20/26
3
***
その後、メニアドールは図書館の出入り口に近いところの椅子に子供用の本を持ってきて、読むふりをしていた。
先程の貴婦人の顔を確認したかったのだ。九割は野次馬根性。残りの一割は念の為。
封筒にあった、"鳥の紋章"がなんとなく気になったからだ。
暫くすると、カツカツと足早に淡い栗毛色の髪をまとめた貴婦人が図書館を出ていった。ワンピースの色やデザインから、先程の貴婦人で間違いない。
おそらくの年齢は三十代辺り。顔に見覚えはない。
が、少しばかり頬がコケた、不健康そうなその顔は覚えた。とても地味な顔立ちで、"内緒の文通"をする様にほ見えなかった。
<人は見かけによらないものね>
メニアドールはそんな事を思いながら、その貴婦人が出ていくのを目で追っていた。
と、その時、一人の神官がやってきて、"メニアドール・サンドレン様"と声を上げた。
礼拝堂が空いて、メニアドールの番が回ってきたのだろう。すぐに読んでいた本を閉じて、さっさと礼拝堂に向かう支度をする。
"聖なる大樹"が"ヘイストス教"に関係がないことはわかった。
ならば、次はどこを調べるか。
メニアドールはそんな事を考えながら、礼拝堂に向かったのだ。




