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ガイアスの聖なる大樹  作者: 琵琶ノ弦
序章

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2


「陛下。

是非、私もご一緒に。亡き夫・モールティア殿下の代わりに」


その申し出に国王は黄金色の瞳をパチクリとまたたかせ、そして諦めたように息を吐き出した。


「拒否しても無駄かのぅ。

お主はモールティアと一緒で、言い出したら聞かんからのぅ。」


「"夫婦は似る"と申しますから。」


「仕方ない。共に参ろうか、セレスティア妃。

皆のもの、準備を頼む。出来次第出発する。

と·····ウィンドガルム夫妻は少しいいかのぅ??」


その一言で蜘蛛の子を散らしたように各自が散らばる。それを確認して残ったベルナードとマデリアに向き直った。


「イスレード国王は降伏を受けてくれると思うか??」


その言葉にマデリアもベルナードも息を詰まらした。

マデリアはイスレード国王を()()()()()()()


彼は頭もよく、そして思慮深い。

おそらく、セルバス王国侵略も何か目的があってのことだろう。だがその"目的"がわからない。

宰相という職に就いているベルナードも、イスレード王とは懇意にしている。そんな彼も同じ様に思ったらしく、"分かりません"と呟く様に言った。


「イスレード国王の目的がわかりません。

思慮深い彼がわざわざ友好を破ってまで侵略をするという事は、何か目的があってのことでしょう。

その"目的"がわからないことには·····」


「うむ·····。

実はの、ライニガー侯爵に兵を連れて王都の門を警護するように知らせを出した。」


「兄を····ですか??」


「お義兄様をですか??」


マデリアとベルナードは驚いたように同時に声を上げた。


ライニガー侯爵家。

ベルナードの実家で現在はベルナードの兄がその爵位を継いでいる。


「うむ。

もし、ワシの目論見が外れて交渉が決裂した場合、イスレードの侵攻は進むじゃろう。そうなった場合、王都の門だけでも死守せねばならん。


この王都には、イスレードの侵攻から避難してきた国民もおるからの。そこで、ライニガー侯爵家には王都の門の死守を頼んだのじゃ。

流石は"ライニガー"。知らせを出して一刻もせぬうちに、門の警備を守りで固めたわい。


お主達も"ライニガー"の者、伝えたほうが良いと思っての。

彼等とともに王都の門を守るか、(ここ)に残るか。それはお主達が決めるが良い」


国王の言葉にマデリアは隣のベルナードを見上げた。

ベルナードもまた、マデリアを見下ろした。

パチリと目が合い、そしてどちらがともなく少しだけ微笑んだのだ。


"心"は決まった。

マデリアとベルナードはセルバス国王に深々と頭を下げた。


「我々もライニガー侯爵家に合流します。王都の門までお供いたします」


その言葉にセルバス国王は少しだけ悲しそうに"そうか"とだけ呟いた。

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