27話「S会議のあと」
「師匠!!私、もう死んでもいいです!!」
「飲食店で急に物騒な事を言うんじゃねぇよ!!」
「だって!!今、私の目の前に憧れのアキラさんとランさんがいるんですよ!!もう幸せです!!師匠、今すぐ私を斬ってください!!」
「お前、普段はそんなキャラじゃないだろ!!冷静を保て!!」
S会議が終わったあと、コリンに会ってみたいというアキラとランの願いを聞き、行きつけの店である『スズラン』にコリンを呼んだ。
アキラとランを見たコリンは、普段は大人しい性格なコリンがキャラ崩壊するほどまでテンションをあげて今に至る。
「ふふ、面白い子ね。」
「あぁ、ランさんも写真とかで見るよりも何十倍も美しいですね!!ぺろぺろしてもいいですか??」
「おい、コリン!!その境界線は入っちゃダメだ!!変態仮面みたいになるぞ。」
「俺を呼んだかぁ!!」
「読んだかぁ!!じゃねぇんだよ!!なんでアンタらまでいんだよ!!」
そう、ちゃっかりとS会議が終わったあと、行きつけの『スズラン』のことを耳にしたグランとイオリとシュンとゆーみんがあとから普通に来店し、4人テーブルで仲良く座っていた。
名を知られている人ばかりなので、後に騒ぎが起きると予測したハヤトはスズランの店長にお願いをして貸切状態にしてもらっていた。これはハヤトが常連客だからこそ出来ることだ。
「皆さんを誘ったんですけどね、ギルド長はギルドの仕事、リュウさんはライブのリハーサル、ルークさんは孫と買い物、マオさんとジーナさんはこのあと一緒にクエストに行くというそれぞれの理由で断れました。」
「いや、呼ぶな呼ぶな。Sランク冒険者全員集合したらここの従業員さん緊張しちゃうだろ!!」
すると、1人の女性の従業員が「いや、この人数だけでも緊張してますけどね」と苦笑いで話した。そりゃそうだ。
「へぇ、コリンちゃんはSランク冒険者になりたいんだ」
「はい!!昔からの夢です!!だからこうして皆さんに会えて本当に嬉しいです!!」
ハヤトがSランク冒険者の男性陣と話している間、女性陣は女性陣で会話をしていた。
「ハヤトくんったら、何回もSランク誘ってるのに入ってくれないのよ。コリンちゃんからも言ってやって!!」
アキラの言葉に先程までは馬鹿みたいにテンション高かったコリンは少し俯いて
「確かに、師匠がSランクの推薦を断った話を聞いた時にはありえないと思いましたが、師匠には師匠の考え方がありますからね。私には何も言えません。」
アキラは、ノリに乗ってくれなったコリンに何も言うことができなかった。
「よし!!よく言った!!偉いぞ!!ほら、俺の唐揚げ1個やるよ」
ハヤトが自分の唐揚げを一つ取り出して、コリンの皿に放り投げる。すると、コリンはぱぁぁ、と嬉しそうな表情となった。
「それにしても、ここの料理は美味しいですね」
イオリは、スズランのオススメ料理の1つである野菜炒めを食べて、イケメンスマイルで従業員に絶賛すると、女性の従業員の全員が歓喜を上げていた。流石、イケメンだ。
「ん、このお魚さん美味しい」
焼き魚を頬張るシュンは、前髪が邪魔で表情を見ることは出来ないが、可愛いらしいネコミミがぴょこぴょこと反応していた。
「シュンくんはやっぱり獣人族の血が混ざってんの??」
ハヤトはS会議で気になったことをシュンに聞く。シュンはゴクンッと口に入っていたものを飲み込み、
「うん。母さんが人間で、父さんが猫の獣人族なんだ。いわゆるハーフってやつ」
「へぇ、てことはやっぱり猫の能力も引き継いでる感じなんだ」
「父さんほどじゃないけどね。けど、この血のおかげで色々と冒険してて役に立ってる。感謝感激。」
