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11話「オーグの復讐①」

 南の方へと向かっていると、道中逃げている人々が多くなっていく。更に近づくと、悲鳴や爆発音が鳴り響いていた。


 「ハヤト!!」


 「ゲンナイさん!!」


 逃げている人の中に、知り合いである見た目が禿げたおっさんであるEランク冒険者のゲンナイがいた。ハヤトはすぐにゲンナイの方に駆けつける


 「ゲンナイさん!!ドラゴンは??」


 「たまたま、ここにいたギルドパーティーが少し離れた所でドラゴンと戦闘中だ。」


 と言って、恐らく戦闘中である場所へとゲンナイは指を指した。


 「ゲンナイさんは何を??」


 「俺の実力じゃ、足でまといだからな。せめてと、周りにいる人々に声をかけて避難させてんだ」


 「そうか。じゃあ、トラさんは見なかったか??あの人、家族連れてここに来てるんだ」


 「何だって!?」


 ゲンナイはとても驚き、目を丸くした。この様子から見るとどうやら出会っていないようだ。


 「すまねぇ!!少なくともトラの姿は見てねぇな!!もし、見かけたら声をかけるよ」


 「頼む!!俺はこのままドラゴンの方へと向かうよ!!ゲンナイさんも周りの人々の避難指示よろしくな!!」


 「任せろ!!ハヤトも気をつけてな!!」


 ハヤトとゲンナイはハイタッチをして、そのまま別れた。ハヤトは、ライトソードαを握りしめ、ゲンナイが指を指した方向へと向かった。



 そして、しばらく向かっていると…………………


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「ったく!!あのバカは!!」


 アキラはため息を吐きながら、馬車に乗って南の方へと駆けつけていた。ハヤトに置いてかれてからは、緊急クエストの申請をし、冒険者たちを集めてから馬車に乗って、ドラゴンの方へと向かっていた。


 「彼、凄いわね。本来、馬車で行くような距離を自分の足で走っていくなんて。」


 「ハヤトくんの足の速さは異常なのよ」


 ランの疑問にアキラはスパッと答える。ランは「そうなんだ」と言って、自分の武器である杖を綺麗な布で磨き出した。ランは魔法攻撃を得意とする冒険者なので、常に杖の状態を良くしないといけないらしい。


 「てか、ランは大丈夫なの?あなた一応妊婦さんなんだから」


 「まだ3ヶ月だし、そこまで派手に動いても支障はないわよ。………とは言っても今回は後ろでみんなのサポートに入るつもりだから、安心してちょうだいな。」


 ランはそう言って、親指をグッ!!と立てる。ランの言葉を聞いたアキラは少し安心した。今回集まってくれた冒険者で魔法を使える人はそんなにいないので、逆に助かった。


 「何か期待してますよ、みたいな眼差し向けてるけど………、私、サポートと言っても強化系の魔法しか使えないからね??」


 「それでも十分よ。バリバリかけちゃって!!」


 強化系の魔法を使える冒険者はそんなにいない。ランのおかげで、ドラゴンに勝つ確率がぐんと上がる。使ってもらわないと、こちら側が困ってしまう


 「ねぇ、アキラ。あれってハヤトくんじゃない??」


 ランがアキラにそう言葉を発して指を指す。指を指した方には、確かにハヤトがいた。見てる感じとても焦っているような感じだった


 「ごめん、ちょっと止まって!!ラン、行くわよ!!」


 馬車を一旦止まらせて、アキラとランはすぐにハヤトの方へと向かった。


 「ハヤトくん!!」


 「アキラさん!!ランさん!!ちょうど良かった!!」


 珍しく、ハヤトは汗を滝のように流しながらアキラとランの方を見た。ハヤトの側には涙を流しながら抱いている女性2人と、血だらけで片手が失っている1人の男性が倒れていた。その男性は、アキラも知っている人だった。


 「この人は………確か」


 「あぁ!!トラさんだ!!ここにドラゴンがやって来て暴れた時に、奥さんと娘さんを庇ったらしい!!今は、回復アイテムで傷口を防いだが、心臓は止まったままだ!!誰か回復魔法を使える人はいないか!?」


