手紙
***
図書館に来たメニアドールは目の前に広がる大量の本棚を眺めながら、"さて。"と息をついた。
<調べるなら、まず聖典よね>
聖典。
ヘイストス教の歴史が載った書物である。
この図書館に貯蔵してあるのは"写し"であるが、内容は同じ。
ヘイストス教のことを調べるならば、聖典から調べるのが手っ取り早いだろう。
メニアドールは無数に本棚の合間を抜け、目的の聖典が置いてある本棚を見つけ出す。そこは聖典だけでなく、様々な聖職者が遺した書物などもたくさん置いてあって。
<聖典は·····あったわ>
本棚の一番下。
重そうな分厚い本が並んでいるその場所に、目的の本はあった。
その聖典を取ろうとしてふと屈んだ時、"それ"が目についた。
聖典が置いてある隣の本棚。その本棚の一番下にある聖典と同じくらい重そうで分厚い本が並んでいるその本のうち、一冊だけ奥まできちんと収まっておらずヒョコリと背表紙が飛び出して置いてある本。
"マデリア"時代、文官として働いていたメニアドールにとって、その本の飛び出しはとても気になるものだった。
メニアドールはその飛び出した本をきちんと収めようと、その本のもとに歩み寄る。
<全く、ちゃんと入れなさいよ>
そんな事を思いながら、その分厚い本の背表紙を押そうとして気づいた。
その本に"なにか"挟まっていることに。
メニアドールはその本を取り出し、その"なにか"が始まっている頁を開く。
そこにあったのは白い上質な紙で作られた一通の手紙。
宛名はない。送り主も書いてない。
<これは····??>
手紙を綴じている封蝋の印に目が留まる。大きく羽ばたいている鳥の紋章だった。




