23話「S会議 ①」
イオリの提案で始まったSランク冒険者のみなさんの自己紹介。右側から順に自己紹介することになったので、右側の1番奥に座っていた男性が「俺からか」と小さい声で呟き席を立つ。
男性はイオリと同様になかなかのイケメン顔だ。身長は長身で190ぐらい。髪は緑色で刈り上げ。両耳にはピアスを付けていた。服装はロックバンドが着てそうな露出が多めかつ派手な感じの服装だ。
「俺の名前はリュウだ。Sランク8位で、好きなものは音楽だ。冒険者やりながら音楽活動もしている。よろしくな」
「あー、そう言われてみればなんか見たことある気がする」
「そうなのか!!だったら、来月あるライブ良かったら来てくれよ!!」
リュウはウィンクをして、シュッと2本の指でキメたあと、席に座った。
次にリュウの隣に座っていた女性が席を立つ。
彼女を1文字で表すならば「和」を表現するかのような女性だった。顔はとても美人で、優しそうな表情をしている。そして、髪はアップスタイルにヘアセットされている。服装は華やかな着物を着ており、ランに負けないぐらいの巨乳だった。見た目はどっからどう見ても冒険者には見えない。
「私の名前はジーナと申します。Sランク7位です。ハヤトさん、よろしくお願いしますね。」
「お、あんたがジーナさんか」
「あら、私のことご存知で??『アンチドラゴン』さんに名前を知って頂けて光栄ですわ」
「うちの可愛い弟子があんたのことを尊敬しててな。」
まさか、こんな和風な人だとは思ってなかったけどな………と、心の中でハヤトは呟く。ジーナはふふふと可愛らしく微笑むとそのまま席を座った。
次に席を立ったのは、この部屋から入ってきた時から少し気になっていた男性だ。
この男性の特徴は………、うん。
ジーナと違って1文字ではなく一言で言い表すと…………
紛れもなく『オタク』というやつだ。
身体はとても太っていて、顔はメガネをかけていてお世辞で言ってもカッコよくはない。しかも、謎だが、ハチマキらしきものを頭に巻いていた。そして、先程までは、萌可愛い女性のフィギュアを触っていて時々「デュフフ」と笑っていた。
「拙者、ゆーみんという者でござる。こう見えて元3位で今はSランク5位なんですな。好きなものは『アイライブ』の1年生キャラである春園美希でござる。てか、そもそも拙者の嫁でござるな。デュフフフフ。」
このオタク流の自己紹介を聞いてハヤト含め他の冒険者たちのみなさんもドン引きしていた。
てか、このオタクが元3位、今は5位だということに、ハヤトは素で驚いていた。つまり、このゆーみんというオタクは先程、自己紹介したリュウやジーナ、そして知り合いであるランやアキラより強いということ。普通にありえない
ハヤトはこっそりとランに話しかける。
「なぁ、ランさん。本当にこの人強いのか??」
「あー、うん。彼はあぁ見えてとても強いわよ。なんなら、私、彼と決闘で一度も勝ったことないわ」
「マジで言ってるでござるか??」
「マジでござる。今度、決闘してみたら??」
「やめておくわ………。」
ランが言うなら本当のことなのだろう。
ゆーみんは「これからよろしくでござる。ハヤト殿。」と言って座り、再びフィギュアを触り出した。
次に席を立ったのは、バルバークにマオと呼ばれていた女性だった。彼女はやる気のない顔をしながら
「マオよ。今はSランク6位。よろしく」
「あんたのことは弟子から聞いてないな。本当に女性??」
コリンの口からでは女性のSランク冒険者はアキラ、ラン、ジーナの3人しか聞いていなかった。だから、この場に4人いた時にハヤトは疑問に思っていた
「失礼ね!!女性よ!女性!!見ればわかるでしょ!!」
「いや、この世には男の娘という概念が存在する。だから………」
「だからじゃないわよ!!ほら、見て!!胸あるでしょ!!」
マオはグイッとそこまで大きくはない胸を強調する。が、ハヤトは無表情のまま
「アキラさんとほぼ差がないと思う人挙手!!」
この言葉でビシィィィィィ、とこの場にいるマオとアキラ以外の人物が手を挙げた。
この光景を見たアキラとマオは顔を真っ赤にして
「ちょっと!!皆さん失礼すぎません!?この女よりはありますよ!!」とアキラ
「あなた、目腐ってんじゃないの??私の方があるわよ!!」とマオ