相変わらず早口でそう言って、シュンは口元がニコニコとしたあと、再び焼き魚を頬張り始めた。会議の時では気は合わないと思っていたが、何気に良い奴かもしれないとハヤトは思った。
「ハヤト殿」
「な、何だよ」
ゆーみんが珍しく真剣な表情でハヤトの名を呼んだので、少しだけ緊張してしまった。
「コリンたんを是非、うちの店に………」
「死ね。」
少しだけ身を構えた俺が馬鹿だったと思ったハヤトは「なんでござるぅぅぅ!!」と、うるさく叫んでいるオタクに水をぶっかけて黙らせた。
「でも、イオリンの言う通り、ここの料理美味いな。あ、お姉さん、唐揚げもう1つ追加で。え?ちょ、そんな怯えてる表情しないで。別に襲ったりとかはしないから」
先程以降からはグランも変態行為をせず、スズランの料理を楽しんでいた。と言っても、相変わらず、ボクサーパンツ1枚履いてるだけであとは何も着ていない露出狂なのだが………
「てか、今まであんたどうやって食べてたんだよ。その被り物外す素振り1回も見せなかっただろ」
「こうしてるんだよ!!」
グランはそう言って、自分の皿の唐揚げをひょいと取り出し、自分の口元へとやると、唐揚げがシュンと消えた。そして、被り物の中からもしゃもしゃと咀嚼音が聞こえてくる
「どうだぁ!!」
「いや、どうなってんの!?」
「ふふ、凄いだろ。君もSランクにこれば出来る」
「いや、行かないから」
ズバッと、ハヤトは無表情で答えるとグランは「素直じゃないやつめ。可愛いなぁ」と言って食事を再開させた。
「ハヤトくん、今日はあの子いないんだね」と、こっそりと呟くアキラ。
「チアキちゃんのこと?そういえば見ないね。」
「あの子、ココ最近、体調が良くないらしくて店を休んでいるのよ」と、従業員が教えてくれた。
「え?何?もしかして会えなくて寂しいとか??」
「そんなわけないでしょ!!逆よ逆!!ここの店、美味しいのにあの子がいるせいで中々来れないのよ」
「そんな、またまたぁ。本当は会いたいくせに」
「そもそも、ハヤトくんが原因って言うのを理解してね!!チアキちゃんのこと分かってあげて!!」
アキラが何かよく分らないことを話しているので、ハヤトはスルーし、コリンの方へと向く。
「どうだ?コリン。これがお前のなりたいSランク冒険者の人たちだぞ。」
「はい!!とても優しくて面白い人ばかりですね!!早く、Sランク冒険者になりたいです!!」
「今のうちに連絡先とか貰えば??」
「いいんですか!?」
「いいんじゃね??俺、さっき無理やり登録させられたし………。ま、お前なら可愛らしくお願いすれば大丈夫さ。」
「行ってきます!!」
そう言って、コリンはここにいるSランク冒険者の人たち全員に連絡先を貰えないかと、お願いした結果、ラン以外の連絡先をゲットしたコリン。
ランさんは今日でもう引退かつ、この国を出るので連絡先を持ってても仕方がないという理由で断った。
「師匠!!私、とても嬉しいです!!呼んでくれてありがとうございます!!」
連絡先ではなく、ちゃっかりとサインも貰っていたコリンは幸せそうな表情でハヤトに感謝した。
このあとは、普通にみんなで食事を楽しんだあと、解散となった。
解散したあと、ハヤトはアキラに明日、ランを見送りするけど来る??と誘われたので、行くことを伝えた。
そして、「ありがとうございましたー!!」と見送ってれた従業員の後ろのスズランの壁には、Sランク冒険者のみんなのサインが飾られていた。
これからこの店はきっと繁盛するだろうな、とハヤトは思いながら、コリンを家まで送ろうとしていた。
ブクマ・感想・レビュー求む




