コリンちゃんでも、卑怯な手を使うのね」


 「卑怯ではありません!!あれも、1つの戦術です!!」


 「それもハヤトくんから??」


 「はい!!」


 「そっか………」


 ちゃんとコリンは、ハヤトの教えを自分の力に変えていた。本当にいい子だな、コリンは…………とアキラは思い、そして


 「じゃあ、私からも1つアドバイスあげる!!」


 「!?」


 「コリンちゃんは、敵に攻撃するときに、攻撃する場所に目線が行き過ぎているの。それじゃあ、速い敵と戦い慣れている人とかにすぐにバレて防がれてしまうわ 」


 「目線…………」


「攻撃するポイントを見るのはできるだけ一瞬。これだけでも治せばコリンちゃんはもっと強くなれるわよ。」


 「はい!!ありがとうございます!!」


 「じゃあ、今度はそれを意識して続きやろうか」


 「はい!!」


 こうして、アキラとコリンの決闘が再開した。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「いや、あのね?確かにコリンの修行を押し付けた俺が悪いよ。だけど、限度っていうもんあるじゃん??」


 あれから、数時間ひたすらずっとアキラはコリンにアドバイスをしながら決闘をしていた。もちろん、本気を出してだ。


 しかし、コリンの飲み込みの速さが異常であり、アドバイスをする度にコリンの強さが格段と上がり、アキラが冗談抜きで本気を出しても少し苦戦するような形までになっていた。


 そこで、アキラはSランク冒険者としてのプライドを守るために、アキラは冒険者すらなっていないコリンに対して大技を発動させてしまい、コリンを氷漬けにしてしまったのと同時にハヤトがクエストから帰ってきた。


 そして、現在、アキラは正座をさせられてハヤトにお説教されていた。


 「普通、知り合いの弟子を氷漬けにする??」


 「すいません…………」


 「しかも、普通なら強敵とかに使う大技まで使って………。何考えてんの??」


 「すいません…………」


 「あんた、Sランクだろ??力の加減ぐらい分かるだろ??何で分からないの??頭悪いの??幼稚園からやり直す??」


 「すいません…………」


 「あんた、さっきからそれしか言ってないじゃん。他になにか言うことあるだろ??そんなのも分かんないのかよ。」


 「めちゃくちゃ言うじゃん!!思ったより、めちゃくちゃ言うじゃん!!確かに、私が悪かったけど、めちゃくちゃ言うじゃん!!」


 ハヤトの言葉責めに耐えられなくなり、プチッと何かが切れたアキラは涙を浮かべながら逆ギレとツッコミが混ざったかのような言葉を言い出した。


 「師匠…………。それぐらいにしてあげてください。アキラさんに本気を出すようお願いしたのは私です。だから、怒るなら私を………」


 ハヤトの回復アイテムで復活したコリンはしょぼんとした表情で、ハヤトを見つめる。


 「コリン……、次からは気をつけろよ。」


 ハヤトは無表情でコリンにそう言って、コリンの頭をなでなでする。


 「私との差ひどくない!?」


 「あんたは大人だろ??俺は今、あんたに対してすっごくおこなんだからな。」


 「確かに、コリンちゃんを氷漬けにしたのは悪かったけど」


 「違う!!」


 「え??」


 「俺が怒っているのは、アキラさんのアドバイスによってコリンを強くしたことだ!!」


 「何でよ!!それは、いいことでしょ!?」


 「良くない!!コリンは、俺が強くするんだ!!」


 「それは、ただの嫉妬じゃん!!」



 どうやら、ハヤトはバカ親ならぬ、バカ師匠になっていた。


 そして、このあとアキラはお詫びとしてハヤトとコリンに飯を奢ってあげた。

 

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