10話「オーグの復讐 ⓪」
アキラと別れて、ハヤトは自分が寝泊まりしている建物に到着し、中に入る。すると、アミがニコニコとしながら出迎えてくれた。
「おかえり。ハヤトくん」
「ただいまアミさん。はい、これ今日の分」
ハヤトは、アイテムボックスから1つの小包を取り出し、アミに渡す。
「これは何だい??とてもいい匂いがするね」
「俺が前から言ってた行きつけのスズランのお弁当だよ。今日はクエスト行ってないからそれで勘弁してくれ。でも、味は俺が保証するよ」
「ふふ、それは楽しみだね。じゃあ、確かに今日の分は受け取ったよ」
そう言って、アミは小包を持って部屋の奥へと入っていき、ハヤトはそのまま自分の部屋へと戻って行った。
ハヤトの部屋はだいたい6畳ぐらいで、机とベットと本棚が置いてあるぐらいの簡単な構造だ。部屋に入ったハヤトはすぐさまベットの方に飛び込み、安堵の息を漏らした。今日はアキラとの決闘で大分体力を使ってしまったので、すぐに眠りにつきそうな心地よさだった。
しかし、お風呂も入らなくちゃ行けないので、そう簡単に眠りにつこうとはせず、上半身だけ起こした
そして、机の上に大事そうに飾ってある1つのネックレスに目を向ける。そのネックレスはボロボロで中心には白鳥のマークが刻まれていた。
『お願い…………。私のこれまでをあなたがやり遂げて…………』
『あぁ…………あぁ!!………任せてくれ!!』
ネックレスを見ると、ハヤトはあの時の事を必ず思い出してしまう。ハヤトは無表情のまま、ベットから降りて机の方に向かい、ネックレスを手に取り優しく撫でる。
「ちゃんと、お前のこれまでをやり遂げてるからな。安心して、俺のことを見守ってくれ」
そう言って、ハヤトはネックレスを机の上に慎重に置き、お風呂へと向かった。
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次の日、ハヤトはFランククエストをやるべくギルドに向かっていると
「おーっす!!ハヤト!!」
と、声をかけられる。声のした方を向くと、私服を着ているトラさんがいた。しかも、隣には美人な女性が2人いた。
「おぉ、トラさん。女性2人連れてお出かけとは中々やるね」
「ご、誤解生むようなこと言ってんじゃねぇよ!!俺の妻と娘だ」
トラさんは、自慢そうに奥さんと娘を紹介した。2人は「どうも」と言って頭を軽くペコッと下げた。反射的にハヤトも無言で頭を軽く下げる
「じゃあ、今日は家族で出かけるんだ」
「おう!!ハヤトはクエストか??」
「うん」
「そうか、頑張れよ!!また飲みに行こうな」
と、トラさんはガハハと笑いながら手を振り、そのまま奥さんと娘と3人で南の方に向かって行った。相変わらず、家族想いのいいおっさんだな、とハヤトは3人の姿がなくなるまで見届け、ギルドの方に向かった。
ギルドに到着したハヤトは、喉が乾いたのでクエストボードに行く前に飲み物を買おうと思い、酒場の方に向かった。
定員さんに果汁ジュースを頼んだハヤトは、ジュースが来るまで待っていると
「あなたがハヤトくんね」
と、声をかけられる。今日は色んな人に声をかけられるな〜、と思い面倒くさそうに顔を向けるとそこにはエロい姿をした女性1人とその女性のすぐ側に、アキラの姿があった。
「えぇ………とぉ、エロ動画の出演依頼ならお断りさせていただきます」
「ハヤトくん、絶対何か勘違いしてるよね!?」
と、アキラは欠かさずツッコミを入れる。そして、このタイミングで果汁ジュースが来たのでハヤトは受け取り、ストローでジュースを飲みながらアキラに
「で、エロい姿を堂々と公共の場に晒しているこの女性は誰?」
「私の友人のランよ。ほら、Sランクの昇格申請書に私と一緒に書いてあったでしょ??」
アキラの言葉でハヤトは昇格申請書の内容をにわかに思い出す。確かに、書いてあったな〜、と思い出すが、ハヤトはランとは1度も会ったことない。なぜ、この人がSランクの昇格に関係しているのかが謎だった。
「どうして俺のSランク昇格の件にランさんが関わってるんだよ??アキラさんの差し金か??」
「いや、それもあるんだけど……今回、ランは結婚を理由にSランク冒険者を辞めることになったの。だから、その空いた所をハヤトくんに入ってもらおうとしたのよ」
「結婚!?アンタ結婚すんの!?童貞ばっかり食ってそうな姿してんのに」
驚きの表情をしたハヤトに対し、ランはドヤ顔しながら
「ふふ。それは、もう卒業したのよ。今はもう私は1人の男の物よ。もう、お腹の中に赤ちゃんもいるしね」
「いやいや、卒業て!!あんたそんなことしてたの!?」
聞きたくもなかった親友の行為を知ってしまったアキラはランにチョップをぶち込む。ランは「状態よ。状態」と舌を出す。いや、可愛くねぇから!!
コホン、とアキラは話を戻そうとして、ハヤトに問いかける
「Sランク6位の座をランの代わりに入ってくれないかしら??」
「例え、張本人を連れてきても俺の意思はかやらないよ」
「Sランクに昇格してくれたら、今日の夜の相手してあげるわよ♡」
「マジ!?」
「な、何言ってるのよラン!!旦那さん泣かせる気!?そして、ハヤトくんもちょっと嬉しそうな反応しないで!!」
ランとハヤトのボケを隙を与えずにツッコミを入れるアキラ。ただでさえ、1人でも大変なのに2人が揃うととても疲れてしまう。アキラはぜぇぜぇと何もしていないのに、荒い息をあげながら
「そう言えば、今日の朝もSランクの昇格申請書届いてたでしょ??ちゃんと持ってきた??」
「あー、あれ?紙飛行機にして飛ばしたよ。」
「はぁ?」
「ヤバいね君。めっちゃ面白いじゃん」
意外な行動をしたハヤトに対し、アキラは顔を青ざめ、ランはケラケラと笑っていた。
「さぁて、ジュースも飲み終わったし、そろそろクエストボードに行きますか」
ジュースの代金を払おうと、ハヤトはレジの方に向かった。背後からアキラの声が聞こえるが、これ以上関わったら面倒くさそうなのでスルーをした。
お金を払い終わり、クエストボードに向かおうとした瞬間
「ぎゃあぁぁぉぁぁぁぁぁぁぉぁ!!」
と、ギルドの外から叫び声が響き渡った。ハヤトとアキラとランはすぐさまギルドから出ると、ボロボロになりながら走る1人の男性が半泣き状態でいた
「どうしました!?一体、何があったんですか!!」
「ドラゴンだ!!南の方からドラゴンが襲って来たんだ!!助けてくれぇ!!」
「何ですって!!」
ドラゴンとは、最低ランクでもAランクを超える非常に危険なモンスターだ。1匹のドラゴンで国がいくつも滅んだとも言われている。すぐに討伐の方に向かわなければ大きな被害に出るだろう
「分かりました!!すぐに向かいます!!ラン!!すぐにギルドの方に言って緊急クエスト申請を!!ハヤトくんは………ってハヤトくん!?」
気づいたら、そこにはハヤトの姿がいなかった。そして、南の方を、見るとハヤトがとんでもないスピードで走っていた。
あの男は南と言っていた。正真正銘、南と言っていた!!
「南って、トラさん家族がいる方向じゃねぇか!!クソが!!」
ハヤトはそう叫びながら、アキラとランを置いてもう加速で南の方に向かっていった。
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