3
***
ライニガー侯爵家。
マデリアの夫・ベルナードの実家で、"王国の盾"とも呼ばれるセルバス王国を守護する王国騎士団を纏める一族だ。
当主は代々騎士団長を勤めていて、現在はベルナードの兄がその任を担っている。
「陛下····ご無沙汰しております。久方の再会がこの様な状況など····」
そう言って、セルバス国王を出迎えてのは、前ライニガー侯爵、マデリアの義理の父にあたる人物だった。
数年前に妻が先立ったのをきっかけに、息子に爵位を譲り田舎の領地で余生を過ごしていたはずだった。
「ファームス·····久しぶりじゃのう。領地に引きこもったと聞いだが····」
そうセルバス国王は黄金色の目を細める。
二人は幼馴染らしい。幼い頃は共によくやんちゃして、従者にしこたま怒られたという話を、マデリアは義母から聞いたことがある。
「国の一大事、引き籠っている場合ではありません。
私も陛下とご一緒したく、ここでお待ちしておりました。」
「ファームス·····。そうか、共に来てくれるか。
ワシは本当に良き臣、良き友に巡り会えたものだ」
セルバス国王は嬉しそうに、それでいて悲しそうに笑った。
「さて、ここの守りは頼んだぞ。ライニガー侯爵」
「お任せを」
そうしてセルバス国王は、少しばかりの護衛を連れて、王都の門の外へ出ていった。




