現れた二人目の武将
「ねぇ!お茶菓子考えてくれた?」
村重と語った、あの日から数日
あなたはというと
村重を追いかけ回していた
村重「い、色々と考えを巡らせているのだが……
『オススメ』と言われると……」
あなた「えー……」
あなたは腕を組んで考える
あなた「じゃあ、リクエストしようかな!」
村重「…………?」
あなた「えっとね!
あんこ系!」
村重「……あんこ」
あなた「でも、甘すぎるのは嫌!」
村重「…………」
あなた「しっとり系がいい!」
村重「しっとり……」
あなた「あと、饅頭系統はなし!」
村重「…………」
村重は、しばらく黙り込んだ
そして…
村重「も、もう少し時間を頂きたい」
あなた「オッケー!
分かった!
楽しみにしてるからね!」
あなたはニッコリ笑うと
その場を離れていった
「…………」
残された村重は
しばらくその場に立ち尽くしていた
村重「……あんこ……
……甘すぎず……
……しっとり……
……饅頭は嫌……」
腕を組み、真剣な顔で考え込む
村重「…………難題だ」
その姿を
少し離れたところから見つめるあなた
あなた「ふふ……めっちゃ悩んでる」
そんな、穏やかで平和な日…だった。
村重の様子に笑いをこらえながら
あなたは畑の草むしりをしていた。
すると――ー
???「………精が出ますね」
あなた「……え?」
聞き慣れない声
あなたが振り返ると
そこには、一人の男が立っていた
男は辺りを見回しながら
どこか困惑した様子を見せている。
あなた「……誰?」
???「……それは
こちらが聞きたいところですが……」
男は、村重へ視線を向ける
村重は、まだ気づいていない。
村重「……あんこ……
……しっとり……」
???「…………」
男は、しばらく村重を見つめる
そして…
???「……あの御仁は、何を?」
あなた「ああ」
あなたは、何でもないことのように答える
あなた「茶菓子を考えてるの」
???「……茶菓子?」
あなた「うん」
???「…………」
男は、少し考える
そして…
???「なるほど……」
あなた「?」
???「それならば……」
男が口を開こうとした、その時
村重「……やはり、羊羹……」
???「…………」
男は、再び村重を見る
あなた「村重、まだ考えてたの?」
村重「当然だ
茶菓子は重要だからな」
???「…………」
男は、何とも言えない顔をした
そして……
???「……随分と、平和な場所ですね」
あなた「でしょ?」
あなたは笑った
男は、もう一度辺りを見回す
戦もない
兵もいない
ただ、草木が揺れ
穏やかな風が吹いている
そして目の前では―――
荒木村重が
茶菓子について真剣に悩んでいる。
???「…………」
男は、小さく息を吐いた。
???「……ここは、一体……」
あなた「名もなき村だよ」
???「…………」
あなた「あなたは、どなた?」
男は、静かにこちらを見る
そして―――
???「……明智光秀と申します」
あなた「…………明智……?」
明智「はい」
あなた「明智……光秀……」
少し考えて―――
あなた「ああ!本能寺の!?」
明智「……はい」
村重「…………」
その声を聞いて
ようやく村重が顔を上げた。
眼差しが少し鋭い
村重「……明智?」
明智「…………」
二人の視線が交わる
しかし…
村重は、ぷいっとそっぽを向いた
明智「村重殿!久しぶりですな!」
村重「知らぬ……」
明智「……え?
村重殿!私です!明智ですよ!」
村重「知らぬといったら
知らぬ!」
明智「えー……それは酷ない?
俺ですよ!」
あなた「……あ、あのね」
二人を見ながら、あなたは口を挟む
あなた「この村には、合言葉があるの」
明智「合言葉?」
あなたはニッコリと微笑んだ
あなた「『俺やん』だよ」
明智「……お、俺やん……」
すると…
そっぽを向いていた村重が
ピクッ
と反応した。
あなた「……もう一回
村重に『俺やん』って言ってみて?」
明智「……?」
明智は少し不思議そうな顔をしながら、村重を見る
そして………
明智「村重殿!!俺やん!」
村重「…………」
一瞬の沈黙
そして……
村重「俺やーん!
いや、明智殿!久しぶりですな!」
明智「…………!!」
あなた「よしよし……」
あなたは満足そうに頷いた
こうして
俺やん村に、二人目の武将が現れた
荒木村重と、明智光秀
二人の出会いが
この平和な村に何をもたらすのか
……それは、まだ誰にも分からない。