 こんなに焦っているハヤトは見た事がなかった。アキラは「えと……」と、戸惑っていると、ランは前に出てハヤトに


 「ハヤトくん、魔法を使う冒険者として断言するわ。その人はもう回復魔法を使っても助からない」


 「は?何、言ってんだよ!!このビッチが!!」


 ランの言葉で、ハヤトは怒りの声をあげる。そして、奥さんと娘さんは、絶望したような表情になった。それでも、ランは何一つ表情を変えず


 「ハヤトくんが思ってるほど回復魔法は有能じゃないの。なんなら、相手は心臓がもう止まっている人。再び心臓が動かせれるような回復魔法が存在するなら、この世に死亡という概念なんて訪れない」


 ランはスッパリと、正論を言った。ランの言葉でハヤトは反論はしなかったが、悔しそうに歯を食いしばった。そして


 「諦めてたまるかよ!!」


 そう言葉を吐いて、ハヤトはトラさんの方へと近づき、仰向けにする。そして、ハヤトはトラさんの胸の方に手を置き、そのまま力強くかつリズム良く押し始めた。


 異様な行動に出たアキラとランは言葉が出なかった。


 そして、何回かリズム良く胸を押したあと、ハヤトは奥さんに


 「おい!あんた!!トラさんに口づけして息を送ってくれ!!」


 「え………」


 「早くしろ!!旦那さん死なせたいか!!」


 ハヤトの言葉で、奥さんはビクッと震わせながら、素早く指示に従った。トラさんと口付けし、ふー、ふーと息を吹き込んだ。


 そして、何回か息を吹き込んだあと、ハヤトは辞めさせ、またリズミカルに胸を押し始める。そして、押し続けたあと


 「おい、ランさん!あんた、雷魔法は使えるか??」


 「一応は…………」


 「よし!!心臓に向かって、弱く打ってくれ!!本当に弱くだぞ」


 「分かったわ」


 ランはトラさんの胸に手を当て、雷魔法の呪文を唱え始める。すると、手から微かな電流が流れ、トラさんはビクンと跳ね上がった。


 その後、ハヤトはまた胸をリズミカルに押し始める。


 「もう、いいですよ………」


 奥さんは涙を流しながら、無謀な行動を取っているハヤトに言葉をかける。しかし、ハヤトは止めなかった。


 「たとえ、あんたが諦めても、俺は諦めない!!この人は死なせない!!こんな形で死なせてたまるか!!」


 「ーーーーーーーーー」


 「トラさん、また飲みに行こうなって約束しただろ??飲みに行こうぜ!!だから…………戻ってきがれぇぇぇぇぇぇ!!」


 ハヤトは最後に叩きつけるかのように胸を押した。そこからはもう押すことはなかった。


 ハヤトはぜぇぜぇと声を荒らげ、ほか4人は見てられないかのようにうつ伏せていると



 ーーーーーートクン…………




 「え?」


 「ゲホッゲホッゲホッ!!…………あれ?ここは??」


 一瞬、トラさんの心臓部分から鼓動の音が聞こえたあと、トラさんは意識を戻した。アキラとランは目を丸くし、奥さんと娘さんはトラさんの方に抱きつきに行った。


 そして、タイミング良く、けが人を乗せている馬車が通り過ぎたので、トラさんと奥さんと娘さんが乗り込み、そのままギルドの方へと戻って行った。


 「ねぇ、ハヤトくん。あなたは一体何をしたの??」


 トラさん家族を見届けたあと、ランはハヤトに近づき、疑問を問いかけた。ハヤトは無表情のまま


 「俺の故郷に伝わる蘇生方法である心臓マッサージ、人口呼吸、AEDだよ。今回は上手くいったけど、本来は成功率は断然低い。成功して良かった」


 「そう…………。さっきはごめんなさいね。」


 「いいって。俺もごめんな。声を上げたりして」


 そして、2人がなんとか仲直りした直後、





 「ド、ドラゴンだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」





 と、1人の冒険者が叫び、指を指す。指の向いている方向にはドラゴンが傷だらけで飛んでいた。そして、そのドラゴンの上に1人の人物の影があった。今回の事件を、起こした張本人。しかし、その人物は誰もが知っている者だった。



 「よう…………、低ランク野郎。」


 「金髪ゴリラ……………」



 ドラゴンの背中に乗っていたのは、ギルド内Aランク8位の冒険者、オーグだった。

これから先、少し更新速度落ちます

今回はだーっと勢いで書いたので、若しかしたら書き直すかも知れませんが、どうぞよろしく!!


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