降伏
***
「来たか、ベルナード。」
急いで国王がいるという大広間に向かえば、そこには国王の他に、第二王子妃、皇太子夫妻、その子供らの王子王女、要職に就く貴族たちがいた。
「お呼びと聞いてまいりました」
ベルナードは深々と頭を下げる。マデリアも彼の少し後ろで頭を下げた。
随分な顔ぶれである。
一体どの様な話なのだろうか。マデリアは一抹の不安を覚えた。
「うむ。
まず、ウィンドガルム伯爵夫人、フリンゲルツ男爵家の事は申し訳なかった。申し開きもない-----」
全ては自分の采配ミスであり、恨むなら自分を恨んでくれ。言外にそう聞こえた。
自身だって息子である第二王子を亡くしているのに、だ。
「陛下·······、その様に仰らないで下さいませ。
養父母や義弟は、必死に国を守ろうとしただけでございます。」
それだけ言うのが精一杯だったが、その言葉は本心である。
セルバス国王を恨む気は毛頭ない。全ては侵攻してきたイスレード王国に非があるのだから。
「······申し訳ございません」
思わずそんな言葉が口をつく。
その謝罪の言葉に、セルバス王国はフッと黄金色の瞳を綻ばして優しく笑った。
「お主が謝る事はない。」
マデリアは悔しさのあまりに奥歯を噛んだ。
セルバス国王は一度大きく息を吐き出して、それで意を決して口を開いた。
「降伏しようと思う」
その言葉に周囲にどよめきが起こる。
「私の首一つで事態が収まるなら、易いものだ。
その後はイスレード国王の属国か、吸収されて領地になると思う。
イスレード王は幼い頃からの顔見知りだ。なんとかその二つのどちらかで収めてみせよう。
どちらにしろ、今後の事は皇太子であるアルベルトに任せるから、皆の者は···どうかアルベルトを支えてあげてほしい」
静かなその言葉に、周囲の者たちは悔しそうな顔をして国王に頭を下げる。
<何故、こんなことに>
ここにいる皆が同じ気持ちだろう。
我々が何をした。何故こんなことになった。
数日前までは、穏やかで笑顔溢れる国だったのに。
そんな中、唐突に第二王子妃・セレスティアが一歩前に出て、国王に頭を下げた。