「昨日、バスト測ったら0.4大きくなってたし!!」とアキラ
「私だって、もうすぐBいくもん!!」とマオ
この低レベルな争いがしばらく続くと、バルバークが「うるさい!!」と大声をあげた結果、2人はシュンとなって大人しく席に座った。ハヤトは両腕に隠れながらプププと笑っていると
「仕方が無いわよ、ハヤトくん。マオは少し特殊でね。あんまり公には知られてないのよ」
と、こっそりとランが教えてくれた。
次に立ったのはSランク冒険者で1番の顔馴染みのアキラだったので
「スルーで」
「なんでよ!!」
「逆に聞くけど、なんで??別にアキラさんのことは知ってるからいいよ」
「私の何を知ってるのよ!!」
「貧乳」
「あんたにとって、私は貧乳しかないのか!!」
ギャーギャーと騒ぐアキラに対して、バルバークはまたしても「いい加減にせんか!!」と大声を出してアキラを黙らせる。
その様子を見たゆーみんとリュウは
「怒られてるアキラたん………なんだが、新鮮でござるな。」
「アキラちゃんってこんな感じだったか??」
と、5位はHAHAHAと笑って、8位は異様なものを見ているかのような反応をしていた。
アキラの次は隣に座っていたランだった。こちらも顔馴染みだ
「私は、アキラほど馬鹿じゃないからスルーでいいわ」
と、ランは呆気なくスルー宣言。
ハヤトを飛ばして、次はハヤトの嫌いな人物、イオリだ。彼はニコニコとイケメンスマイルをしたまま席を立ち
「ご存知だと思うが、念の為。僕の名前はイオリ。魔導師でSランク2位だ。改めて宜しくね」
「俺と仲良くなりたかったら、まず呪いを解けや。このサイコパス野郎」
「サイコパス………。なんていい響きなんだ」
「お前、マジで耳鼻科行けば??いいとこ紹介してやるよ」
「ふふ、それはまた今度の機会にしてもらおう。以上、僕の紹介でした。次はルークさんだね」
ルークと呼ばれた男性は「わしですかな??」と呟いてゆっくりと席から立ち上がった。
彼は見たまんま、老人の方だった。歳はバルバークと近いぐらいの年層を予測させる。見た目はどこにでもいるおじいちゃんみたいな感じだ。ジーナとはまた違う見方だが、この人も冒険者には見えない。
「わしの名前はルーク。一応、Sランク10位じゃ。趣味はそうじゃなぁ、最近出来た孫と遊ぶこのじゃの。よろしくのぉ、ハヤトくん。」
「お、おう。なんだか、普通のおじいちゃんだな」
「ホッホッホ、よく言われるわい。じゃが、わしはこう見えて格闘家じゃ」
と言って、ルークは軽くシュッと右腕をハヤトの方に出す。すると、そこから衝撃波みたいなのが発生し、ハヤトのすぐ側を通り過ぎた。そして、そのまま壁に突撃し、ドカンといってホコリと煙が生じた。
「ルークさん!!気を付けてください!!」と注意するアキラ
「ホッホッホ、すまんすまん。手が滑っちまったわい」
ルークは頭に手を当て笑いながらゆっくりと席に座った。それ見たハヤトは少し表情を青くし
「このジジィ、人間じゃねぇ………」
と、できる限り小声で呟いた。
そして、次に立ったのは根暗な感じの人だったが、普通の人間じゃなかった。ぴょこんとネコミミが生えている。恐らく、獣人族のようだ。しかし、彼の綺麗なオレンジ色の前髪は鼻のところまで伸びており、顔の表情があまり見えない。服装も、ヨレヨレの黒Tシャツ1枚でケツからは尻尾が生えていた。
「どうも、シュンです。Sランク9位です。よろしくお願いします」
シュンは早口で喋り、ペコッと頭を下げてそのまま席に座った。なんか呆気なく終わってしまって締りがないのでハヤトはいくつか質問した。
「あんた、性別は??顔が見えなくてどっちか分かんねぇ」
「男性です。」
「趣味は??」
「家で本読むことと、キノコ狩りですかね」
「うん、分かった。ありがとう。」
シュンとは気が合わない。それを一瞬で理解したハヤトであった。
長かったSランク冒険者の自己紹介もあと残り1人となった。最後の人物が席をゆっくりと立とうとしていた。その間、イオリがイケメンスマイルをしながらハヤトにこう言った。
「ハヤトくん………。彼がSランク1位のお方で、このギルドで頂点に達する者だよ」
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