俺やん村の朝
次の日の朝
甘い匂いが鼻をくすぐり、目を覚ました
あなた「なんの匂いだろう……」
寝起きでフラフラとしながら
匂いに呼ばれるように台所へ入る
そこには、こんもりと積まれた
あんころ餅があった
あなた「あーーんこーーろーー餅ぃーーーー!!」
そのバカでかい声で
村重と明智も目を覚ました
明智「……おはようございます」
村重「目が覚めたか……」
二人の声は、少しかすれている
あなた「……もしかして
あの後これ作ってくれてたの?」
あなたは、あんころ餅を
一つ、二つ、三つと
手に持ちながら聞く。
明智「……一回に口に入れるのは一つまでに
してくださいね」
村重「そなた……
起き抜けにそれを食べようというのか」
あなた「二人ともありがとー!
俺やーーーーーん♡!!」
明智「ふふ……俺やん、です」
村重「俺やーーん!!
そんなに喜んでもらえるとは……
たくさん作った甲斐があるものだ」
そのまま次から次へと
あんころ餅を口に放り込む
明智が慌てて止める
明智「ダメです!
そんなに口に入れては……!」
村重「こらこら、あんころ餅は逃げはせん!」
あなた「…………んぐ!!」
あなたは胸をどんどん叩き
水をよこせとジェスチャーをする
明智「ああ、ほら!言ってる側から!
村重殿!井戸から水を!」
村重「そ、そ、そなた!!
水だな!?井戸だな!?
しばし待て!!」
あなた「…………んぐぐ……」
ゴクン……!!
あなた「あー!
苦しかったけど、美味しかった!」
明智「…………」
村重「…………」
明智「……だから言ったでしょう」
村重「…………うむ」
あなた「?」
明智「一つずつ、と」
あなた「だって美味しいんだもん!」
村重「……まったく。
昨夜、あれほど悩んだというのに……」
明智「村重殿……大きさの意味は
あまりなかったですね」
村重「ハハハ……そうだな
だが……ここまで美味そうな顔を
してくれるなら、それも悪くない」
あなた「心配かけてごめんね!
でも、すっごく美味しかった~!
明智も村重も食べた?」
明智「昨夜、作っている最中に
味見程度ですが」
村重「ワシは出来上がってから
一つ食べたが、なかなか美味く出来た」
あなた「……じゃあ、一個ずつ手に持って
一緒に食べよ!」
明智「……そうですね。
皆で食べましょう」
明智はあんころ餅を一つ手に取る
明智「一個ずつですよ?」
村重「うむ……朝餉として頂くか」
三人はそれぞれ
あんころ餅を一つずつ手に取った
明智「せっかくなら
合言葉で食べませんか」
村重「おお、おぬし、ワシより
この村に染まってきたのう」
あなた「い~ことじゃん!
じゃあ、いくよー?
せーの!」
三人「「「俺やーーーーーーん!!!」」」
三人の合言葉が
平和な村に響き渡った
――その頃
ついに、あの男が
俺やん村へと辿り着いていたのだった。




