↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/65

24話「S会議②」

 Sランク1位の冒険者の見た目は一言で言えば変態だった。


 まず、服を着ていなかった。上はなかなか鍛えられている胸筋や腹筋を堂々と晒しており、下は最低限としてなのか、ボクサーパンツ1枚履いているだけだった。マジで露出狂として訴えられてもいいレベルだ。


 そして、何を意識しているのか知らないがニッコリちゃんマークが描かれているマスクを被っており、顔の表情が一切見えない。

先ほど自己紹介してくれたシュンは前髪が邪魔で顔が見えないだけだが表情はチラチラと確認することができた。だが、こっちは被り物なのでこの人の顔を拝めることはほぼ不可能に近かった。


 あと、右手に未開封のしゅわしゅわコーラの瓶を持ってるのが何気にじわった。


 「俺がSランク1位のグランだ!!よろしくな」


 グランはゆっくりとハヤトの方へと近づき、手を指し出した。ハヤトは恐る恐る手を差し出すと、グッとグランに掴まれ、ぶんぶんと上下に振られた。


 「会えて本当に嬉しいよ!!しゅわしゅわコーラ飲む?」


 「いらん」


 「あ、君は『ビリビリサイダー』派だった??ちょっと待ってくれよ??」


 グランはパンツの中に手を入れ、ガサガサと探った後、パンツの中からビリビリサイダーの瓶を2本取り出した。


 「ほら、冷えてるから早くお飲み」


 「お飲みじゃねえーよ。あんた、頭バクってんのか??」


 流石に露出狂のパンツの中から出てきたジュースなど、例え安全だとはいえ手を出したくはない。


 「そっかぁ〜、それは残念だな。よっと」


 グランはビリビリサイダーの瓶をパンツの中に入れたあと、「ういうい」と言ってパンツの股間部分を動かして調整した。


 「え?何?グランさんのパンツの中は四次元ポケットか何かですか??」


 「ちょいと違うな。俺はパンツの中にアイテムボックスを入れているだけだ。」


 「何故そこに入れようと思ったんだよ」


 「男のロマンだ」


 「ロマンの何でもねぇよ。もうどっか行けよ。」


 ハヤトは手で無視を追い払うかのような仕草をして、グランを遠ざけた。グランは「可愛い奴だな」と言って、再びパンツの中から『スパーキング・オレ』を取り出してハヤトの目の前にコトっと置きそのまま自分の席へと戻って行った。


 ハヤトは隣にいるランに近づき


 「本当にこの人がSランク1位なのか??ゆーみんさん以上に疑ってるんだけど」


 「人を見た目だけで判断してはダメよ。彼は変態だけど強さは異常だから。変態だけど。」


 「なぜ変態を2回言った??」


 「大切なことだからよ」


 「すげぇ、めっちゃ納得したわ」


 ここで、バルバークはパンパンと2回手のひらを叩いた。


 「よし!自己紹介はこれで終わりじゃ。今から本題に入るぞい!!」


 この言葉で雰囲気が一気に静まり返り、Sランク冒険者のみんながキリッとした表情となった。ハヤトも珍しく空気を読み、バルバークの方へと見る。


 S会議の本格的の活動が始まった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「今回の会議のテーマは3つじゃ。まず1つ目はランのことについて。ラン、頼むぞ」


 「はい」


 ランは髪を弄りながら席を立った。


 「皆さん、ご存知かもしれないけど、私、ランは来月に結婚することになりました。お腹にも彼との赤ちゃんがいます。そして、無事出産が終わったら育児をしながら彼の仕事を支えると決めた為、今日限りで冒険者を引退します。長い間、お世話になりました。最後にみんなの顔を見れて良かった。」


 珍しくランは丁寧な口調で喋り、最後は深く頭を下げた。この光景を見た他の人たちはパチパチパチと拍手が喝采した。


 「ってことはもう明日あたりにはこの国を出るってことか??」とリュウ。


 「えぇ。彼の故郷に新築を建てるつもりよ」とラン。


 「マジかよ………、もう俺のライブ来れなくなっちまうのか。」


 「いや、リュウさんのライブ1回も来たことないけど」


 この言葉でリュウはガクッとなる。


 「姐様、行かないでぇ!!私を置いてかないでぇ!!」


 いつの間にか、ランの側まで近づいていたマオは泣きながらランにしがみついた。ランは微笑みながら、優しくマオの髪を撫で、


 「大丈夫よ。またどこかで会えるわ」


 「嫌だ!!姐様と離れたくない!!そんだったら、私も一緒に行くぅぅ!!」


 「あら、そう?じゃあ、一緒に来る??旦那と一緒に可愛がってあげるわよ??」


 「行くぅ!!」


 「行くぅ!!じゃないわよ!!バカかお前らは!!」


 ビシッと手を出してアキラはツッコミを入れる。アキラをサポートするかのようにイオリも


 「マオさん、気持ちは分かりますが、我慢ですよ。ランさんにだってこれから先、幸せな時や辛い時があるんです。僕達はそれを仲間として見守ってあげるのが筋でしょう??だから、分かってあげてください。」


 イオリの納得のいく言葉でマオはシュンとして軽く頷き、自分の席に座った。

因みに、ジーナはこの時、小声で「百合最高ですわ」と呟いていた。あ、この人あっち系の人間だ、とハヤトは察した。


 「ラン殿、おめでとうでござる。これ、良かったら貰って欲しいでござる。」


 ゆーみんはアイテムボックスから可愛らしい犬のぬいぐるみを取り出してランに差し出す。


 「あら、可愛いわね。何なのこれは??」


 「Bランクアイテムの『プロテクトドック』でごさるよ。側において置くと特定の人物や物を警備をしてくれるのでござる。もし、無事に子供が産まれた時に使ってみてくだされ」


 「へぇ、凄く便利ね。本当に貰っていいの??」


 「いいでござるよ。是非、貰ってくだされ。拙者もグッズのコレクションを警備させているでござるが、性能は保証するでござる。」


 「ありがとう、ゆーみんさん!!大事にするわね」


 この姿を見たハヤトは、ゆーみんはタダのキモいオタクでなく、何気に紳士なオタクだということが判明した。




 「いやぁ、ランさんがいないと寂しくなるねぇ!!あ、俺もゆーみんさんの流れに乗って………っと。はいこれ。」


 ニッコリちゃんマークのマスクを被っているせいで本当に残念がっているのか分からないが、グランがランに近くにパンツの中からキラキラ輝いている石を取り出してランに差し出す。


 「何なの??これ」


 「これは、Aランクアイテム『サンシャインロック』だよ。これを持っておくと安産しやすいらしい」


 え?Aランクアイテムなのに性能が安産祈願なの??と、恐らくここにいる過半数の人物が心の中で思ったであろう。


 「あ、ありがとう!!グランさん。これを売って結婚式の足しにするわね」


 「ハハ、最後の最後までブレないね。ランさんは」


 グランは「使い方はご自由に」と言って、レアアイテムをランに渡して席に座った。ランはアイテムボックスからクリーニングペーパーを取り出して『サンシャインロック』を丁寧に拭きながら席に座った。気持ちは分かるが、少し失礼な気もする



 この後、しばらくはこのような光景が続き、キリがついたところで、バルバークはコホンと咳払いをする。




 「そろそろその辺でな。続きは会議が終わってからにしておくれ!!会議を続けるぞい。2つ目のテーマは闇ギルトについてじゃ。」




 闇ギルト………という単語が出てきた瞬間、わいわいと賑やかだった雰囲気が一気に静まり返った。


 

 





ブクマ・感想・レビューお待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。