2
「······ごめん」
絞り出すように吐かれたベルナードの言葉。
悪いのは侵略してきたイスレード王国であり、ベルナードには何の非もない。
何に対する謝罪なのか。
だが、それを言葉にできるほどマデリア自身に余裕がなかった。ベルナードの肩に顔を埋め、泣いて泣いて、ひたすらに泣いて。
ベルナードはそんなマデリアの背中を優しく撫でてくれた。
優しい人だ。
この人には、随分と助けてもらった。この人と結婚して良かった。心の底から思う。
「--------マデリア------」
優しい声にふと気付く、何時迄も泣いている訳には行かないのだ。この城にはまだ、マデリアが大切に思っている人々がたくさんいる。
歯を食いしばって顔を上げた。
そこにはベルナードの端正で優しい人柄が出ている顔があって。
窓から差し込む日差しに、キラキラと灰色の髪が黄金色に光った。
日が当たって、まるで内側から発光しているように金色に光る。この不思議な色合いが綺麗で好きだ。
と、遠くからカツカツと足早に近づいてくる足音が聞こえ、マデリアはそちらの方に顔を向けた。
「マデリア」
第二王子妃付きの騎士であり、マデリアの親友でもあるアデル・レンパールであった。
アデルはそっとマデリアに近寄り、頬を流れる涙を拭った。
「マデリア。
フリンゲルツ男爵家の事は聞いたわ。なんて声をかけていいかわからないけれど·····。
気を確かにね。」
そうして、アデルは"ウィンドガルム伯爵"とベルナードの方を向いた。
「陛下がお呼びです。
マデリアと伯爵お二人とも。」
そのアデルの言葉に、マデリアはますます嫌な予感がして息を呑んだのだ。




